旅行にもさまざまな形態がありますが、国内および海外へ向けた募集型旅行商品・受注型企画旅行商品・手配旅行商品など、あらゆる旅行商品を扱うことができるのが第1種旅行業です。ここでは、取扱商品の幅広さから登録申請基準が厳しく定められている第1種旅行業登録の申請手続きについて説明していきます

 

第一種旅行業の申請基準

第1種旅行業登録では、他の旅行業登録と違って海外旅行の企画販売を行うことができます。その取り扱いが国内旅行に限られている第2種ではカバーできない範疇であることから、国内外合わせた募集型企画旅行を企画販売するためには、第1種旅行業登録の申請手続きを行わなければなりません

 

1種旅行業登録の申請基準

旅行業務取扱管理者について

旅行業法によれば、

  • 旅行業の営業所ごとに旅行業務取扱管理者の資格を持つ者を選任すること
  • 10名以上の従業員がいる営業所においては複数の旅行業務取扱管理者を選任すること

と定めています。

 

なお、選任しているのが国内旅行業務取扱管理者のみの場合は海外旅行を取り扱うことができず、同様に地域限定旅行業務取扱管理者のみ選任している場合は地域限定旅行以外を取り扱うことができませんので注意しましょう。

 

財産的基礎について

旅行業では、会社の財産状況が、以下の計算式に基づいて算出される金額以上になることが求められます(旅行業を営むために最低限必要な金額)。これを基準資産額といい、その計算には直近の貸借対照表または財産に関する調書に基づく金額が使われます。基準資産額は旅行業登録種別ごとに以下のように決まっており、該当する金額を満たすことが必要条件です。

 

【基準資産額】

1種旅行業:3,000万円以上

2種旅行業:    700万円以上

3種旅行業:    300万円以上

地域限定旅行業:100万円以上

 

【基準資産額の計算式】

資産合計-負債合計-【営業保証金の額または弁済業務保証金の額】-資産の部における▲=基準資産額

 

※貸借対照表

 

 

資産の部

A

うち、

▲不良債権

▲繰延資産(創業費等)

▲営業権

B 負債の部
C

うち、資本金〇〇万円含む

 

純資産の部

 

※営業保証金

倒産などによって旅行業者が旅行サービスを客に提供できなくなった場合に備え、あらかじめ法務局など国の機関に対し預けておく金銭

 

※弁済業務保証金

高額な営業保証金の負担を軽減するため、観光庁長官指定の日本旅行業協会または全国旅行業協会に入会したうえで旅行業協会正会員となり、旅行業協会に対し預ける営業保証金額の5分の1の金銭

 

事業目的について

1種旅行業登録の申請を行うためには、事業目的として「旅行業法に基づく旅行業(または『旅行業』)」と記載する必要があります

 

第1種旅行業登録の申請手続き

1種旅行業登録手続きは観光庁に対し、以下の流れに沿って進められます。

 

  1. 申請書類の用意
  2. 観光庁におけるヒアリング
  3. 所轄の運輸局等へ申請書類を提出
  4. 観光庁による審査
  5. 所轄運輸局等からの登録通知
  6. 営業保証金の供託または弁済業務保証金分担金の納付
  7. 営業保証金の供託書の写しか弁済業務保証金分担金の納付書の写しを登録行政庁に提出
  8. 登録免許税納付
  9. 店舗に登録票・約款・料金表を掲示
  10. 旅行業として営業開始

 

1種旅行業登録申請におけるヒアリングや審査は観光庁で行われますが、その他の書類提出や登録通知は管轄の運輸局を通して行われます。

 

大きな流れを辿っただけでも、第1種旅行業登録が認められるまでの道のりが決して簡単ではないことがわかるでしょう。手続きの煩雑さだけではなく多額の資金も必要になるため、事業者としても相応の心構えを持って臨む必要があるのです。

 

まとめ

申請要件や必要書類の準備に留まらず、手続きを行う上でいくつもの窓口に対するやり取りが必要になる第1種旅行業登録申請手続きにおいて、自力ですべてをこなすことは時間的にも労力的にも大きな負担となります。このようなときこそ、当事務所までご相談ください。ご依頼者様の負担を軽減し手続きをスムーズに進められるようしっかりとサポートさせていただきます

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