中国人観光客を日本に呼び込みたい場合は、旅行業者として中連協(中華人民共和国訪日観光客受入旅行会社連絡協議会)に加入する必要があります。ここでは、中連協の概要と中連協から認定を受けるための条件について説明していきます。
中国人観光客を呼び込みたいなら中連協からの認定が必須
中連協とは、その正式名称を「中華人民共和国訪日観光客受入旅行会社連絡協議会」といい、その活動目的は以下の通りです。
- 中国国民の訪日観光旅行の実施に関する官公庁との連絡調整
- 観光客として訪日した旅客の事故
- 所在不明等の問題が生じたときの情報収集等
※中国国民の訪日観光旅行の円滑な実施を図り、もって日中友好の進展に貢献することを目的としている
(中連協ホームページ参照)
観光庁が指定した中国からの観光旅行について、中連協の構成員である日本の旅行会社はその観光客を受け入れることができ、かつ中国人観光客の身元保証人であることを示す招聘保証書を発行することができます。
つまり、中国からのインバウンドを受け入れるためには、
- 中国からの認定(中連協構成員への加入)
- 観光庁からの指定
を受ける必要があるのです。
観光庁からの指定旅行会社とは
中国から中国国民を観光客として受け入れるためには、観光庁から「日本側訪日団体観光旅行取扱旅行会社(日本側旅行取扱会社)」として指定を受けなければなりません。
招聘保証書とは
中国人が来日するためにはビザ(査証)が必要ですが、観光庁から指定を受けた旅行会社は申請者のビザ申請で必要になる招聘保証書を発行することができます。これにより中国人は、在外日本公館でビザの発給を受けることが可能になるのです。
中連協から認定旅行会社の指定を受けるための条件
平成12年に日中間で合意した実施要項に基づき、中国人による訪日観光旅行は、平成21年7月以降から日中両政府が指定した旅行会社に限り取扱いがなされることとなりました。指定を受けるためには「Ⅰ.指定基準」を満たす必要があります。中連協ホームページからの以下抜粋をご参照ください。
Ⅰ.指定基準
会社の資格、組織、経営内容等
1. 旅行業法に基づく観光庁長官又は都道府県知事登録旅行業者であること。
2. インバウンド業務を取り扱う専管部署があるか、又は専任者を置いていること。
3. 本邦内に常駐する訪日観光旅行総括責任者を指名すること。また、当該総括責任者が、観光庁が実施する事前講習を修了していること。
4. 本邦内のいかなる場所で本件旅行に係る緊急事態が発生した場合でも、迅速に代替添乗員等を確保し、関係機関への協力を行う等の支援体制を取ることが可能であること。
5. 本件旅行に関する業務の円滑な遂行に足る中国語使用能力のある要員を配置すること(常勤である必要はない。)。
6. 本件旅行の取扱いに関し、中国側指定旅行会社と速やかに業務提携ができる確実な見込みがあること。
7. 経営内容が健全であって、本件旅行の取扱いが安定的に継続できること。
過去の実績
8. 過去1年間に概ね250人以上のインバウンド業務を取り扱った実績があり、かつ、中国からのインバウンド業務の実績もあること。又は、過去1年間に概ね100人以上の中国(香港、台湾を除く。)からのインバウンド業務の実績があること。
なお、個人観光旅行の取扱いのみを予定している場合にあっては、過去1年間のインバウンド業務取扱実績が概ね50人以上(中国を含む。)、又は、過去1年間の中国(香港、台湾を除く。)からのインバウンド業務取扱実績が概ね20人以上であってインバウンド政策推進の上で取扱旅行会社としての指定が不可欠であるとの地方公共団体の推薦があること。
預託金の納付
9. 中国側指定旅行会社と提携後、中華人民共和国訪日観光客受入旅行会社連絡協議会(任意団体)に加入し、預託金50万円を納付すること。
指定拒否要件
10. 以下のいずれかに該当しないこと。
(1)中国国民訪日観光旅行取扱マニュアル(以下「マニュアル」という。)の規定により中国国民訪日観光取扱旅行会社の指定を取り消され、その取消しの日から2年を経過していない旅行会社
(2)役員のうちに、①から③までのいずれかに該当する者がある旅行会社
① (1)の取消しの原因となった事案が発生した日において当該法人の役員であった者で、当該取消しの日から2年を経過していない者
② 禁錮以上の刑に処せられ、又は罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過していない者
③ 申請前2年以内にマニュアルに違反する行為その他の中国人訪日観光に関する不正な行為に関与したと認められる者
注) 申請内容に虚偽の内容が含まれていることが判明した場合は、指定後であっても指定を取り消すことがある。
※中華人民共和国訪日観光客受入旅行会社連絡協議会ホームページ抜粋
まとめ
中国からのインバウンドは、日本の観光産業にとって大きな原動力となります。その一端を担いたいと考える場合、中連協からの指定が不可欠ですから、不備なく条件を満たすよう細心の注意を払いましょう。
当事務所では、元旅行業者だった外国人スタッフに加え、経験豊富な行政書士が対応していますので、これから中国からの観光客を積極的に取扱いたい場合はぜひお気軽にご相談ください。