日本で働く外国人就労者であれば、家族滞在ビザという在留資格により、日本に滞在しながら一定条件のもと働くことができます。ここでは、家族滞在ビザの概要と申請要件について説明していきます。
家族滞在ビザの目的と対象者
家族滞在ビザを申請できるのは、就労ビザをすでに持っている外国人就労者の配偶者や子供に限られます。外国人就労者の兄弟姉妹もしくは親は含まれていませんので、あらかじめ理解しておきましょう。家族滞在ビザの目的は、外国人就労者が親子揃って暮らせることにあり、就労を主目的としたものではない点にも注意が必要です。外国人就労者のほかには、外国人留学生にも家族滞在の在留資格が認められることがあります。留学生は必ずしも若年層ばかりではなく、家族を持った年齢の人であることも多いため、条件を満たすことができれば在留資格を得られる可能性があるのです。
家族滞在ビザで認められている就労時間
家族滞在の在留資格は、前述の通り外国人就労者が家族揃って暮らすことを主目的としていますが、条件により一定範囲内での就労も可能とされています。例えば、家族滞在の在留資格が認められれば、週28時間以内に限りアルバイトなどの身分で働くことが許されているのです。ただし、あくまでも就労の主となるのは就労ビザを持っている外国人なので、その扶養範囲を超えることはできません。
子が成人したら更新か就労ビザへの変更を
家族滞在ビザで在留する子供が成人した場合、日本国内の教育機関で学び続けるか就労するか、もしくは一人で帰国するか、三つの選択肢から選ぶ必要が出てくるでしょう。成人すれば親の扶養に入らなくても自立できると見なされるからです。このため、学校に引き続き通う場合は家族滞在ビザの更新手続きを、日本国内の企業に就職する場合は就労ビザの手続きを、それぞれ進め取得する必要があります。
親の呼び寄せには短期滞在ビザか特定活動ビザの取得を
家族滞在ビザの対象はあくまでも配偶者と子供に限られ、親は対象外となります。このため、親を日本に呼びたい場合は、15日間・30日間・90日間いずれかの短期滞在ビザを取得のうえ、来日してもらうことになります。ただし、親が高齢であったり現地に身寄りがなかったりするような場合、人道上の観点から考慮すべき事情があると見なされる可能性もあるため、長期滞在が可能な特定活動ビザで呼び寄せることもできるでしょう。当然ながら在留資格の取得には審査があるため、先に述べたように審査官が「在留資格を認めるのが相当」と思えるような事情が背景にあることが重要です。
外国人留学生に資力があれば家族滞在ビザも検討
外国人留学生は大学生や大学院生に多く見られ、すでに家庭を持っている人も珍しくありません。これら外国人留学生の配偶者や子供も、人道的な観点では家族滞在ビザでの呼び寄せが可能と考えることもできますが、その際問題となってくるのは「日本で暮らしていくだけの経済力があるかどうか」という点です。外国人留学生自身、日本で働ける時間に制限があり、収入に限界があるのが一般的だからです。ただし、もともと資力があることを証明できれば、配偶者や子供に家族滞在ビザが認められる可能性が見えてくるかもしれません。
家族滞在の在留資格を得るための要件とは
家族滞在ビザの対象となるのは、就労ビザ(場合により留学生ビザを含むことがある)で在留している外国人の配偶者と子供です。このことを前提として、申請にあたって以下の要件を満たすことが求められます。
家族滞在ビザの申請要件
- 法的な婚姻関係を結んだ配偶者であること
- 法的に認められる夫婦の子であること
- 就労ビザを持つ外国人に扶養されること
- 滞在費用が十分にあること
- 日本の国益を損なうような入国拒否事由に当たらないこと
- 有効なパスポートを所持していること
- 子供の将来教育について道筋が明らかになっていること
- 外国人就労者本人の仕事に安定性と継続性があること
まとめ
ここでは、家族滞在という在留資格を申請できる対象や申請要件について説明しました。就労ビザを持つ外国人就労者の配偶者と子供にだけ認められる特殊な在留資格ですので、申請の検討段階から行政書士に依頼し、専門的助言を受けながら慎重に手続きを進めることが大切です。当事務所でも在留資格の申請についてご相談・ご依頼を承っていますので、ぜひお気軽にご連絡ください。