日本の法律では、国際結婚によって外国人配偶者が自動的に日本国籍を得ることはありません。日本国籍を得るためには、帰化の手続きをする必要があります。ここでは、国際結婚によって日本人の国籍がどうなってしまうのか、また外国人配偶者が日本国籍を取得する条件とはどういうものかについて説明していきます。
日本人女性と外国人男性が結婚する場合
日本人女性と外国人男性が結婚する場合、次に挙げる三つのパターンで国籍の維持または変更が起こります。
配偶者と同じ国籍を取得する場合
外国人配偶者と同じ国籍にするには、相手国の法律にもとづき現地で帰化の手続きを行います。相手国で無事に帰化が認められると、自動的に日本国籍を喪失することになるので、十分検討したうえで手続きするようにしましょう。
自動的に配偶者と同じ国の国籍を取得する場合
イランやサウジアラビアなど、主に中東の国々のなかには、結婚によって自動的に現地配偶者と同じ国籍が与えられる国があります。この場合、日本人女性は二重国籍の状態となるため、いずれかの国の国籍を選択する手続きをしなければいけません。
もし二十歳より前に相手国の国籍を得た場合は、二十二歳になるまでにどちらの国籍を選択するか届出を行う必要があります。二十歳以降に相手国の国籍を得た場合は、そこから二年以内に届けを出さなければいけません。
届出を行うことにより配偶者と同じ国籍を得られる場合
フランスやタイなどの国は、結婚し現地の国籍を得る手続きを行うことにより日本国籍を自動的に失います。現地の国籍を得る手続きをしなければ、従来通り日本国籍を維持できます。
日本人男性と外国人女性の国籍取得について
日本人男性と外国人女性が国際結婚した場合、日本人男性は日本国籍を変わらず維持し、外国人女性も本国の国籍のままとなります。
外国人配偶者の帰化に必要な条件とは
外国人配偶者は、帰化という手続きを行うことによって日本国籍の取得を目指すことができます。外国人配偶者の帰化に必要とされるのは以下の条件を満たすことです。
居住条件
外国人が在留資格を持っており、日本国内に居住地の住所を持っていることが前提条件です。結婚する前に帰化申請を行う場合、日本国内に継続した三年以上の滞在歴があれば居住条件を満たすとみなされます。なお、すでに結婚して三年以上日本国内に住んでいる場合は、すでに居住条件を満たしていることから、一年以上の滞在歴があれば居住条件を満たすものとされています。
能力条件
成人年齢は国によって異なることから、国際結婚する両人の母国の法律に照らし合わせ、いずれも成人としてみなされる年齢になっていることが一つの条件です。ただし、成人年齢に達していなくてもすでに日本人と結婚しており、日本国内に継続して三年以上居住している場合は帰化申請ができることになっています。
素行条件
日本国内において外国人の素行に問題がないかも判断材料の一つになります。
- 納税の義務を果たしていない
- 禁錮以上の刑罰を受けたことがある
- 在留資格の更新を怠った など
こういった場合が素行不良とされるのです。素行不良と認められてしまうと、帰化申請にも影響を及ぼしますので、素行条件には十分注意が必要です。
生計条件
外国人が日本で生活するために必要な、十分な資産を持っているか・お金を稼ぐための技能を持っているかも判断材料とされます。本人以外でも、その日本人配偶者や親戚が外国人本人の生活を守るだけの資産や技能を持っていれば問題ありません。
重国籍防止条件
日本では重国籍が認められていませんので、外国人本人が現在国籍を有していないか帰化により現在の国籍を喪失することが条件になります。
憲法遵守条件
日本政府に対する暴力破壊行為の計画、またこれを主張する正当や団体への加入もしくは結成をしたことがない、という条件も重視されます。
まとめ
帰化申請で日本国籍を得るためには、いくつもの条件を満たしたうえで手続きを行い、審査に通る必要があります。申請を行ったからといって必ずしも帰化が認められるわけではないので、事前に入念な下調べを行ったり不備のない手続きを行ったりすることが重要です。当事務所では帰化申請に関するサポートを行っています。自分と外国人配偶者の母国の法律が関連する帰化申請手続きに関してご不安があれば、ぜひお気軽にご相談ください。