諸外国の離婚手続きが複雑である一方、台湾では日本と似たような協議離婚の形式をとることができます。ここでは、国際離婚で台湾人と離婚する際の手続きについて説明していきます

 

台湾で協議離婚した場合の手続き

台湾で協議離婚の手続きを行う場合、以下の流れを辿ることになります。

 

  1. 離婚の当事者たる夫婦が台湾の戶籍地戶政事務所に申請を行い、手続きを進めます。
  2. 当事者が申請できない場合は手続きを委託することが可能です。このとき、戶政事務所の批准後に委託書を提出することで委託を行います。
  3. 戶政機関が離婚登記を行った日が離婚成立の日となります。

 

台湾人は台湾国内での離婚に際し、以下の書類を提出することになっています

 

  • 台湾の戸籍名簿
  • 離婚協議書または離婚判決書および確定証明、あるいは裁判所が認定した調停記録の正本
  • 申請者の身分証、印鑑または署名、身分証の交換(2年以内の写真1枚)

※台湾外交部ホームページ参照

 

台湾で裁判離婚する場合の法定離婚事由

 

台湾の民法では、法定離婚事由について次の通り定めており、該当する場合は裁判所に離婚請求ができるとしています

 

【法定離婚事由】

  • 夫婦の片方が重婚したとき
  • 配偶者以外の者と姦通したとき
  • 夫婦の片方が相手方に対し同居しがたいほどの虐待を行ったとき
  • 夫婦の片方が相手方の直系親族に対し共同生活しがたいほどの虐待を行ったとき
  • 夫婦の片方による悪意の遺棄があったとき
  • 夫婦の片方が相手方の殺害を企てたとき
  • 夫婦の片方に治療不可能な疾病があるとき
  • 夫婦の片方に治療不可能な重大精神病があるとき
  • 夫婦の片方が3年以上のわたり生死不明なとき
  • 夫婦の片方が故意の犯罪によって6ヶ月を超える懲役に処せされることが確定したとき

上記以外の重大な事由があり婚姻を継続しがたい場合、夫婦の片方は相手方に離婚を請求できる。ただし、夫婦の片方について、その責に帰する事由がある場合は、他方のみが離婚を請求できる。

※台湾における民法第1052条参照

 

日本で協議離婚した場合の手続き

日本で協議離婚が成立した場合、以下の流れで手続きを進めていきます

 

日本の役所に離婚届を提出する

日本の役所に対して離婚届を提出します。手続きに際し台湾人の戸籍謄本が必要になった場合は、台湾の戸政事務所で取得し日本語訳を添付して提出しましょう

 

台湾の役所に離婚届を提出する

台湾で離婚届を受け付けているのは戸政事務所です。離婚の事実が記載された日本の戸籍謄本や中国語訳など、各書類について認証手続きが必要ですので、台湾外交部で認証を受け、そこから30日以内に戸政事務所で離婚登記の手続きを行います。

 

当事者本人が台湾の戸政事務所で手続きを行う場合

本籍地の戸政事務所に確認の上、台湾外交部で認証の手続きを行います認証されたら、台湾人が戸政事務所で離婚の手続きを実行します

 

台湾にいる代理人が台湾で手続きを行う場合

当事者である台湾人が台湾で手続きできない場合、委任状を作成して渡すことで代理人が代わりに台湾での手続きを行うことができます。このとき、あらかじめ本籍地の戸政事務所に対し、必要書類の確認および委任状を含むどの書類に台湾外交部での認証が必要かを確認しましょう。

 

なお、委任状は台湾外交部の領事の面前で署名する必要がありますので、事前に予約のうえ委任状作成日を決定します。委任状が認証されたら、必要書類を台湾の代理人に送り、代理人が戸政事務所で当事者に代わり離婚の手続きを行います。

 

台湾外交部を通して離婚手続きの必要書類を戸政事務所に転送する場合

以下の書類を揃えて台湾外交部に提出します。台湾外交部はこれら書類を台湾本籍地の戸政事務所に転送します。なお、この手続きは協議離婚に限って行われ、認証できる文書は神奈川県と静岡県が発行するもののみです。

 

【提出書類】

  • 文書証明申請書
  • 駐横濱分慮登記申請書
  • 離婚登記申請書
  • 離婚記載の日本の戸籍謄本(または抄本)とその中国語訳 ※それぞれ要認証
  • 結婚記載の台湾の戸籍謄本
  • フルネームの印鑑
  • 台湾のパスポート
  • 在留カード
  • 写真(パスポートサイズ)

※台湾外交部ホームページ参照

 

まとめ

台湾は身近であり交流も盛んに行われているため、日本人と台湾人の夫婦も数多く存在します。しかし、互いに異なる言語や生活習慣、価値観を持っていることから、離婚するケースは決して少なくありません。

 

協議離婚する場合は、親権や財産分与、養育費、慰謝料などの重要な事柄についてよく話し合って互いの権利を確定し、離婚協議書として書面化しておくことをお勧めします。その際、日本および海外でも有効な公文書となるように、離婚協議書を日本語と英語でそれぞれ作成し、公正証書とする方法も検討してみましょう。もし、台湾人との離婚についてお悩みの場合は、当事務所までぜひお気軽にお問い合わせください。

この記事が気に入ったら フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう