昨今の不動産業界では、外国人を対象にした物件を取り扱うことが多くなってきました。外国人留学生や外国人就労者が顧客になるため、不動産会社としても外国語を話せる外国人スタッフの確保は急務となっています。ここでは、不動産会社で外国人を雇用するための就労ビザについて説明していきます。

 

不動産会社で外国人スタッフを雇用する「理由」が重要

2022年現在、昨今のコロナ禍により新規に入国する外国人は非常に少なくなりましたが、すでに日本に居住している外国人留学生や外国人就労者は一定程度存在します。彼らに対する賃貸物件の仲介では外国語が必要になる場面も多いことから、不動産業界では外国人を雇用しようとする動きも顕著です。また、アジア系富裕層による日本の土地や物件購入ニーズが変わらずあることからも、高度な日本語能力と専門知識を備えた外国人スタッフの需要は常にあると考えていいでしょう

 

不動産業界では「通訳・翻訳」のスキルが重宝される

外国人スタッフに求められる業務として代表的なのが、賃貸における通訳や翻訳の能力であり、土地や物件販売における高度な営業能力です。いずれも求められる能力は高いことから、優秀な人材の確保がテーマになっているのです。

 

外国人が経営や法学などの学士を持っている場合

この場合、賃貸や売買に繋がる専門知識を備えていると判断されやすいうえ、法的知識があることも強みになるので、特に営業や対面接客スタッフとしての人材が求められるでしょう。外国人を相手にする営業や接客では、通訳・翻訳の力はもはや標準的に備えていることが前提になりそうです。

 

外国人の専攻内容と業務との関連性が重要

就労ビザの申請においては、外国人が日本国内で身につけた専門分野が不動産業と関連性があることが重要です。実際に雇用された場合、外国人の持つ能力が不動産業で十分に活かせるかどうかが、入国管理局による審査および判断におけるポイントとなってくるからです。この点を満たすことができれば、採用したい外国人に対するビザの許可も取りやすくなると考えられます。

 

通訳・翻訳スタッフなら技術・人文知識・国際業務の在留資格申請を

外国人顧客が存在する限り、外国語を話せる人材は不可欠だといえます。そこで、通訳・翻訳ができる外国人を雇用する場合は、技術・人文知識・国際業務の在留資格申請を行うことになるでしょう。通訳・翻訳業務は、技術・人文知識・国際業務の在留資格のなかでも「国際業務」に該当します。以下に挙げる要件を満たすことを確認のうえ申請に臨みましょう。なお、雇用側である不動産会社の外国人顧客割合をデータとして添付すると、より根拠のある申請書類となります。

 

技術・人文知識・国際業務の在留資格申請

申請に際し重要になるのは、企業カテゴリーのどこに該当するかという点です。カテゴリー1から4のどれに当たるかによって、提出すべき申請書類が変わってくるからです。

 

【企業カテゴリー】

カテゴリー1:主に上場企業

カテゴリー2:前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表中,給与所得の源泉徴収票合計表の源泉徴収税額が1,000万円以上ある団体・個人

カテゴリー3:前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出され、かつカテゴリー2に該当しない団体・個人

カテゴリー4:カテゴリー1から3に該当しない団体・個人

 

企業カテゴリーにより、それぞれ以下の書類を用意し申請を行いましょう。 

 

【カテゴリー1の場合の申請書類】

在留資格認定証明書交付申請書

既定の写真

簡易書留用の切手を貼付した返信用封筒

上場企業であることの証明文書

 

【カテゴリー2の場合の申請書類】

在留資格認定証明書交付申請書

既定の写真

簡易書留用の切手を貼付した返信用封筒

前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表のコピー

 

【カテゴリー3の場合の申請書類】

在留資格認定証明書交付申請書

既定の写真

簡易書留用の切手を貼付した返信用封筒

外国人の履歴書

大学などの卒業証明書

在職証明書など

住民税の課税証明書

雇用契約書など労働条件が明記された文書

雇用元企業の法人登記事項証明書

雇用元企業の事業内容がわかるパンフレットなど

前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表のコピー

直近年度の決算書類のコピー

 

【カテゴリー4の場合の申請書類】

在留資格認定証明書交付申請書

既定の写真

簡易書留用の切手を貼付した返信用封筒

外国人の履歴書

大学などの卒業証明書

在職証明書など

住民税の課税証明書

雇用契約書など労働条件が明記された文書

雇用元企業の法人登記事項証明書

雇用元企業の事業内容がわかるパンフレットなど

前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表のコピー

直近年度の決算書類のコピー

 

まとめ

不動産業界で外国人の就労ビザを取るために最も重要なことは、採用しようとする外国人と従事させたい業務に関連性があることです。同時に、通訳・翻訳の能力も不可欠になります。ただし、外国人顧客が一定数いる不動産会社は絞られることが予想されるので、実際に当該不動産会社に外国人スタッフが必要であること・通訳や翻訳の業務が必要であることの証明を行うことが大切になってくるでしょう。

判断や立証の難しさもありますので、許認可の専門家である行政書士に相談・依頼されることをおすすめします。

 

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