通常、国際結婚といっても本人の意思が一番に尊重され婚姻の手続きにいたるものですが、マレーシアでは本人の意思に加えイスラム教の教えが非常に重要視されます。ここでは、結婚する相手がイスラム教徒だった場合の手続きについて説明していきます。
先に日本で婚姻の手続きを行う場合
マレーシアでは、イスラム教徒の相手と結婚する場合は、自分自身もイスラム教に改宗しなければならない点が非常に特徴的です。改宗することは法的義務にもなっており、婚姻手続きでも改宗の証明を添付する必要があるほどです。
マレーシア人の婚姻要件具備証明書の取得
日本国内で婚姻の手続きを進めるためには、まずマレーシア人の婚姻要件具備証明書を取得しなければなりません。申請に際して、配偶者となる日本人のイスラム教入信証明書が必要になるので注意しましょう。入信証明書は、日本国内のモスクで二名のイスラム教徒証人を前に信仰告白をすることで取得できます。モスクによって入信証明取得に必要な書類は変わってくるので、あらかじめ確認しておきましょう。
また、イスラム教では、女性は一般的に後見人たる父親の同意を得なければ結婚できないことになっています。日本人女性がイスラム教に改宗した場合も、父親に結婚許可書を作成してもらい手続きに備えます。
さらに、イスラム教徒のマレーシア人が外国の地で結婚する場合は、マレーシアの出身州が発行する結婚許可証を取得する必要があります。
入信証明書と結婚許可書の用意ができたら、ようやく在日本マレーシア大使館に対して婚姻要件具備証明書の申請が可能になります。大使館には、以下の書類を用意し夫婦揃って出頭しましょう。
【日本人】
身分証明書(パスポートなどの原本とコピー)
戸籍謄本
住民票
イスラム入信証明書(原本とコピー)
※女性の場合は父親が作成した結婚承諾書
【マレーシア人配偶者】
パスポート(原本とコピー)
マレーシア発行のIDカード
出生証明書(原本とコピー)
結婚許可証
死別または離別の経験がある場合は前配偶者の死亡証明書または離婚証明書
※女性の場合は父親が作成した結婚承諾書
日本に対する婚姻の手続き
日本に対する婚姻の手続きも忘れず行いましょう。必要書類は以下の通りです。
【必要書類】
婚姻届
【マレーシア人配偶者】
婚姻要件具備証明書(要和訳)
国籍を証明する出生証明書(要和訳)
※自治体により必要書類が変わる可能性があるため、あらかじめ確認しておくことが大切です。
先にマレーシアで婚姻に関する手続きを行う場合
先にマレーシアで婚姻に関する手続きを行う場合は、前もって日本人が婚姻要件具備証明書を取得しておく必要があります。必要書類を揃え、在マレーシア日本大使館に提出し証明書を取得しましょう。
【日本人】
パスポート
三ヶ月以内の戸籍謄本
※過去に離別・死別の経験がある場合は離婚証明書あるいは死亡証明書を取得する。
【マレーシア人配偶者】
身分証明書(ICカード)
婚姻要件具備証明書を取得したら、本籍地にあたる住所地の国家登録局(Jabatan Pendaftaran Negara)に婚姻届を提出します。
【日本人】
パスポート(原本およびコピー)
婚姻要件具備証明書(原本およびコピー・要英訳)
【マレーシア人配偶者】
パスポート(原本とコピー)
身分証明書(IDカードとコピー)
独身証明書
婚姻届を提出した後、結婚公示期間として21日間公示され、その期間を過ぎたら21歳以上の証人を二名伴いもう一度国家登録局を訪れ結婚式を挙げます。式の完了をもって、結婚証明書が発行されることになります。
日本に対する婚姻手続き
マレーシア国内での手続きが完了したら、在マレーシア日本大使館か日本国内の役所に報告的届出を行いましょう。このとき提出する書類は以下の通りです。
【提出書類】
婚姻届
戸籍謄本二通(日本人のもの)
結婚証明書(原本とコピー二通・要和訳)
マレーシア人の出生証明書(原本とコピー二通・要和訳)
マレーシア人の身分証明書(ICカードの原本とコピー二通・要和訳)
まとめ
ここでは、マレーシア人がイスラム教徒だった場合の婚姻手続きについて説明してきました。必要な書類や行うべき儀式などが諸々あり、複雑な面もあるため、事前に流れをよく確認してから婚姻手続きに臨むことをおすすめします。
なお、正式に結婚が成立した場合、日本においても配偶者ビザの申請を行う必要があります。外国人配偶者との結婚が成立したとしても、配偶者ビザの審査について入国管理局は基本的に厳しい見方をしますから、法律の専門家と協力し合いしっかりと準備を行って申請を行うようにしましょう。