国際結婚に伴い、外国にいる老親を日本に呼び寄せたいと考えるケースは少なくありません。短期滞在ビザで一時的に日本を訪れるだけであれば大きな問題はありませんが、ここでは、中長期的に滞在できるようにする方法について説明していきます。

 

外国人配偶者の親を「特定活動」の資格で呼び寄せる

外国人の滞在資格として、特定活動というジャンルに該当する場合はビザが発給されることがあります。老親の扶養を行う目的で中長期ビザの申請を行うためには、まず短期滞在ビザで来日してもらい、日本で在留資格を特定活動目的に変更する手続きが必要になります。このとき、次のような点について審査されますので、あらかじめ把握しておきましょう。

 

招聘人

外国人配偶者を日本に招く人物を招聘人と呼び、日本人あるいは帰化した日本人、またはすでに中長期滞在ビザを持っていることが前提条件になります。

 

呼び寄せる老親の年齢

親を扶養しなければいけないような状況であって初めて特定活動と見なされるので、老親の年齢は非常に重要です。70歳を超え認知症や既往歴などが認められ、健康上の観点からそばにいる必要があるなど、在留許可が相当であると判断されるためにも、行政書士によく相談しながら手続きを進める必要があるでしょう。

 

現地に頼れる親族がいない

現地に老親の面倒を見てくれるような家族や親族がいる場合は、申請が認められないことが想定されます。老親の配偶者も頼れる家族・親族もいないといったケースに対してのみ、日本への呼び寄せが可能になると考えられます。

 

夫婦に十分な収入がある

老親を呼び寄せて扶養することがビザ申請の目的になりますので、受け入れ側である日本人と外国人配偶者に十分な収入があることを証明する必要が出てくるでしょう。親の分の生活費・医療費をまかなっても生活が苦しくならないことが一つの目安です。

 

住まいの確保

親を扶養するために呼び寄せることを目的としますので、親と同居することが大前提です。したがって、親が同居しても十分な住まいのスペースを確保できていることが重要になってくるでしょう。

 

申請について

まずは90日間の短期滞在ビザで老親に来日してもらいます。その後、出入国在留管理局に対し、特定活動の名目で在留資格を変更する手続きを行う流れとなります。

 

  • 親の年齢の証明
  • 身寄りがないことの証明(配偶者の死亡証明・外国人配偶者との親子関係及び一人っ子であることの証明書類)
  • 健康面に問題があることの証明書類(診断書・入退院や通院の記録など)
  • 日本人と外国人配偶者の収入証明

 

以上を基本として呼び寄せるのが妥当である」との判断を得られるよう、できる限りの証明書類を用意し提出するのが望ましいでしょう。ビザ申請に詳しい行政書士とよく相談しながら、できる限りの対応を行うことがとても大切です。

 

外国人配偶者の親を「医療滞在」の資格で呼び寄せる

現地に住む親が深刻な病気を持っており、日本の進んだ医療による治療を受けさせたい、という場合は医療滞在資格でのビザ申請を行うことができます。この場合、親だけではなく親の世話をする役割を負う者として近親者も呼び寄せることが可能なので、検討してみるのも一案でしょう。

 

  • 日本国内の医療機関に入院し治療を受けるための活動
  • 入院後も継続して治療を受けるための活動
  • 親のそばで日常的な介護や世話を行うための活動
  • 就労や事業を伴わないこと

 

医療滞在資格で親を呼び寄せる場合、治療が主目的となりますから、日本人と外国人配偶者は相応の費用を負担する必要があります。経済的に問題がなく、医療を受けさせる目的で呼び寄せても生活に支障が出ないと認められることが肝心です。

 

まとめ

入管法では、親を呼び寄せる目的としての在留資格は存在しないため、どうすれば「日本に親を呼び寄せた方がいい」と認めてもらえるかがとても大切になってきます。在留資格の申請については行政書士に依頼して手続きを進めることが一般的ですので、専門家によく相談したうえで適切な在留資格を選択し、できる限り不備のない手続きが実現するようにしましょう。当事務所でも、よくお話をうかがったうえでベストな選択肢決定や手続きにおけるサポートをおこなっていきますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

 

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