外国人が日本に在留する場合、どのような資格でどの程度の期間、日本に在留することができるのでしょうか。

目次

在留資格とは

在留資格とは、外国人が日本に在留するために必要となる資格です。在留資格は、外国人が日本で行うことのできる活動と期間によって類型化されています。

在留資格には、外国人の身分や地位に応じて認められる在留資格(居住資格)と外国人が日本で行う活動に応じて認められる在留資格(活動資格)があります。在留資格は、行うことができる活動により、就労に制限がない在留資格、原則として就労可能な在留資格、原則として就労不可能な在留資格に分かれています。また、在留期間により、在留期間が無期限の在留資格、長期滞在できる在留資格、短期滞在しかできない在留資格に分かれています。

2023年の時点で在留資格は全部で29種類あり、一部の在留資格は活動内容により、さらに細かく分かれています。(出入国在留管理庁「在留資格一覧表」)

外国人が在留資格をもたないで日本に在留している場合は、退去強制の対象となります。外国人が在留資格で認められた範囲を超える活動を行ったり、在留期間を超えて日本に在留し続けたりする場合は、在留資格を変更したり在留期間を更新したりする手続を行う必要があります。

就労による在留資格の分類

在留資格は、行うことができる活動により次のように分類できます。

居住資格(就労に制限がない在留資格)

居住資格をもつ外国人は、原則として日本における活動に制限がなく、日本人と同じように就労することができます。

永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者

原則として就労可能な活動資格

原則として就労可能な活動資格をもつ外国人は、それぞれの在留資格で認められた活動の範囲で就労することができます。在留資格で認められた範囲を超えて就労する場合は、資格外活動許可を取得する必要があります。

外交、公用、教授、芸術、宗教、報道、高度専門職、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、興行、技能、特定技能、技能実習、特定活動

原則として就労不可能な活動資格

原則として就労不可能な在留資格をもつ外国人は、原則として日本で就労することはできません。ただし、資格外活動許可を取得することで例外的に就労することができます。

文化活動、短期滞在、留学、研修、家族滞在

期限による在留資格の分類

在留資格は、在留期限により次のように分類できます。

在留期間が無期限の在留資格

在留期間が無制限の在留資格は、在留期間を更新することなく無制限に日本に在留することが認められています。ただし、日本国籍を取得する帰化とは異なり、外国人であることには変わりがないため、在留カードの更新などの手続は必要となります。

永住者、高度専門職2号

長期滞在できる在留資格

長期滞在できる在留資格は、在留資格により最長5年日本に在留することが認められています。長期滞在できる在留資格で在留している外国人が、在留期間を経過して引き続き日本に在留する場合は、在留期間の更新が必要となります。

日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者、外交、公用、教授、芸術、宗教、報道、高度専門職1号、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、興行、技能、特定技能、技能実習、特定活動、文化活動、留学、研修、家族滞在

短期滞在しかできない在留資格

短期滞在の在留資格は、最長90日、日本に在留することが認められています。短期滞在している外国人が、在留期間を経過して引き続き日本に在留する場合は、在留期間の更新が必要となります。ただし、短期滞在の在留資格は容易に取得できることから、在留期間の更新が認められるためには、病気の治療が必要な場合や災害などで出国が困難な場合など、人道上の真にやむをえない事情が必要とされています。

短期滞在

原則として就労可能な活動資格と在留期間

在留資格のうち活動資格で行うことができる活動については、出入国管理及び難民認定法の別表第1に、居住資格を取得できる者については別表第2に、活動資格および居住資格の在留期間については施行規則別表第2に定められています。

外交

外交は、外国政府の外交使節団または領事機関の構成員、外国の国家元首や高官などが外交活動を行うために日本に在留することができる在留資格です。

行うことができる活動

1 日本国政府が接受する外国政府の外交使節団または領事機関の構成員としての活動

2 条約または国際慣行により外交使節と同様の特権および免除を受ける者としての活動

3 1および2の者と同一の世帯に属する家族の構成員としての活動

在留期間

外交活動を行う期間となります。

公用

公用は、外国政府または国際機関の日本における公務に従事する活動を行うことができる在留資格です。

行うことができる活動

1 日本国政府の承認した外国政府または国際機関の公務に従事する者としての活動

2 1の者と同一の世帯に属する家族の構成員としての活動

外交の在留資格で認められる活動は除く

在留期間

5年、3年、1年、3か月、30日、15日のいずれかとなります。

教授

教授は、日本の大学、大学に準ずる機関、高等専門学校といった研究・教育機関において、研究、指導、教育をすることを認める在留資格です。

行うことができる活動

日本の大学もしくはこれに準ずる機関または高等専門学校において研究、研究の指導または教育をする活動

在留期間

5年、3年、1年、3か月のいずれかとなります。

芸術

芸術は、音楽、美術、文学などの芸術活動により収入を得ることを認める在留資格です。

行うことができる活動

収入をともなう音楽、美術、文学その他の芸術上の活動

興行の在留資格で認められる活動は除く

在留期間

5年、3年、1年、3か月のいずれかとなります。

宗教

宗教は、外国の宗教団体により日本に派遣された宗教家が布教活動などの宗教上の活動を行うことを認める在留資格です。

行うことができる活動

外国の宗教団体により日本に派遣された宗教家の行う布教その他の宗教上の活動

在留期間

5年、3年、1年、3か月のいずれかとなります。

報道

報道は、外国の報道機関との契約に基づいて報道活動を行うことを認める在留資格です。

行うことができる活動

外国の報道機関との契約に基づいて行う取材その他の報道上の活動

在留期間

5年、3年、1年、3か月のいずれかとなります。

高度専門職

高度専門職は、高度な知識や技術をもち、日本の学術研究や経済の発展に貢献する外国人に長期間の在留や複数の在留資格にまたがる活動などを認める在留資格です。高度専門職の在留資格には1号と2号があり、高度専門職2号では在留期間が無期限となり、活動の制限が大幅に緩和されます。

行うことができる活動

高度専門職1号

次のいずれかにより、日本の学術研究または経済の発展に寄与することが見込まれる活動

1号イ 日本の公私の機関との契約に基づいて研究、研究の指導または教育をする活動(高度学術研究活動)、関連する事業を自ら経営する活動

1号ロ 日本の公私の機関との契約に基づいて自然科学または人文科学の分野に属する知識または技術を要する業務に従事する活動(高度専門・技術活動)、関連する事業を自ら経営する活動

1号ハ 日本の公私の機関において貿易その他の事業の経営を行いまたは当該事業の管理に従事する活動(高度経営・管理活動)、関連する事業を自ら経営する活動

高度専門職2号

高度専門職1号のいずれかの活動と併せて行う、次の在留資格で認められる活動

教授、芸術、宗教、報道、法律・会計業務、医療、教育、技術・人文知識・国際業務、介護、興行、技能、特定技能2号

在留期間

高度専門職1号の場合は5年、高度専門職2号の場合は無期限となります。

経営・管理

経営・管理は、外国人の経営者や管理者が、日本において事業の経営や管理に従事する活動を行うことを認める在留資格です。

行うことができる活動

日本において貿易その他の事業の経営を行いまたは事業の管理に従事する活動

法律・会計業務の在留資格で認められる活動は除く

在留期間

5年、3年、1年、6か月、4か月、3か月のいずれかとなります。

法律・会計業務

法律・会計業務は、法律・会計に関する法律上の資格をもつ外国人が資格が必要な業務を行うことを認める在留資格です。

行うことができる活動

外国法事務弁護士、外国公認会計士その他法律上資格を有する者が行うこととされている法律または会計に関する業務に従事する活動

在留期間

5年、3年、1年、3か月のいずれかとなります。

医療

医療は、医療に関する法律上の資格をもつ外国人が資格が必要な業務を行うことを認める在留資格です。

行うことができる活動

医師、歯科医師その他法律上資格を有する者が行うこととされている医療に関する業務に従事する活動

在留期間

5年、3年、1年、3か月のいずれかとなります。

研究

研究は、外国人の研究者や研究員が日本の公私の機関との契約に基づいて研究活動を行うことを認める在留資格です。

行うことができる活動

日本の公私の機関との契約に基づいて研究を行う業務に従事する活動

教授の在留資格で認められる活動は除く

在留期間

5年、3年、1年、3か月のいずれかとなります。

教育

教育は、外国人の教師や講師が日本の教育機関で語学教育その他の教育活動を行うことを認める在留資格です。

行うことができる活動

日本の小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、専修学校、各種学校、設備および編制に関して学校に準ずる教育機関において語学教育その他の教育をする活動

在留期間

5年、3年、1年、3か月のいずれかとなります。

技術・人文知識・国際業務

技術・人文知識・国際業務は、日本の公私の機関との契約に基づいて自然科学や人文科学の技術や知識を要する業務、または外国の文化に関わる業務に従事する活動を行うことを認める在留資格です。

行うことができる活動

1 日本の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野、または法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術または知識を要する業務に従事する活動

2 外国の文化に基盤を有する思考または感受性を必要とする業務に従事する活動

教授、芸術、報道、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、企業内転勤、介護、興行の在留資格で認められる活動は除く

在留期間

5年、3年、1年、3か月のいずれかとなります。

企業内転勤

企業内転勤は、日本に本店、支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が、期間を定めて日本の事業所に転勤して技術・人文知識・国際業務に当たる活動をすることを認める在留資格です。

行うことができる活動

日本に本店、支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が、日本にある事業所に期間を定めて転勤して、その事業所において行う技術・人文知識・国際業務の在留資格で認められる活動

在留期間

5年、3年、1年、3か月のいずれかとなります。

介護

介護は、日本の公私の機関との契約に基づいて介護福祉士の資格をもつ外国人が介護や介護の指導を行う業務に従事することを認める在留資格です。

行うことができる活動

日本の公私の機関との契約に基づいて介護福祉士の資格を有する者が介護または介護の指導を行う業務に従事する活動

在留期間

5年、3年、1年、3か月のいずれかとなります。

興行

興行は、外国人が演劇、演芸、演奏、スポーツ等の興行に係る活動その他の芸能活動を行うことを認める在留資格です。

行うことができる活動

演劇、演芸、演奏、スポーツなどの興行に関する活動またはその他の芸能活動

経営・管理の在留資格で認められる活動は除く

在留期間

3年、1年、6か月、3か月、30日のいずれかとなります。

技能

技能は、日本の公私の機関との契約に基づいて熟練した技能をもつ外国人が業務に従事することを認める在留資格です。

行うことができる活動

日本の公私の機関との契約に基づいて行う産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動

在留期間

5年、3年、1年、3か月のいずれかとなります。

特定技能

特定技能は、日本において人材確保が困難となっている特定の産業分野において、日本の公私の機関との雇用契約に基づいて知識や技能を有する外国人が業務に従事することを認める在留資格です。

行うことができる活動

特定技能1号

日本の公私の機関との雇用に関する契約に基づいて行う特定産業分野であって、相当程度の知識または経験を必要とする技能を要する業務に従事する活動

特定技能2号

日本の公私の機関との雇用に関する契約に基づいて行う特定産業分野であって、熟練した技能を要する業務に従事する活動

在留期間

特定技能1号の場合は、1年を超えない範囲内の期間、特定技能2号の場合は、3年、1年、6か月のいずれかとなります。

技能実習

技能実習は、外国人が日本で技能、技術、知識を修得して本国に移転するために実習を受けることを認める在留資格です。

行うことができる活動

技能実習1号

認定を受けた技能実習計画に基づいて、講習を受け、技能・技術・知識に関する業務に従事する活動

技能実習2号

認定を受けた技能実習計画に基づいて、技能・技術・知識を要する業務に従事する活動

技能実習3号

認定を受けた技能実習計画に基づいて、技能・技術・知識を要する業務に従事する活動

在留期間

技能実習1号の場合は、1年を超えない範囲内の期間、技能実習2、3号の場合は、2年を超えない範囲内の期間となります。

特定活動

特定活動は、外国人に対して法務大臣が指定した特定の活動を認める在留資格です。

行うことができる活動

法務大臣が指定する活動

在留期間

告示特定活動を指定される者の場合は、5年、3年、1年、6か月、3か月のいずれかとなります。ただし、特定活動によっては5年を超えない範囲内で個別の在留期間を指定されるものがあります。

まとめ

外国人が日本に在留するには在留資格を取得する必要があります。活動資格は、外国人が日本で行う活動に応じて認められる在留資格です。外国人が活動資格の在留資格を取得するには、各在留資格の要件を満たしうえで在留資格認定証明書交付申請や在留資格変更許可申請などの手続をする必要があります。在留申請の手続を行う場合は、専門家の支援を受けることが大切です。当事務所では、外国人の在留申請手続を代行するお手伝いをしていますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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