日本人と香港人の国際結婚では、どのような点に注意する必要があるのでしょうか。日本人どうしの結婚の場合と異なる点について解説します。
香港における婚姻の成立要件
香港の婚姻の成立要件や手続は中国とは異なります。香港では、男性・女性ともに16歳から結婚することができます。香港では再婚禁止期間はなく、重婚は禁止されています。
日本人と香港人の結婚の手続
日本人と香港人が結婚する場合、日本の手続を先に行う方法と香港の手続を先に行う方法があります。香港の手続を先に行うと、香港で生活するうえで必要となる香港の婚姻証明書が発行されますが、日本の手続を先に行うと婚姻証明書は発行されません。結婚した後に日本と香港のいずれに生活の基盤を置くか、あらかじめ決めておいて手続を行うことが大切です。
中国は「外国公文書の認証を不要とする条約」に加盟しているため、一般的に日本の公文書を香港で提出する場合は、日本の外務省で認証(アポスティーユ)を受ける必要があります。ただし、書類の種類や提出先によって認証の扱いが異なる場合があるため、認証が必要な書類については、あらかじめ書類の提出先に確認しておくことが大切です。
日本の手続を先に行う方法
香港の婚姻要件具備証明書の取得
日本にある中国大使館または領事館に香港の婚姻要件具備証明書の発行を申請します。その際に次のような書類を提出する必要があります。婚姻記録不在証明書は、香港の婚姻登記所で取得できます。
日本人が提出する必要がある書類
1 戸籍謄本
香港人が提出する必要がある書類
2 有効な旅券(パスポート)
3 婚姻記録不在証明書
日本の手続
日本の役場に婚姻届を提出します。その際に次のような書類を提出する必要があります。
日本人が提出する必要がある書類
1 身分証明書
2 戸籍謄本(本籍地以外で手続を行う場合)
香港人が提出する必要がある書類
3 有効な旅券(パスポート)
4 香港の婚姻要件具備証明書
5 香港の書類の日本語訳
香港の手続
日本で婚姻届を提出することで、香港においても有効に婚姻が成立します。
香港の手続を先に行う方法
日本の婚姻要件具備証明書の取得
日本の法務局または香港にある日本領事館に日本の婚姻要件具備証明書の発行を申請します。その際に次のような書類を提出する必要があります。
日本人が提出する必要がある書類
1 有効な旅券(パスポート)
2 戸籍謄本
香港人が提出する必要がある書類
3 有効な旅券(パスポート)
香港の手続
香港の婚姻登記所で予約して婚姻意思の通知を行います。その際に次のような書類を提出する必要があります。続いて、婚姻意思の通知から3か月以内に結婚式を行います。結婚式で婚姻の宣誓を行い、婚姻証明書に署名することで有効に婚姻が成立します。
日本人が提出する必要がある書類
1 有効な旅券(パスポート)
2 日本の婚姻要件具備証明書
3 日本の書類の中国語訳
香港人が提出する必要がある書類
4 身分証明書
日本の手続
香港の手続から3か月以内に日本の役場または香港にある日本領事館に婚姻届を提出することで、日本においても有効に婚姻が成立します。その際に次のような書類を提出する必要があります。日本領事館に婚姻届を提出するよりも日本の役場に提出する方が手続は早く終わります。
日本人が提出する必要がある書類
1 身分証明書
2 戸籍謄本(本籍地以外で手続を行う場合)
香港人が提出する必要がある書類
3 有効な旅券(パスポート)
4 婚姻証明書
5 香港の書類の日本語訳
まとめ
日本人と香港人が結婚する場合、日本の手続を先に行う方法と香港の手続を先に行う方法があります。日本の手続を先に行う場合は、日本で婚姻届を提出することで香港でも有効に婚姻が成立します。香港の手続を先に行う場合は、婚姻意思の通知をして結婚式を行った後、日本で婚姻届を提出します。いずれの方法を選ぶかにより必要な書類は異なります。結婚の手続や必要な書類は変更される場合があるため、あらかじめ日本の市区町村役場や中国大使館または領事館に確認しておくことが重要です。国際結婚の手続を行うときは、日本と外国それぞれの法律に従って手続を行う必要があり、在留資格の変更が必要となる場合もあるため、専門家の支援を受けることが大切です。当事務所では、日本人と外国人の国際結婚のお手伝いをしていますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。