日本の会社にはいくつかの形態がありますが、なかでも外国人が合同会社を設立する場合、注意すべき点はあるのでしょうか。ここでは、合同会社設立に先立って必要な取り決め事項と会社設立のための必要書類について説明していきます。
外国人が合同会社を設立する場合の注意点
外国人が合同会社を設立する場合、役員が日本に居住しているか海外に居住しているかにより対応が変わってきます。
すべての役員が日本に居住している場合
すべての役員が日本在住である場合、必要書類を揃えるための時間的ロスが少ないため、比較的スムーズに手続きを進めることができるでしょう。用意すべきものとして以下を挙げることができます。
- 日本の印鑑証明書×2通
- 外国人個人の実印
- 会社の実印
役員に海外居住者がいる場合
海外在住の役員が取得すべき書類も必要になるため、以下のような書類を国際郵便でやり取りする必要が出てきます。郵便のやり取りの分だけ日数がかかることになるため、会社設立まで時間的な余裕を持った方がいいと考えられます。
- 母国が発行する印鑑公証書と日本語訳
- 日本在住の役員については個人の印鑑証明書と実印
- 会社の実印
※なお、中国本土の人の場合は本土が発行する印鑑証明書、台湾人の場合は台湾の印鑑証明書、香港人の場合は香港が発行する印鑑証明書が必要です。
合同会社設立のための決定事項と必要書類
合同会社を設立するにあたり、事前に決めておくべきことがあります。一般的には、以下の事柄についてあらかじめ決めておきます。必要なことについて決定したら、必要書類を揃えて会社設立手続きに備えましょう。
事前に決めておくべきこと
会社名
名称には必ず合同会社という文言を入れる必要があります。
社員(出資者の決定)
誰が「出資者かつ社員」となるのか決める必要があります。
会社の所在地
会社の住所を決定します。
事業目的
会社として行う事業目的を決定します。
資本金額
社員(出資者)による出資金の全額を決定します。
公告
会社設立の旨を知らせる「公告」をどういう手段で行うか決定します。一般的には、官報や新聞、ウェブサイトを使って公告を行います。
事業年度
会社の会計期間を決定します。
会社に設置する機関
ある程度の社員数を確保できる場合は社員総会を置くことが可能です。ただし、監査役や会計監査人などは設置できませんので注意しましょう。
代表社員
合同会社の代表たる社員を決定します。
合同会社設立における必要書類
定款
合同会社の規則を定めた書類です。株式会社とは異なり、組織運営ルールの自由度が比較的ゆるやかであるため、株式会社の定款よりは作りやすいといわれています。ただし、自由度が高い分、定款に関する深い知識も求められるため、必ずしもメリットばかりとは限りません。
社員による決定書面
会社設立にあたり社員が話し合って決定した事項を記した書面を作成します。たとえば、商号や所在地、役員選定方法などが記載されています。
就任承諾書
合同会社の役員になることを承諾した書面を作成します。
出資金の払込み証明書
出資金の払込みを証明する書類を用意します。
役員の印鑑証明書
役員個人の印鑑証明書を用意します。
会社印鑑届出
合同会社の実印届出書を用意します。
現物出資の評価証明書
500万円を超える現物出資については、弁護士や税理士に依頼して評価を証明する書類を用意します。
まとめ
外国人が合同会社を設立する場合、印鑑証明書や実印を用意する手間はあるものの、会社設立手続や手順は日本人の場合と変わりません。必要な書類を揃えたら、法務局に設立登記申請することで会社を立ち上げることができるのです。
ただし、会社設立にあたり日本の銀行口座を開設したり印鑑登録を行ったり、経営・管理ビザへの在留資格変更を行ったりするなど、やるべきことが多くなる点はあらかじめ理解しておいた方がいいでしょう。各種の手続きには専門知識が必要になりますし、かなりの手間がかかることになるので、一般的には行政書士に相談・依頼するケースが多いといえます。
当事務所では、外国人スタッフを含め経験豊富な行政書士がサポートしていきますので、合同会社の設立を前にお困りの場合は、ぜひお気軽にご相談ください。