特定技能の漁業分野で外国人を受け入れるにはどうすればよいのでしょうか、特定技能の漁業分野で外国人を受け入れる場合の要件について解説します。

特定技能とは

特定技能とは、日本において人材確保が困難となっている特定の産業分野において、日本の公私の機関との雇用契約に基づいて知識や技能を有する外国人が業務に従事することを認める在留資格です。

特定技能の在留資格は、介護、ビルクリーニング、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業の12種類の産業分野(特定産業分野)で認められています。

特定技能の在留資格をもつ外国人は、2022年(令和4年)の時点で約13万1千人います。漁業分野で特定技能の在留資格をもつ外国人は、2022年(令和4年)の時点で約1500人います。

特定技能の活動制限

特定技能1号

特定技能1号では、日本の公私の機関との雇用に関する契約に基づいて行う特定産業分野であって、相当程度の知識または経験を必要とする技能を要する業務に従事する活動を行うことが認められます。

特定技能2号

特定技能2号では、日本の公私の機関との雇用に関する契約に基づいて行う特定産業分野であって、熟練した技能を要する業務に従事する活動を行うことが認められます。特定技能2号の在留資格は、特定技能1号から在留資格の変更を申請する必要があります。

特定技能の在留期間

特定技能の在留期間は、特定技能1号の場合は、1年を超えない範囲内の期間、特定技能2号の場合は、3年、1年、6か月のいずれかとなります。

特定技能1号では、在留期間を更新することで通算5年特定技能2号では、在留期間を更新することで上限なく在留が認められます。

漁業分野で外国人を受け入れるには

特定技能の漁業分野で外国人を受け入れるには、外国人を就労させる受入機関(特定技能所属機関)が、外国人と雇用契約(特定技能雇用契約)を結ぶ必要があります。特定技能雇用契約は、出入国管理及び難民認定法、および法務省令「特定技能雇用契約及び1号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令(令和2年改正)」の要件を満たす必要があります。また、漁業分野では「農林水産省告示(平成31年3月制定)」の要件を満たす必要があります。各要件の詳細について、「分野別運用方針」、「分野別運用要領(令和5年6月改正)」、「運用要領『漁業分野の基準について』(令和5年8月改正)」が定められています。

漁業分野で外国人を雇用する場合は、外国人を直接雇用するだけでなく、労働者派遣により間接雇用することが認められます

特定技能所属機関の要件

特定技能所属機関は、次のいずれの要件も満たす必要があります。

1 「漁業特定技能協議会」の構成員であること、ただし、特定技能外国人を受け入れていない機関は、特定技能外国人を受け入れた日から4か月以内に協議会の構成員となること

2 協議会において協議が調った事項に関する措置を講ずること

3 協議会およびその構成員が行う報告の徴収、資料の要求、調査その他の指導に対し、必要な協力を行うこと

4 特定技能外国人を労働者派遣の対象とする場合は、3の必要な協力を行う者に労働者派遣をすることとしていること

特定技能所属機関が労働者派遣を行う場合は、地方公共団体、漁業経営体、養殖経営体のように漁業を行っている者、または漁業協同組合、漁業生産組合、漁業協同組合連合会その他漁業に関連する業務を行っている者が関与する機関であることが必要です。

5 登録支援機関に1号特定技能外国人支援計画の全部の実施を委託する場合は、3を満たす登録支援機関に委託していること

6 特定技能外国人からの求めに応じ、漁業分野に関する実務経験を証明する書面を交付すること

漁業分野で外国人が従事できる業務

特定技能の漁業分野で外国人を雇用する場合は、外国人に従事させる業務が次のものであることが必要です。また、業務と併せて、業務に従事する日本人が通常従事することとなる関連業務付随的に従事させることが認められます。

特定技能1号

船長や漁労長等の監督者の指示を理解し、または監督者の包括的な指示の下で自ら判断しながら、漁労作業や養殖作業に従事する業務

漁業 漁具の製作・補修、水産動植物の探索、漁具・漁労機械の操作、水産動植物の採捕、漁獲物の処理・保蔵、安全衛生の確保等

養殖業 養殖資材の製作・補修・管理、養殖水産動植物の育成管理、養殖水産動植物の収獲(穫)・処理、安全衛生の確保等

特定技能2号

船長や漁労長、養殖経営者の下で、操業を指揮監督する者や養殖を管理する者を補佐する者、または他の作業員を指導しながら自らも作業に従事し、作業工程を指揮・管理する者として漁労作業や養殖作業に従事する業務

漁業 漁具の製作・補修、水産動植物の探索、漁具・漁労機械の操作、水産動植物の採捕、漁獲物の処理・保蔵、安全衛生の確保等、操業を指揮監督する者の補佐、作業員の指導および作業工程の管理

養殖業 養殖資材の製作・補修・管理、養殖水産動植物の育成管理、養殖水産動植物の収獲(穫)・処理、安全衛生の確保等、養殖を管理する者の補佐、作業員の指導および作業工程の管理

関連業務の例

・ 漁具・漁労機械の点検・換装
・ 船体の補修・清掃
・ 魚倉、漁具保管庫・番屋の清掃
・ 漁船への餌、氷、燃油、食材、日用品その他の操業・生活資材の仕込・積込み
・ 自家生産物の運搬・陳列・販売
・ 自家生産物または当該生産に伴う副産物を原料または材料の一部として使用する製造・加工および当該製造物・加工物の運搬・陳列・販売
・ 魚市場・陸揚港での漁獲物の選別・仕分け
・ 体験型漁業の際に乗客が行う水産動植物の採捕の補助
・ 社内外における研修

漁業

・ 出漁に係る炊事・賄い
・ 採捕した水産動植物の生簀における畜養その他付随的な養殖

養殖業

・ 養殖用の機械・設備・器工具等の清掃・消毒・管理・保守
・ 鳥獣に対する駆除、追払、防護ネット・テグス張り等の養殖場における食害防止
・ 養殖水産動植物の餌となる水産動植物や養殖用稚魚の採捕その他付随的な漁業

まとめ

特定技能の漁業分野で外国人を受け入れるには、外国人と特定技能雇用契約を結び直接雇用する必要があります。また、特定技能の在留資格で外国人が従事できる業務は決まっているため、その範囲内で業務に従事させる必要があります。当事務所では、特定技能の在留資格で外国人を受け入れるお手伝いをしていますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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