国際結婚した外国人配偶者も、日本で夫婦として生活していくなかで年金を受け取ることができるのでしょうか。ここでは、年金の仕組みに加え、外国人配偶者が年金を受け取るための方法について説明していきます。

 

外国人配偶者が年金を受け取るために必要な手続き

日本では、国内に居住するすべての人に国民年金への加入と年金保険料の支払い義務があります。外国人配偶者といっても、日本で生活していく以上は国民年金への加入義務が生じますので、以下の手続きを忘れずに行いましょう。期限は、日本入国日から14日以内とされています。書類を揃えて役所の保険年金課で手続きすると、そこから約二か月後に年金手帳と年金保険料の納付書が外国人配偶者のもとに送られてきます。

 

外国人配偶者が自ら手続きする場合

必要書類を揃えて居住地の役所で手続きを行います。

 

【外国人配偶者】

パスポート(身分証明書として・日本入国日の証明として)

※身分証明書として在留カードも可

 

外国人配偶者の代理人が手続きする場合

【代理人】

委任状

代理人の身分証明書(運転免許証・パスポートなど)

※委任者である外国人配偶者の日本入国日がわかるパスポートなどが必要になります。

 

外国人配偶者が会社勤めしている場合

外国人配偶者が会社に勤務しており厚生年金保険に加入している場合は、会社と外国人配偶者(被保険者)が折半で保険料を支払うことになるので、国民年金保険料の手続きは不要です。

 

また、日本人が会社で社会保険に加入しており、外国人配偶者の年間収入が一定額未満だった場合、外国人配偶者を第三号被保険者として日本人の扶養に入れることができます。この場合、保険料は日本人の給与から天引きされるので、外国人配偶者が別途納付を行うことはありません。

 

日本の年金制度の構造

日本の年金制度は二階建て構造であるといわれています。一階部分は日本に居住する20歳から60歳未満のすべての人が加入すべき基礎年金であり、二階部分は年金の上乗せ部分としての厚生年金です。会社員や公務員が勤務先の厚生年金に加入することによって、上乗せ部分としての機能を果たしていきます。

 

基礎年金(国民年金)への加入で受けられる年金

年金制度の一階部分(国民年金)は加入義務があるので、外国人配偶者でも入らなければなりません。国民年金に加入し年金保険料を納めていくことによって、老齢基礎年金障害基礎年金遺族基礎年金という三つの年金を受け取ることができるようになります。障害基礎年金は心身に何らかの障害認定が出た場合に受け取れる年金で、遺族基礎年金は生計維持者が亡くなった場合に遺族が受け取れる年金です。これら二つの年金は特定の状況にいたった場合に給付されるものです。

 

これに対して老齢基礎年金は、原則的に65歳から受け取ることができる年金なので、老後の生活を支えるためにとても大切な要素になってきます。ただし、年金を受け取るためには受給資格要件を満たしていることが前提になるので注意しましょう。

 

【受給資格要件】

加入期間である20歳から60歳にいたるまでの間に120カ月(10年間)以上の年金保険料納付実績があること。

 

120カ月間すべてにおいて納付実績がなくても、免除期間やいわゆるカラ期間を含めて120カ月を超えていれば、年金の給付対象となります。つまり、「年金保険料納付期間+年金免除期間+カラ期間」の合計が120カ月以上となっていればいいことになるのです。免除期間は、例えばまだ収入を得ていない学生や障害認定された人などに認められており、期間中は年金保険料の納付が免除されます。では、カラ期間とはどういった状態を指しているのでしょうか。

 

カラ期間とは

何らかの事情により納付期間が120カ月に満たなかった場合、「カラ期間」を加えることによって年金を受け取れるようになることがあります。カラ期間とは合算対象期間のことであり、年金受給における救済策といってもいいでしょう。外国人についていえば、永住者や帰化した人などは、20歳を超えてから国民年金に加入するケースが非常に多いことから、カラ期間の適用ケースもおのずと増えることになります。

 

ただし、カラ期間が適用され年金受給権利が発生したとしても、受給できる年金額はあくまでも納めた年金保険料に基づいた額になる点に注意しましょう。カラ期間は、年金を受給できるようになるための仕組みですから、受給額そのものの増減には影響しないのです。

 

まとめ

外国人配偶者の場合、日本で暮らせるようになったとしても、すぐに仕事が見つかるとは限りません。しかし、日本に住む以上、収入の有無に関わらず年金保険料の納付が求められるのです。特に、年金制度が根付いていない国から来た人や制度の違いがある国の人などにとっては、義務として年金保険料を納めることとなっている日本の仕組みに違和感を覚えることも少なくありません。この点について、日本人は外国人配偶者に年金制度のことをよく説明し、年金保険料を納めなければ将来的に年金を受け取れないことを、しっかりと理解してもらうことが大切です。

 

この記事が気に入ったら フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう