短期滞在とはどのような在留資格でしょうか。また、外国人が短期滞在の在留資格を取得するにはどうすればよいのでしょうか。

短期滞在とは

短期滞在とは、外国人が短期間滞在することで可能な活動を認める在留資格です。

短期滞在で認められる活動には、観光、通過、保養・病気の治療、スポーツ競技会への参加、親族・知人の訪問、見学・視察、講習会・説明会への参加、講義・講演、会議・会合への参加、業務連絡・商談・契約調印・宣伝・市場調査(短期商用活動)などがあります。

短期滞在の在留資格で就労活動を行うことは認められません。また、原則として資格外活動許可を取得することもできません。なお、単発の講義や講演など、継続的に利益や報酬を得ることを目的としない活動を行い、その対価として謝礼金などを受け取ることは認められます

報酬を受けずに90日以内のインターンシップ活動を行う場合は、短期滞在の在留資格の対象となります90日を超えるインターンシップ活動を行う場合は、文化活動の在留資格の対象となります。

短期滞在の在留資格は、在留カードの交付対象となっていないため、在留カードを受け取ることはできません。

2022年(令和4年)に短期滞在の在留資格で入国した外国人は、約286万人います。

短期滞在の在留期間

短期滞在の在留期間は、90日、30日、15日以内のいずれかとなります。また、原則として在留期間の更新は認められません

短期滞在の繰り返し

短期滞在を目的とする査証(短期滞在査証)には、1回の入国に限り有効であり、入国審査を受けて上陸許可が与えられると失効する一次有効の査証(シングルビザ)と、有効期間内の複数回の入国に使用できる数次有効の査証(マルチビザ)があります。短期滞在の在留期間は最長でも90日であり、1年間に何度も短期滞在を繰り返すことが可能です。ただし、短期滞在は簡易な手続きで滞在を認めるものであるため、1年間の在留期間の合計が180日を超える場合は、やむを得ない特別の事情が認められない限り、在留資格を取得できない可能性があります。

他の在留資格への変更

短期滞在の在留資格から他の在留資格への変更は原則として認められません。短期滞在で在留している外国人が就労する場合は、一度帰国して新たに他の在留資格を取得する必要があります。短期滞在で在留している間に在留資格認定証明書申請をすることは可能ですが、在留期間の更新は認められないため、短期滞在の在留期間を経過する場合は一度帰国する必要があります。なお、通常は在留資格変更許可申請中に在留期間を経過した場合は、特例で2か月間は適法に在留することができますが(特例期間)、短期滞在の場合は特例期間が認められていません

特例上陸許可による滞在

外国人が日本に短期間滞在する方法として、通常の上陸許可を受けて上陸する方法の他に、船舶や航空機の乗員や乗客が、特例上陸許可を受けて在留資格なしに一時的に上陸する方法があります。特例上陸許可には、船舶観光上陸許可、寄港地上陸許可、通過上陸許可、乗員上陸許可、緊急上陸許可、遭難上陸許可、一時庇護のための上陸許可があります。

申請の手続

短期滞在の在留資格では、在留資格認定証明書を取得する必要はありません。外国人は、通常は査証(短期滞在査証)を申請することで短期滞在の在留資格を取得できます。また、査証免除措置の対象となる国・地域の外国人は、短期滞在で上陸許可申請することで短期滞在の在留資格を取得できます。

日本に在留している外国人が短期滞在の在留資格を取得する場合は、申請人の在留状況に応じて、在留資格変更許可申請、在留資格取得許可申請のいずれかの手続が必要となります。

在留資格変更許可申請

在留資格変更許可申請は、申請人、法定代理人、申請等取次者(弁護士または行政書士、親族または同居者等を含む)が、出入国在留管理局に申請書、申請内容に応じて異なる必要書類を提出して行います。申請等取次者が申請を行う場合は、申請人が日本に滞在している必要があります。標準処理期間は、2週間~1か月とされています。

在留資格取得許可申請

在留資格取得許可申請は、申請人、法定代理人、申請等取次者(弁護士または行政書士、親族または同居者等を含む)が、出入国在留管理局に申請書、申請内容に応じて異なる必要書類を提出して行います。申請等取次者が申請を行う場合は、申請人が日本に滞在している必要があります。標準処理期間は、在留資格の取得の事由が生じた日から60日以内とされています。

申請提出者

法定代理人

申請人が18歳未満の場合は、親権者または未成年後見人、申請人が成年被後見人の場合は、成年後見人が法定代理人として申請を提出できます。

申請等取次者

地方出入国在留管理局長から申請等取次者としての承認を受けた雇用機関、教育機関、監理団体、公益法人の職員は、申請人からの依頼を受けた場合に申請等取次者として申請を提出できます(在留資格認定証明書交付申請の場合は公益法人の職員のみ)。

弁護士または行政書士

地方出入国在留管理局長に届出をした弁護士または行政書士は、申請人からの依頼を受けた場合に申請を提出できます。

親族または同居者等

申請人が16歳未満の場合や申請人が疾病その他の事由により自ら出頭することができない場合、申請人の親族または同居者もしくはこれに準ずる者で地方出入国在留管理局長が適当と認める者は、申請を提出できます。適当と認める者には、医療滞在の同行者、刑事施設・児童相談所・婦人相談所の施設の職員、老人ホーム等の職員、教育機関等の職員、児童養護施設等の職員などが当たります。

申請手続の流れ

申請は次のような流れで行います。

申請人が自ら手続を行う場合

1 申請人は、出入国在留管理局(外国人在留総合インフォメーションセンター)に在留申請の相談をします。出入国在留管理局の担当者は、申請人の在留資格や在留状況を確認したうえで、申請の要件を満たす可能性があると判断した場合は、申請に必要な書類について説明します。

2 申請人は、申請書とその他の申請に必要な書類を作成・収集します。出入国在留管理局で説明される書類は、申請に最低限必要となる書類なので、審査を有利にするためには、その他にも様々な書類を作成・収集する必要があります。このとき、書類に誤った内容を記載しないこと、すべての書類で内容に整合性があること、審査を不利にする内容を記載していないこと、収集した書類の有効期間に余裕があることなどに注意する必要があります。

3 申請人は、作成・収集した書類を出入国在留管理局に提出して申請します。なお、短期滞在の在留資格の申請に在留申請オンラインシステム利用することはできません

4 出入国在留管理局は、提出された書類をもとに審査を行い、必要に応じて追加の書類の提出を求める場合があります。

5 出入国在留管理局は、申請人に審査結果の通知を行います。申請が許可された場合、申請人は出入国在留管理局で旅券(パスポート)に証印を受けることができます。

6 申請が不許可となった場合、申請人は出入国在留管理局で不許可となった理由の説明日本語で1回のみ受けられます。不許可となった理由は、再び申請をするときに改める必要があるため、申請に用いた書類の控えを残しておき、どのような理由で不許可となったのか調査できるようにしておく必要があります。不許可の理由の説明は、不許可の判断に対する不服申立の手続ではないため、申請人が不服を主張しても不許可の判断が覆ることはありません。

専門家に手続を依頼する場合

1 申請人は、専門家に在留申請の相談をします。専門家は、申請人の在留資格や在留状況を確認したうえで、申請の要件を満たす可能性があると判断した場合は、申請人の依頼を受けます。専門家によっては、在留申請の知識が不十分な場合もあるため、相談・依頼をするときは外国人の在留手続に詳しい専門家を利用することが重要です。

2 専門家は、必要な書類を作成・収集します。必要な書類については専門家の判断で作成・収集します。

3 専門家は、作成・収集した書類を出入国在留管理局に提出して申請します。

4 出入国在留管理局は、提出された書類をもとに審査を行い、必要に応じて追加の書類の提出を求める場合があります。追加の書類の提出は、専門家が取り次いで行います。

5 出入国在留管理局は、専門家に審査結果の通知を行います。申請が許可された場合、専門家は出入国在留管理局で旅券(パスポート)に証印を受けることができます。専門家は、申請人に旅券を渡します。

6 申請が不許可となった場合、専門家は出入国在留管理局で不許可となった理由の説明を受け、申請人に伝えます。再び申請をするときは、申請人は専門家に不許可となった理由を調査して対策をとってもらうことで、許可される可能性が高くなります。

申請に必要となる書類

申請には、手続きに応じて、在留資格変更許可申請書、在留資格取得許可申請書が必要となります。その他にも申請内容に応じて異なる書類が必要となります。

まとめ

外国人が短期滞在の在留資格を取得するには、通常は査証申請、査証免除対象となる国・地域の場合は上陸許可申請、日本に在留している外国人の場合は、一定の要件を満たしたうえで、在留資格変更許可申請、在留資格取得許可申請のいずれかを行う必要があります。在留申請で提出する書類の作成・収集には、専門的な知識が必要となりますし、申請手続やその準備には多くの時間がかかります。また、不許可となった場合は、その理由を適切に調査できないと、何度申請しても許可されないおそれがあります。そのため、在留申請を行うときは、専門家の支援を受けることが大切です。当事務所では、外国人の在留申請を代行するお手伝いをしていますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

この記事が気に入ったら フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう