実は、フィリピンでは、フィリピン人同士の離婚は認められていません。国際離婚に関しては、複雑な手続きを経てようやく離婚を成立させることができます。ここでは、国際離婚におけるフィリピンの離婚の仕組みについて説明していきます

 

国際離婚におけるフィリピンの離婚事情

日本人とフィリピン人が離婚する場合、基本的に裁判で離婚判決を受ける必要があります

 

日本での離婚手続きを先に行う場合

夫婦が日本に住んでいた場合、適用法は日本の法律になります。したがって、協議により離婚の合意を模索し、合意にいたらなかった場合は調停、裁判へと移行していきます。なお、協議離婚が成立した場合も裁判所への申立てが必要になり、調停を行って調停調書を獲得する必要がありますので注意しましょう

 

日本国内での離婚が成立したら、次に、フィリピンの裁判所であらためて判決を受けなければなりません。詳しくは次章で解説します。

 

日本国内で成立した離婚をフィリピンでも成立させる手続き

日本人配偶者とフィリピン人が日本で離婚した場合、フィリピンの裁判所で承認を受けなければ、フィリピン人は現地で再婚することができません。この点について、フィリピン総合民事登録局ではガイドラインを設けており、以下のように手続きを行うこととされています

 

フィリピン国外で成立した離婚は、フィリピン国内の地方裁判所(The Regional Trial Court/RTC-Phil)において民事訴訟を起こし、法的に承認させなければなりません。裁判所による判決は、当該裁判所管轄内の地方民事登録局に登録されます。登録された書類は、結婚が成立した地方民事登録局へ転送されます。結婚がフィリピン国外で成立した場合は、マニラ市役所内の民事登録局に転送されます。

マニラ市役所内の民事登録局において下記の書類を提出し、民事登録書類に離婚判決の注釈を付ける手続きを行います。

  • フィリピン国外で成立した離婚の審判書またはマニラ市役所内民事登録局に登録された判決書(原本または謄本)
  • 地方裁判所(RTC-Phil)の判決確定書(原本または謄本)
  • 地方裁判所(RTC-Phil)の判決が地方民事登録局に登録されたことを示す証明書

地方民事登録局にて注釈が付けられた後、注釈付き書類とその他の必要書類をマニラにある総合民事登録局に提出します。

 

なお、日本国内において作成、発行された書類をフィリピン関係機関に提出する場合、在京フィリピン大使館または在大阪フィリピン総領事館にて認証手続き(書類に押印された日本外務省印や署名の認証)を行う必要があります。

 

詳しい裁判手続きの情報や弁護士を雇う場合は、フィリピン統合弁護士会(The Integrated Bar of the Philippines/IBP)または、公設弁護人事務所(The Public Attorneys Office/PAO)へお問い合わせ下さい。

※在日フィリピン大使館ホームページ参照

 

フィリピンでの離婚手続きを先に行う場合

先にフィリピンで婚姻関係の解消手続きを行う場合、婚姻関係無効または婚姻関係取消しに関する訴訟を起こす必要があります。ここで、婚姻関係無効または婚姻関係取消しの判決が出れば、フィリピン国内での婚姻関係は解消されることになるのです。

 

あとは、日本国内で離婚届けを出せば、無事に両国での離婚(婚姻関係解消)手続きは完了します。

 

まとめ

フィリピンでは、フィリピン人同士の離婚を認めないことになっていることから、フィリピン人と外国人の離婚についても非常に複雑な手続きを踏まなければなりません。現地の弁護士の力を借りるなどして、フィリピン国内で訴訟の準備を進めることが重要です。

 

当事務所では、国際離婚に関するご相談を承っています。外国人との離婚手続きは日本よりも複雑である傾向があるため、あらかじめしっかりと知識を取り入れておきましょう。

 

諸外国に比べ、日本では比較的容易に協議離婚の手続きを進めることができますが、その分、離婚後の生活における親権や財産分与などさまざまな取り決めをしておく必要があります。離婚協議書や公正証書の作成など、日本の離婚手続きでも重要な場面はいくつも出てきますので、ぜひ当事務所まで一度ご相談いただくことをおすすめします

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