家族滞在とはどのような在留資格でしょうか。また、外国人が家族滞在の在留資格を取得するにはどうすればよいのでしょうか。
家族滞在とは
家族滞在とは、日本に適法に在留する外国人の扶養を受ける配偶者または子が日本に在留することを認める在留資格です。
家族滞在は、次の在留資格で認められます。
教授、芸術、宗教、報道、高度専門職、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、興行、技能、特定技能2号、文化活動、留学
外交、公用の在留資格では、家族滞在は認められませんが、同一世帯の家族が在留資格の対象となります。
特定技能1号の在留資格では、家族滞在が認められる他の在留資格からの在留資格変更を許可された場合、家族滞在で在留している配偶者または子について特定活動の在留資格への変更が認められる場合があります。
特定活動の在留資格では、家族や親が在留資格の対象となる場合があります。
短期滞在は、それ自体が短期の家族滞在を目的とする在留資格です。
技能実習、研修の在留資格では、家族滞在は認められません。
外国人の父母、祖父母、兄弟姉妹、内縁者などは、家族滞在の在留資格の対象となりません。
家族滞在の在留資格では就労活動を行うことは原則として認められません。ただし、資格外活動許可を取得することで例外的に就労活動が認められます。
家族滞在の在留資格で在留している外国人の配偶者が離婚した場合は、他の在留資格に変更するため、在留資格変更許可申請をする必要があります。
家族滞在の在留資格をもつ外国人は、2022年(令和4年)の時点で約22万8千人います。国籍別では、中国が約6万8千人、ネパールが約4万2千人、ベトナムが約4万2千人などとなっています。
家族滞在の在留期間
家族滞在の在留期間は、扶養者の在留期間の満了日から1か月を超えない範囲内で月単位で指定されます。
在留資格変更許可、在留期間更新許可、在留資格取得許可で扶養者が3か月を超える在留期間を指定された場合は、4か月以上の在留期間が指定されます。
在留資格認定証明書交付では、通常は扶養者と同じ在留期間が指定されます。
申請の手続
家族滞在の在留資格を取得する場合は、申請人の在留状況に応じて、在留資格認定証明書交付申請、在留資格変更許可申請、在留資格取得許可申請のいずれかの手続が必要となります。
在留資格認定証明書交付申請
在留資格認定証明書交付申請は、申請人、法定代理人、外国人を受け入れようとする機関の職員その他法務省令で定める代理人(代理人)、申請等取次者(弁護士または行政書士を含む)が、出入国在留管理局に申請書、申請内容に応じて異なる必要書類を提出して行います。法定代理人または申請等取次者が申請を行う場合は、申請人または代理人が日本に滞在している必要があります。標準処理期間は、1か月~3か月とされています。
在留資格変更許可申請
在留資格変更許可申請は、申請人、法定代理人、申請等取次者(弁護士または行政書士、親族または同居者等を含む)が、出入国在留管理局に申請書、申請内容に応じて異なる必要書類を提出して行います。申請等取次者が申請を行う場合は、申請人が日本に滞在している必要があります。標準処理期間は、2週間~1か月とされています。
在留資格取得許可申請
在留資格取得許可申請は、申請人、法定代理人、申請等取次者(弁護士または行政書士、親族または同居者等を含む)が、出入国在留管理局に申請書、申請内容に応じて異なる必要書類を提出して行います。申請等取次者が申請を行う場合は、申請人が日本に滞在している必要があります。標準処理期間は、在留資格の取得の事由が生じた日から60日以内とされています。
申請提出者
法定代理人
申請人が18歳未満の場合は、親権者または未成年後見人、申請人が成年被後見人の場合は、成年後見人が法定代理人として申請を提出できます。
代理人
家族滞在の在留資格では、次の者が代理人として申請を提出できます。
1 日本において申請人を扶養することとなる者
2 日本に居住する申請人の親族
3 申請人を扶養する者の在留資格認定証明書交付申請の代理人となっている者
申請等取次者
地方出入国在留管理局長から申請等取次者としての承認を受けた雇用機関、教育機関、監理団体、公益法人の職員は、申請人からの依頼を受けた場合に申請等取次者として申請を提出できます(在留資格認定証明書交付申請の場合は公益法人の職員のみ)。
弁護士または行政書士
地方出入国在留管理局長に届出をした弁護士または行政書士は、申請人からの依頼を受けた場合に申請を提出できます。
親族または同居者等
申請人が16歳未満の場合や申請人が疾病その他の事由により自ら出頭することができない場合、申請人の親族または同居者もしくはこれに準ずる者で地方出入国在留管理局長が適当と認める者は、申請を提出できます。適当と認める者には、医療滞在の同行者、刑事施設・児童相談所・婦人相談所の施設の職員、老人ホーム等の職員、教育機関等の職員、児童養護施設等の職員などが当たります。
申請手続の流れ
申請は次のような流れで行います。在留資格認定証明書交付申請は、一般的には国外にいる外国人に代わり日本国内にいる代理人が行います。
申請人が自ら手続を行う場合
1 申請人は、出入国在留管理局(外国人在留総合インフォメーションセンター)に在留申請の相談をします。出入国在留管理局の担当者は、申請人の在留資格や在留状況を確認したうえで、申請の要件を満たす可能性があると判断した場合は、申請に必要な書類について説明します。
2 申請人は、申請書とその他の申請に必要な書類を作成・収集します。出入国在留管理局で説明される書類は、申請に最低限必要となる書類なので、審査を有利にするためには、その他にも様々な書類を作成・収集する必要があります。このとき、書類に誤った内容を記載しないこと、すべての書類で内容に整合性があること、審査を不利にする内容を記載していないこと、収集した書類の有効期間に余裕があることなどに注意する必要があります。
3 申請人は、作成・収集した書類を出入国在留管理局に提出するか、在留申請オンラインシステムを利用して申請します。
4 出入国在留管理局は、提出された書類をもとに審査を行い、必要に応じて追加の書類の提出を求める場合があります。
5 出入国在留管理局は、申請人に審査結果の通知を行います。申請が許可された場合、申請人は出入国在留管理局で在留資格認定証明書または在留カードを受け取ることができます。在留申請オンラインシステムを利用して申請した場合は、申請人は電子メールで在留資格認定証明書を受け取る、または郵送で在留カードを受け取ることができます(出入国在留管理庁「在留資格認定証明書の電子化について」)。日本にいる代理人が申請人の代わりに在留資格認定証明書の交付を受けた場合は、申請人に証明書を送付または電子メールを転送します。
6 申請が不許可となった場合、申請人は出入国在留管理局で不許可となった理由の説明を日本語で1回のみ受けられます。不許可となった理由は、再び申請をするときに改める必要があるため、申請に用いた書類の控えを残しておき、どのような理由で不許可となったのか調査できるようにしておく必要があります。不許可の理由の説明は、不許可の判断に対する不服申立の手続ではないため、申請人が不服を主張しても不許可の判断が覆ることはありません。
専門家に手続を依頼する場合
1 申請人は、専門家に在留申請の相談をします。専門家は、申請人の在留資格や在留状況を確認したうえで、申請の要件を満たす可能性があると判断した場合は、申請人の依頼を受けます。専門家によっては、在留申請の知識が不十分な場合もあるため、相談・依頼をするときは外国人の在留手続に詳しい専門家を利用することが重要です。
2 専門家は、必要な書類を作成・収集します。必要な書類については専門家の判断で作成・収集します。
3 専門家は、作成・収集した書類を出入国在留管理局に提出するか、在留申請オンラインシステムを利用して申請します。
4 出入国在留管理局は、提出された書類をもとに審査を行い、必要に応じて追加の書類の提出を求める場合があります。追加の書類の提出は、専門家が取り次いで行います。
5 出入国在留管理局は、専門家に審査結果の通知を行います。申請が許可された場合、専門家は出入国在留管理局で在留資格認定証明書または在留カードを受け取ることができます。在留申請オンラインシステムを利用して申請した場合は、専門家は電子メールで在留資格認定証明書を受け取る、または郵送で在留カードを受け取ることができます(出入国在留管理庁「在留資格認定証明書の電子化について」)。専門家は、申請人に証明書や在留カードを送付または電子メールを転送します。
6 申請が不許可となった場合、専門家は出入国在留管理局で不許可となった理由の説明を受け、申請人に伝えます。再び申請をするときは、申請人は専門家に不許可となった理由を調査して対策をとってもらうことで、許可される可能性が高くなります。
在留資格認定証明書交付申請
上陸許可基準
家族滞在の在留資格認定証明書を取得して上陸する場合、次のいずれかの在留資格をもって在留する者の扶養を受けて在留することが必要です。
教授、芸術、宗教、報道、高度専門職、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、興行、技能、特定技能2号、文化活動、留学
申請に必要となる書類
申請には、手続きに応じて、在留資格認定証明書交付申請書、在留資格変更許可申請書、在留資格取得許可申請書が必要となります。その他にも申請内容に応じて異なる書類が必要となります。
結核スクリーニング
3か月を超える滞在予定期間で在留資格認定証明書交付申請をする場合、フィリピン、ベトナム、中国、インドネシア、ネパール、ミャンマー国籍の外国人は、日本政府が指定した医療機関が発行する結核非発病証明書を提出する必要があります(厚生労働省「入国前結核スクリーニングの実施について」)。
まとめ
外国人が家族滞在の在留資格を取得するには、一定の要件を満たしたうえで、在留資格認定証明書交付申請、在留資格変更許可申請、在留資格取得許可申請のいずれかを行う必要があります。在留申請で提出する書類の作成・収集には、専門的な知識が必要となりますし、申請手続やその準備には多くの時間がかかります。また、不許可となった場合は、その理由を適切に調査できないと、何度申請しても許可されないおそれがあります。そのため、在留申請を行うときは、専門家の支援を受けることが大切です。当事務所では、外国人の在留申請を代行するお手伝いをしていますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。