日本人と外国人が国際離婚する場合、どのような手続をする必要があるのでしょうか。離婚するために必要な手続について解説します。

日本人と外国人の離婚の手続

日本人と外国人が離婚する場合、離婚の手続は、日本で手続をする場合は、日本の法律に従って行い、外国で手続をする場合は、外国の法律に従って行います。離婚の手続は、日本と外国のいずれかで行うことができます。日本人が外国で離婚の手続をする場合は、外国にある日本の大使館または領事館に届出をする必要があります。大使館または領事館に届出をすることにより、日本で離婚の成立が認められます

外国人が外国人の本国以外の国で離婚の手続をする場合は、外国人の本国の法律に従って、本国の大使館または領事館に届出をするなどの手続が必要になる場合があります。どのような手続が必要となるのか本国の大使館または領事館に確認しておくことが大切です。

日本で離婚の手続をする場合

日本で離婚の手続をする場合は、日本人と外国人の離婚であっても、基本的には日本人どうしの離婚と手続は異なりません。日本の離婚の手続には、協議離婚、調停離婚、審判離婚、裁判離婚の4種類があり、いずれの場合も手続が完了した後に市区町村役場に離婚届を提出することで離婚が成立します。ただし、外国人については必要となる書類が一部異なります。なお、外国人が日本に在留していない場合でも日本で離婚の手続をすることが可能です。

離婚の手続は国によって異なります。①日本で離婚が成立しても外国人の本国では婚姻した状態が継続され、改めて離婚の手続を行う必要がある場合、②日本で離婚が成立した後に日本にある外国人の本国の大使館または領事館に届出をすれば足りる場合、③先に日本で離婚が成立すると外国人の本国で離婚の手続を行うことができなくなるため、日本の離婚の手続は後から行う必要がある場合などがあります。そのため、どのような方法順番で離婚の手続を行う必要があるのか、日本にある外国人の本国の大使館または領事館に確認しておくことが大切です。

また、世界の大半の国では、裁判所が関与しない協議離婚の手続がありません。このような国で離婚の手続を行う場合は、日本で調停離婚などの裁判所が関与する離婚の手続を行う必要があります。

外国人の本国または第三国で離婚の手続をする場合

外国人の本国または第三国で離婚の手続をする場合は、その国の法律に従って手続を行うことになります。

国際離婚における注意点

国籍の扱い

子の国籍

両親が離婚しても子の国籍は変わりません。子が外国籍を取得し、国籍留保の届出をしていた場合は、日本国籍との二重国籍のままとなります。この場合、子は20歳になるまでに日本国籍と外国籍のいずれかの国籍を選択しなければいけません。子が法務大臣からの催告を受けても国籍を選択しなかった場合は、子の日本国籍は失われます。

氏(姓、名字、苗字)の扱い

配偶者の氏

離婚が成立しても氏は変わりません。外国人配偶者の氏に変更した日本人が、氏を変更する場合は、離婚の日から3か月以内に「氏の変更届(戸籍法107条第3項)」を市区町村役場に提出する必要があります。離婚の日から3か月が過ぎてから変更する場合は、家庭裁判所に「氏の変更許可」を申し立てたうえで、「氏の変更届(戸籍法107条第1項)」を市区町村役場に提出する必要があります。

子の氏

子が日本人親の戸籍に入り、日本人親の氏を使用している場合は、両親が離婚しても子は日本人親の氏のままとなります。子が外国人親の氏に変更する場合は、家庭裁判所に「子の氏の変更許可」を申し立てたうえで、「外国人父母の氏への氏の変更届(戸籍法107条第4項)」を市区町村役場に提出する必要があります。子の氏を外国人親の氏に変更した場合は、子は日本人親の戸籍を抜け、子の戸籍が新しく作成されます。

日本人親が外国人配偶者の氏に変更して、子が外国人配偶者の氏を使用している場合は、両親が離婚しても子は外国人親の氏のままとなります。子が日本人親の氏に変更する場合は、日本人親が「氏の変更届(戸籍法107条第3項)」を市区町村役場に提出する際に、日本人親の戸籍に入るため「入籍届」を提出する必要があります。

子の氏のみを外国人配偶者の氏に変更して、子の戸籍が新しく作成されている場合は、両親が離婚しても子は外国人親の氏のままとなります。子が日本人親の氏に変更する場合は、日本人親の戸籍に入るため「入籍届」を市区町村役場に提出する必要があります。

子の親権の扱い

子の親権の扱いは、子が国籍をもつ国の法律に従って判断されます。子が二重国籍の場合は、子が通常居住している国の法律に従って判断され、通常居住している国が国籍国ではないときは最も密接な関係がある国の法律に従って判断されます。また、二重国籍のいずれかが日本国籍の場合は、日本の法律に従って判断されます。日本の離婚の手続では、手続の中で両親のいずれが親権を有するか決定します。国によっては、共同親権が認められる場合があります。そのため、離婚した場合に子の親権がどうなるか、子の親権について判断する国の機関に確認することが大切です。

在留資格の扱い

外国人が就労可能な活動資格や永住者などの在留資格をもつ場合は、離婚が成立しても在留資格を変更することなく日本に在留することができます。これに対して外国人が、日本人の配偶者等の在留資格をもつ場合は、離婚により在留資格が失われるため、6か月以内に就労可能な活動資格や定住者などの在留資格に変更する必要があります。

日本人の配偶者等の在留資格をもつ外国人が、別の日本人と再婚した場合は、現在の在留資格のまま在留することができます。ただし、現在の在留期間が経過する前に再婚する必要があります。再婚した場合は、在留期間更新許可申請の際に改めて在留資格の要件を満たすか判断されます。女性が再婚する場合は、100日間の再婚禁止期間があるため、在留期間が経過しないように注意する必要があります。

まとめ

日本人と外国人が離婚する場合、日本で離婚するときは日本の手続を、外国で離婚するときは外国の手続を行います。外国で離婚の手続をした場合、日本人は日本の大使館または領事館に届出をします。また、外国人は外国の法律に従って大使館または領事館に届出をするなどの手続を行います。離婚の手続は、日本と外国の両方で手続をする必要がある場合、外国では届出をすれば足りる場合、外国の手続を先に行う必要がある場合などがあるため外国の大使館または領事館に確認することが大切です。国際離婚では、子の国籍、配偶者や子の氏、子の親権などの扱いが日本人どうしの離婚の場合と異なるため注意が必要です。日本人と離婚した外国人が日本人の配偶者等の在留資格をもつ場合は、他の在留資格に変更する必要があります。在留申請を行うときは、専門家の支援を受けることが大切です。当事務所では、国際離婚に関わる外国人の在留申請を代行するお手伝いをしていますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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