近年、金融業界でも優秀な外国人を雇用しようとする動きが活発になってきました。ここでは、雇用に際してどのような就労ビザを取ればいいか説明していきます。

 

高度外国人材が多い金融業界

金融業で外国人を雇用しようとする場合、最も適切なビザは技術・人文知識・国際業務の在留資格になります。一般的に、日本国内で金融業に外国人を採用しようという企業は大手が多いことから、ビザ申請時に申告が必要な企業カテゴリーも「1」「2」に該当する傾向があり、比較的ビザ取得はスムーズであるといわれています。

 

金融業界は高度専門職に該当する外国人採用が多い

金融業界では、預貯金の扱いだけではなく外国為替など高度な知識と高い日本語能力を必要とすることから、採用しようとする外国人も高学歴で高収入であることが多いといえます。企業・外国人ともに十分な条件を備えていることから、高度専門職としての就労ビザを取得しやすいといえるでしょう。なお、高度専門職として認められるためには、法務省が定めるポイント制でどの程度のスコアを得なければなりません。十分なポイントを獲得し高度専門職として認められれば、一般的な技術・人文知識・国際業務の在留資格に比べてより優遇された環境が約束されます。

 

高度専門職ならではのポイント制と優遇措置

高度専門職のポイント制とは

高度専門職の判断基準として高いポイントを得ることができれば、受け入れ促進を目的とした当該外国人の出入国在留管理上の優遇措置を受けることができます。特に優れた人材が対象になり、学歴・職歴・年収など法務省が設けた項目で合計70点に達することができれば、高度専門職として認められるのです。高度専門職には1号と2号の2種類あり、それぞれ異なる優遇条件が与えられます。以下、法務省ホームページによる「高度人材ポイント制による出入国在留管理上の優遇制度」をもとに整理します。

 

【高度専門職1号】

1.「複合的な在留活動の許容」:資格外活動許可や在留資格変更許可を得ることなしに、異なる在留資格が必要な他の活動も複合的に行うことができます。

2.「在留許可5年」:高度専門職1号と認められれば、一律で5年の在留許可を得ることができ、また更新することができます。

3.「永住許可要件の緩和」:以下のいずれかに該当する場合は、永住許可申請に求められる在留歴が短期化されます。

  1. ポイントを70点以上獲得し高度外国人材として日本に3年以上在留している
  2. 80点以上のポイント有し高度外国人材として日本に1年以上在留している

4.「在留資格申請の処理短期化」:出入国在留管理庁は、高度外国人材による在留資格認定証明書交付申請においては受理から10日以内、在留期間更新申請、在留資格変更申請においては受理から5日以内に処理する努力を行います。

5.「配偶者の就労条件緩和」:高度外国人材の配偶者は、学歴や職歴の要件を満たすことなく、特定活動の在留資格に基づく就労が可能です。

6.「親の帯同」:7歳未満の子がいるか、本人または配偶者が妊娠中の場合、いずれかの親を呼び寄せることが可能です。

7.「家事使用人の帯同」:高度外国人材については本国で雇用していた家事使用人を帯同することができます。ただし、高度外国人材の世帯年収が1,000万円以上である・家事使用人を1年以上雇用しているなど、要件を満たす必要があります。

 

【高度専門職2号】

高度専門職1号として3年以上日本で活動してきた経歴がある場合、高度専門職2号の在留資格を得ることができ、以下のような優遇措置を受けられます

 

  • 高度専門職1号の活動に加えさまざまな在留資格の就労活動が可能
  • 無期限の在留期間
  • 永住許可要件の緩和
  • 配偶者の就労条件緩和、親や家事使用人の帯同

 

このような優遇措置からは、人材不足の日本において外国から優秀な外国人を呼び寄せることへの重要性がうかがえます。金融業で外国人を採用したい場合は、その経歴をよく確認し、高度専門職の申請要件を満たすかどうか確認することが大切です。

 

まとめ

金融業界は非常に専門性の高い業界であるため、呼び寄せる外国人も自ずと優秀な人材となることがほとんどです。やはり目指すべきは高度専門職の在留資格ですので、要件を満たすかどうかよく確認したうえで採用することも大切になってきます。ただし、高度専門職1号および2号に該当するためのポイント制はやや複雑であることから、許認可の専門家である行政書士のサポートを受けて、間違いのない申請を行うことをおすすめします

 

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