国際結婚の手続きを行う際、欠かせないのが婚姻要件具備証明書という書類です。日本においては外国人配偶者の婚姻要件具備証明書が、外国においては日本人の婚姻要件具備証明書が必要になります。ここでは、同書類がどのようなものか説明していきます。
婚姻要件具備証明書の役割
婚姻要件具備証明書の果たす役割は、その国における婚姻手続き上、外国人配偶者が独身であり結婚に支障がないと示すことにあります。日本では外国人配偶者の素性がわかりませんし、外国では日本人の素性がわかりません。そこで婚姻要件具備証明書を提出することにより、婚姻要件を満たしていることが明確になり、婚姻手続を進めることができるのです。
日本人の婚姻要件具備証明書を取得するには、日本の法務局もしくは在外公館いずれかに対して申請を行います。日本国内の法務局で書面を取得する場合と在外公館で取得する場合では、以下の点において異なっているので理解しておきましょう。
【日本国内の法務局で取得する場合】
婚姻要件具備証明書の現地語訳を専門家に依頼する必要がある
日本の外務省によるアポスティーユ認証を受ける必要がある
【在外公館で取得する場合】
書面の発行時点で現地語訳も付いてくる
外務省によるアポスティーユ認証は基本的に必要ない
日本人の婚姻要件具備証明書の取得手続き
日本人が婚姻要件具備証明書を申請し取得するためには、国によって用意すべき書類が変わってきますので注意しましょう。ここでは、日本の法務局で日本人の婚姻要件具備証明書を取得する際の基本的な申請書類に加え、国際結婚事例が多いフィリピン・韓国・中国の在外公館で婚姻要件具備証明書を取得する際の申請書類について整理します。
日本の法務局で申請する場合
【日本人】
戸籍謄本
印鑑
身分証明書(運転免許証など)
結婚相手の国籍・生年月日・氏名・性別
在フィリピン日本大使館で申請する場合
【日本人】
申請書
三ヶ月以内に発行された戸籍謄本
パスポート
【フィリピン人配偶者】
PSAが発行した出生証明書(PSA=フィリピン統計局)
※20歳未満の場合は両親による同意書が必要
在韓国日本大使館で申請する場合
【日本人】
申請書
三カ月以内に発行された戸籍謄本
パスポート
手数料(約1,240円/13,000ウォン)
【韓国人配偶者】
顔写真付き身分証明書(パスポート、運転免許証など)
※日本人と韓国人配偶者二名で申請に出向く必要あり。
在中国日本大使館で申請する場合
【日本人】
発行三ヶ月以内の戸籍謄本
パスポート
【中国人配偶者】
居民身分証
居民戸口簿
※日本国大使館や領事館で婚姻要件具備証明書を発行してもらった場合、公印・認証の手続きおよび中国語翻訳を省略することができます。
申請先や国により異なる申請書類
このように、日本の法務局で申請する場合と在外公館で取得する場合とでは、用意すべき書類が変わってきます。また、配偶者の母国によっても、揃えなくてはならない書類はさまざまです。日本人の婚姻要件具備証明書を申請する際、不備があればその分婚姻手続き自体が遅延してしまうことになるので、あらかじめしっかりと情報を収集し備えておくことが大切です。
まとめ
婚姻手続を進めるうえで不可欠な婚姻要件具備証明書は、その申請時に提出書類が少なく済む国もあれば、多様な書類を揃え複雑な手続きを要する国もあるのです。国際結婚を控えている場合は、あらかじめ相手国の必要条件を調べるか日本の在外公館に確認するなどして、不備なく準備を進めていくようにしましょう。どこから手を付ければいいかわからない場合は、当事務所でもご相談・ご依頼をお受けしておりますので、お気軽にご連絡ください。