国際結婚すると、苗字(名字)を変更して日本名と外国名を組み合わせるケースが多く見られますが、特に手続きをしない限り、国際結婚では夫婦別姓になります。そこで、ここでは、日本人が苗字(名字)を変える場合と外国人配偶者が変える場合の手続きについて説明していきます。
日本人が外国人配偶者の苗字(名字)を名乗りたい場合
日本では、婚姻手続きの際に夫または妻のいずれかの苗字(名字)を名乗り、姓を統一することになっています。一方、国際結婚では、外国人配偶者の戸籍がないことから姓の統一はできず、結果として夫婦別姓の状態になるのです。ただ、結婚したからには相手の苗字(名字)も名乗りたいと考える夫婦が多いのも事実で、この場合は婚姻届を提出する際に別途手続きを行う必要があります。
日本人が外国人配偶者の苗字(名字)を名乗るための手続き
夫婦が以下の名前である場合、苗字(名字)変更の手続きを経てどう名乗れるようになるのか見ていきましょう。
夫:ジョン・スミス
妻:山田花子
妻の山田花子は、夫の姓であるスミスを名乗りたいと考えています。このとき、次の手続きを行う必要があります。
結婚により山田花子単独の新戸籍が作られる
外国人には戸籍がないため、結婚することにより妻を筆頭者とする新戸籍が作られます。
婚姻届の提出から六カ月以内に役所に対して手続きする
婚姻届の提出から六カ月以内に、役所に氏の変更の届出を行うことで、外国人の夫(ジョン・スミス)の姓を名乗ることができるようになります。したがって、山田花子は以後、スミス花子と名乗れるようになるのです。もし、婚姻届の提出から六カ月を超えてしまった場合は、家庭裁判所による許可を得て役所に氏の変更の届出を行うことで、外国人の夫の姓に変更することができます。
なお、国際結婚に際し、外国人に対して新戸籍は作られませんが、日本人の戸籍には配偶者として外国人配偶者の氏名と生年月日、国籍が記載されます。姓を変更した後、二人の間に子供が生まれた場合、子は親と同じ苗字(名字)を名乗ることになるので、例の場合ではスミス姓を持つことになります。
外国人配偶者が日本人の苗字(名字)を名乗りたい場合
外国人配偶者であるジョン・スミス氏が妻の山田姓を名乗りたい場合は、通称名の手続きを行う必要があります。帰化して日本人にならない限り、日本人の姓を得ることはできないので、代わりに通称名を使えるようにするのです。ただし、通称名といっても住民票などの公的書類に有効な名前になりますので、普段の生活における利便性が増すことが考えられます。
役所で通称名の手続きを行う
外国人配偶者が日本人の姓を名乗りたい場合、役所に対して通称名の登録を行う必要があります。登録にアルファベットを含む外国語を使用することはできず、日本の文字である漢字・ひらがな・カタカナのいずれかを使わなければなりません。手続きには以下の書類を用意して提出し、特に問題がなければ、例えばジョン・スミス氏は山田ジョンと名乗れるようになるのです。
【必要提出書類】
本人確認書類(在留カードなど)
印鑑または自署
※社員証や学生証など、社会生活を送る上で通称を実際に使用していることがわかる資料の提出も必要
以上の書類を提出し通称名が認められるようになると、以下のような公的書類にも通称名が記載されるようになります。
【通称名が記載される公的書類例】
住民票
マイナンバーカード
印鑑登録証明書
社会保険・国民健康保険の被保険者証
運転免許証 など
まとめ
諸外国では夫婦別姓であることが一般的であることも多く、昨今では日本でも夫婦別姓を求める声が大きくなってきました。しかし、国際結婚をした多くの人が「配偶者の苗字(名字)を名乗りたい」と考えていることも事実です。姓を統一することで、家庭としての一体感を持つことができる点は大きな理由になっていることでしょう。
苗字(名字)の変更手続き自体は難解なものではありませんが、不安がある場合などはぜひ当事務所までご相談ください。苗字(名字)の変更を行ったうえでどのようなことを実現していきたいのか、行政書士としてお役に立てることもあるかもしれませんので、お気軽にご連絡いただければ幸いです。