特定活動(観光、保養を目的とする長期滞在者)とはどのような在留資格でしょうか。また、外国人が特定活動(観光、保養を目的とする長期滞在者)の在留資格を取得するにはどうすればよいのでしょうか。

特定活動(観光、保養を目的とする長期滞在者)とは

特定活動(観光、保養を目的とする長期滞在者)とは、外国人が1年を超えない期間日本に滞在して、観光、保養その他の活動を行うことを認める在留資格です。特定活動(観光、保養を目的とする長期滞在者)は、法務省告示40号で認められています(法務省告示(令和5年3月改正))。

その他の活動には、知人や親族の訪問、スポーツ、レジャー、寺社への参詣、アマチュアとしての競技会やコンテストへの参加、教育機関などが行う講習への参加などが当たります。

特定活動(観光、保養を目的とする長期滞在者)の在留資格で就労活動を行うことは認められません。また、原則として資格外活動許可を取得することもできません

配偶者の帯同

長期滞在者の配偶者は、特定活動(観光、保養を目的とする長期滞在者の配偶者)の在留資格の対象となります(法務省告示41号)。

長期滞在者の配偶者は、買い物などの目的で、ある程度単独で行動することは認められますが、相当の期間、別々の場所に居住して活動することは認められません

長期滞在者は、配偶者を帯同することは認められますが、子を帯同することは認められません

在留期間

特定活動(観光、保養を目的とする長期滞在者)の在留期間

特定活動(観光、保養を目的とする長期滞在者)の在留期間は6か月となります。また、在留期間は1度更新することができ、通算1年の在留が認められます。

特定活動(観光、保養を目的とする長期滞在者の配偶者)の在留資格から変更する場合は、通算1年を超えない範囲内で6か月を上限として月単位で指定されます。

特定活動(観光、保養を目的とする長期滞在者の配偶者)の在留期間

特定活動(観光、保養を目的とする長期滞在者の配偶者)の在留期間は、扶養者の在留期間の満了日から1か月を超えない範囲内で月単位で指定されます。

在留資格変更許可、在留期間更新許可、在留資格取得許可では、4か月以上の在留期間が指定されます。

在留資格認定証明書交付では、通常は扶養者と同じ在留期間が指定されます。

申請の手続

特定活動(観光、保養を目的とする長期滞在者)の在留資格を取得する場合は、申請人の在留状況に応じて、在留資格認定証明書交付申請、在留資格変更許可申請、在留資格取得許可申請のいずれかの手続が必要となります。

在留資格認定証明書交付申請

在留資格認定証明書交付申請は、申請人、法定代理人、外国人を受け入れようとする機関の職員その他法務省令で定める代理人(代理人)、申請等取次者(弁護士または行政書士を含む)が、出入国在留管理局に申請書、申請内容に応じて異なる必要書類を提出して行います。法定代理人または申請等取次者が申請を行う場合は、申請人または代理人が日本に滞在している必要があります。標準処理期間は、1か月~3か月とされています。

在留資格変更許可申請

在留資格変更許可申請は、申請人、法定代理人、申請等取次者(弁護士または行政書士、親族または同居者等を含む)が、出入国在留管理局に申請書、申請内容に応じて異なる必要書類を提出して行います。申請等取次者が申請を行う場合は、申請人が日本に滞在している必要があります。標準処理期間は、2週間~1か月とされています。

在留資格取得許可申請

在留資格取得許可申請は、申請人、法定代理人、申請等取次者(弁護士または行政書士、親族または同居者等を含む)が、出入国在留管理局に申請書、申請内容に応じて異なる必要書類を提出して行います。申請等取次者が申請を行う場合は、申請人が日本に滞在している必要があります。標準処理期間は、在留資格の取得の事由が生じた日から60日以内とされています。

申請提出者

法定代理人

申請人が成年被後見人の場合は、成年後見人が法定代理人として申請を提出できます。

代理人

特定活動(観光、保養を目的とする長期滞在者)の在留資格では、次の者が代理人として申請を提出できます。

1 申請人が所属して活動を行うこととなる機関の職員

2 申請人を雇用する者または法務大臣が告示をもって定める者

申請等取次者

地方出入国在留管理局長から申請等取次者としての承認を受けた雇用機関、教育機関、監理団体、公益法人の職員は、申請人からの依頼を受けた場合に申請等取次者として申請を提出できます(在留資格認定証明書交付申請の場合は公益法人の職員のみ)。

弁護士または行政書士

地方出入国在留管理局長に届出をした弁護士または行政書士は、申請人からの依頼を受けた場合に申請を提出できます。

親族または同居者等

申請人が疾病その他の事由により自ら出頭することができない場合、申請人の親族または同居者もしくはこれに準ずる者で地方出入国在留管理局長が適当と認める者は、申請を提出できます。適当と認める者には、医療滞在の同行者、刑事施設・児童相談所・婦人相談所の施設の職員、老人ホーム等の職員、教育機関等の職員、児童養護施設等の職員などが当たります。

申請手続の流れ

申請は次のような流れで行います。在留資格認定証明書交付申請は、一般的には国外にいる外国人に代わり日本国内にいる代理人が行います。

申請人が自ら手続を行う場合

1 申請人は、出入国在留管理局(外国人在留総合インフォメーションセンター)に在留申請の相談をします。出入国在留管理局の担当者は、申請人の在留資格や在留状況を確認したうえで、申請の要件を満たす可能性があると判断した場合は、申請に必要な書類について説明します。

2 申請人は、申請書とその他の申請に必要な書類を作成・収集します。出入国在留管理局で説明される書類は、申請に最低限必要となる書類なので、審査を有利にするためには、その他にも様々な書類を作成・収集する必要があります。このとき、書類に誤った内容を記載しないこと、すべての書類で内容に整合性があること、審査を不利にする内容を記載していないこと、収集した書類の有効期間に余裕があることなどに注意する必要があります。

3 申請人は、作成・収集した書類を出入国在留管理局に提出するか、在留申請オンラインシステムを利用して申請します。

4 出入国在留管理局は、提出された書類をもとに審査を行い、必要に応じて追加の書類の提出を求める場合があります。

5 出入国在留管理局は、申請人に審査結果の通知を行います。申請が許可された場合、申請人は出入国在留管理局で在留資格認定証明書または在留カードを受け取ることができます。在留申請オンラインシステムを利用して申請した場合は、申請人は電子メールで在留資格認定証明書を受け取る、または郵送で在留カードを受け取ることができます(出入国在留管理庁「在留資格認定証明書の電子化について」)。日本にいる代理人が申請人の代わりに在留資格認定証明書の交付を受けた場合は、申請人に証明書を送付または電子メールを転送します。

6 申請が不許可となった場合、申請人は出入国在留管理局で不許可となった理由の説明日本語で1回のみ受けられます。不許可となった理由は、再び申請をするときに改める必要があるため、申請に用いた書類の控えを残しておき、どのような理由で不許可となったのか調査できるようにしておく必要があります。不許可の理由の説明は、不許可の判断に対する不服申立の手続ではないため、申請人が不服を主張しても不許可の判断が覆ることはありません。

専門家に手続を依頼する場合

1 申請人は、専門家に在留申請の相談をします。専門家は、申請人の在留資格や在留状況を確認したうえで、申請の要件を満たす可能性があると判断した場合は、申請人の依頼を受けます。専門家によっては、在留申請の知識が不十分な場合もあるため、相談・依頼をするときは外国人の在留手続に詳しい専門家を利用することが重要です。

2 専門家は、必要な書類を作成・収集します。必要な書類については専門家の判断で作成・収集します。

3 専門家は、作成・収集した書類を出入国在留管理局に提出するか、在留申請オンラインシステムを利用して申請します。

4 出入国在留管理局は、提出された書類をもとに審査を行い、必要に応じて追加の書類の提出を求める場合があります。追加の書類の提出は、専門家が取り次いで行います。

5 出入国在留管理局は、専門家に審査結果の通知を行います。申請が許可された場合、専門家は出入国在留管理局で在留資格認定証明書または在留カードを受け取ることができます。在留申請オンラインシステムを利用して申請した場合は、専門家は電子メールで在留資格認定証明書を受け取る、または郵送で在留カードを受け取ることができます(出入国在留管理庁「在留資格認定証明書の電子化について」)。専門家は、申請人に証明書や在留カードを送付または電子メールを転送します。

6 申請が不許可となった場合、専門家は出入国在留管理局で不許可となった理由の説明を受け、申請人に伝えます。再び申請をするときは、申請人は専門家に不許可となった理由を調査して対策をとってもらうことで、許可される可能性が高くなります。

長期滞在者の要件

長期滞在者は、次の要件を満たす必要があります(法務省告示(令和5年3月改正))。

1 18歳以上であること

2 査証免除措置の対象となる国・地域の外国人であること。

2023年の時点で69の国と地域が査証免除措置の対象となっています(外務省「ビザ免除国・地域」)。

3 申請人と配偶者の預貯金の合計額が日本円で3000万円以上であること

配偶者が観光、保養などの活動を指定されて在留している、または在留しようとしている場合は、6000万円以上であること

4 滞在期間中に死亡し、負傷し、または疾病に罹患した場合における保険に加入をしていること

申請に必要となる書類

申請には、手続きに応じて、在留資格認定証明書交付申請書、在留資格変更許可申請書、在留資格取得許可申請書が必要となります。その他にも申請内容に応じて異なる書類が必要となります。

結核スクリーニング

在留資格認定証明書交付申請をする場合、インドネシア国籍の外国人は、日本政府が指定した医療機関が発行する結核非発病証明書を提出する必要があります(厚生労働省「入国前結核スクリーニングの実施について」)。

まとめ

外国人が特定活動(観光、保養を目的とする長期滞在者)の在留資格を取得するには、一定の要件を満たしたうえで、在留資格認定証明書交付申請、在留資格変更許可申請、在留資格取得許可申請のいずれかを行う必要があります。在留申請で提出する書類の作成・収集には、専門的な知識が必要となりますし、申請手続やその準備には多くの時間がかかります。また、不許可となった場合は、その理由を適切に調査できないと、何度申請しても許可されないおそれがあります。そのため、在留申請を行うときは、専門家の支援を受けることが大切です。当事務所では、外国人の在留申請を代行するお手伝いをしていますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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