コロナ禍を経て2022年6月より、添乗員付きパックツアーに限り外国人観光客の受け入れが開始されました。ようやくインバウンドの一端が動き出し、旅行業界も活気を取り戻しつつあります。そのなかで注目されているのが旅行業関係のインバウンド系資格です。ここでは、旅行業におけるインバウンド系資格について説明していきます。
目次
2022年6月からの外国人観光客受け入れについて
日本政府は2022年6月より、添乗員付きパックツアーに限り外国人観光客の受け入れを再開しました。ただし、2022年6月現在では、コロナのリスクが比較的小さいとされる、いわゆる「青の区分」の国や地域からの観光客に限定しています。
政府は各国のコロナ状況が日本にもたらすリスクを踏まえて国々を分類し、わかりやすく色分けしました。最もリスクが小さいと見なされている国と地域が「青」グループに入っています。青の区分に属する国と地域の例として、以下を挙げることができます。
青の区分に属する国と地域(例)
以下に挙げる国々はごく一部であり、全体像を知るには外務省による「水際対策強化に係る新たな措置について(外国人観光客の入国制限の見直し)」を参照しましょう。
アジア・太平洋地域
オーストラリア、韓国、シンガポール、台湾、中国など
北米地域
アメリカ、カナダ
中南米
アルゼンチン、コロンビア、ジャマイカ、ブラジル、メキシコなど
欧州
イギリス、イタリア、スイス、ドイツ、フランスなど
中東・アフリカ
アラブ首長国連邦、イスラエル、ケニア、南アフリカ、モロッコなど
2022年6月の外国人観光客の滞在条件についても決定事項があり、以下3つの条件に当てはまる外国人は「日本国内に所在する受入責任者が、入国者健康確認システム(ERFS)における所定の申請を完了した場合、『特段の事情』があるものとして、新規入国を原則として認めることとする。」としています。
※外務省「水際対策強化に係る新たな措置(29)」(外国人観光客の入国制限の見直し)参照
- 商用・就労等の目的の短期間の滞在者であること(3ヵ月以下)
- 長期間の滞在者
- コロナウイルスの流入リスクが低い国・地域からの観光目的の短期間の滞在者
上記いずれかに当てはまる場合、「日本国内に受入責任者が存在することが必要」としています。
インバウンドにかかわる各種資格とは
政府による外国人観光客受け入れ態勢の発表により、日本国内の観光地などでは経済の活発化が期待されています。さらに、旅行会社では、外国人観光客に対応できる人材の確保も急務になっているといえるでしょう。
そのような状況において、インバウンドに役立つ資格を取ろうとする人も少なくありません。ここでは、民間資格・国家資格を含めたインバウンド向け資格について説明していきます。
インバウンド実務主任者
一般財団法人全日本情報学習振興会が主催する民間資格に「インバウンド実務主任者認定試験」があります。この資格は資格保有者が以下の知識や経験を備えていることを示すものとされています。
- 訪日観光客への対応と理解
- 日本国および各国の施策や法令などの全体的な理解
旅行業務取扱管理者
観光庁が所管する国家資格で、旅行会社は旅行業務取扱管理者を必ず選任しなければなりません。旅行業務取扱管理者は、以下に関する知識や役割を持つものとされています。
- 訪日外国人に対する旅行取引条件の説明などの業務実施
- 旅行内容に関する管理・監督
- 旅行業法の理解
全国通訳案内士
観光庁が所管する国家資格として通訳案内士が公式に認められています。通訳案内士は「報酬を受けて外国人に対し外国語を用いて旅行案内を行うことができる人材」と定義されています。通訳案内自体は資格がなくても行うことができますが、通訳案内士を名乗るためには国家資格の取得が欠かせません。
ツアーコンダクター(旅程管理主任者)
国家資格ではないものの、観光庁の登録機関における研修を受けることで旅程管理主任者の資格を取得することができます。いわゆるツアーコンダクターとして企画旅行の添乗員となることができ、宿泊先のチェックイン・チェックアウトや食事、移動などの管理を行うなど、団体旅行客のまとめ役として非常に重要な役割を担っているのです。
まとめ
インバウンド向け資格の取得を検討する場合、前述のとおり、まずは日本における観光客受け入れ態勢や関連法などについて理解する必要があります。そうすることで、自分が取るとしたらどの資格が最も適切かが見えてくるでしょう。