コロナ禍で日本を訪れる外国人の数は激減しましたが、2022年6月時点から外国人観光客の受け入れが開始されました。今後伸びていくだろう観光需要に伴い、在日外国人が旅行業を立ち上げようとする動きも出てくるでしょう。ここでは、外国人が会社設立する際に必要なビザと旅行業登録に必要な書類ついて説明していきます。
外国人が日本で会社設立する際に必要な「経営・管理ビザ」
外国人が日本国内で旅行業を営むためには、会社設立と旅行業の登録、経営・管理ビザの取得が欠かせません。経営・管理ビザの取得要件は大きく以下の通りです。
【経営・管理ビザの取得要件】
- 事業にのみ使用する独立した事業所が確保されている
- 資本金または出資額が500万円以上であるか、日本で常勤スタッフを2名以上雇用する
- 日本語による事業計画書で、安定的な経営が見込まれることを説明できる
- 事業管理者として従事する場合は経営・管理に関する経験が3年以上あり、同時に日本人と同等以上の報酬を得る前提がある
経営・管理ビザ取得は専門家のサポートを
経営・管理ビザの申請には、あらかじめ500万円以上を投じて会社設立する必要がありますし、独立した事業所を確保するための賃貸契約にも多額の経費がかかります。先行費用が多くかかる一方で、経営・管理ビザを必ず取得できる保証はないのが事実です。
また、経営・管理ビザ申請に対する入国管理局の審査も非常に厳しいものであり、数ヵ月かそれ以上かかることもありますので、会社設立とビザ取得を最短距離で実現するためにも、専門家とよく相談しながら手続きを進めていくことが重要です。
旅行業登録のための申請書類
旅行業の登録申請を法人として行うためには以下の書類が必要です。また、添付書類は都道府県により異なる場合があります。ここでは北海道における添付書類を記載します。
共通書類
- 新規登録申請書第一号様式(1)
- 新規登録申請書第一号様式(2)(営業所が2ヵ所以上の場合のみ必要)
北海道における添付書類
- 定款または寄附行為
- 登録事項証明書
- 役員の宣誓書
- 事業計画書
- 組織の概要
- 直近の貸借対照表及び損益計算書
- 最近の事業年度における決算書類に関する監査証明または資産負債証明書
- 旅行業務取扱管理者選任一覧表
- 管理者の合格証又は認定証(手配業の場合は研修修了証)の写し
- 管理者の履歴書
- 管理者の宣誓書
- 管理者の定期研修修了証の写し
- 事故処理体制
- 旅行業務約款
- 旅行業協会への入会承認書
※北海道「旅行業等登録申請添付書類一覧表」参照
外国人の経営・管理ビザと旅行業登録の注意点
経営・管理ビザを持っていれば旅行会社を設立することができますが、旅行業登録要件と必ずしも条件が合致するわけではありません。ここでは、経営・管理ビザを保有する外国人が旅行業を営む場合の注意点についてまとめます。
営業所の所在地
旅行業としては要件を満たすことにより自宅開業も可としているが、経営・管理ビザでは原則として自宅開業は困難である。
基準資産額
旅行業としては、第3種で500万円または600万円以上の資本金を要するが、経営・管理ビザでは外国人1人あたり500万円以上の出資が求められる。
事業計画
旅行業としては都道府県に対して事業計画概要を提出すればいいが、経営・管理ビザで求められる事業計画書は事業の安定的かつ継続的な運営を根拠に基づき示す必要がある。
人材
旅行業としては、旅行業務取扱管理者を選任する必要があるが、経営・管理ビザでは資格を持たず起業する外国人1人がいれば認められる。
在留状況
在留期間中の外国人の素行が良好であることが求められる。
まとめ
外国人も日本で旅行業を営むことができますが、経営・管理ビザの取得から会社設立、旅行業の登録と各種の手続きを切れ目なく行わなければなりません。複数の関連法にまたがることもあり、手続きは決して簡単ではないため、できるだけ許認可の専門家である行政書士のサポートを受けましょう。
当事務所では、旅行業の経験を持つ外国人スタッフや経験豊富な行政書士が対応しておりますので、まずはお気軽にご相談ください。