コロナ禍によって国際結婚の手続きは大きな影響を受けているといってもいいでしょう。外国人配偶者が海外にいて日本人が日本にいる場合は、二人揃うことは困難であり、双方の国に対する婚姻の手続きも非常に難しくなるからです。ここではコロナ禍における国際結婚事情について説明していきます。

 

コロナ禍の入国者水際対策と国際結婚の手続き事情

外国人と結婚するためには、二人が協力し合って双方の国に対する手続きを行う必要があります。また、配偶者ビザを取得するためにも、婚姻の成立は不可欠です。しかし、近年のコロナ禍の影響により、日本と相手国を行き来することが難しくなったため、一方の国でしか婚姻手続きを進められないケースも続出しています。なかには、日本における手続きを経てからでなければ相手国での婚姻手続きができない国もあるのです。実際、日本においても以下のような水際対策措置が取られています

 

令和三年十一月に公表された「水際対策強化に係る新たな措置」により、十一月三十日以降の外国人新規入国は認めないという基本方針を明確にしています。同時に、十二月一日以降に帰国・再入国等する人については、ワクチン接種済みであってもその行動が制限されると明言しています。

(参考:外務省「国際的な人の往来再開に向けた段階的措置について」)

 

日本における配偶者ビザの扱いについて

国際結婚における配偶者ビザ取得の観点からいって、両国における婚姻の成立は前提条件になりますから、互いの国への渡航が制限され婚姻に関する手続きを完了できない場合は、ビザ取得が非常に難しくなることも想定されます。ただし、令和二年十月に出入国在留管理庁参事官は、コロナ禍における配偶者ビザの取得について以下のように述べています

 

「日本の戸籍謄本を含む提出資料等により,法律上の婚姻関係が成立していること及び当該婚姻が実体を伴うものであることが立証された場合には,同在留資格の許可対象になり得る。」

(参考:令和二年十月十二日・出入国在留管理庁参事官による手続き解答通知書)

 

上記の回答は、日本における婚姻は済んでいるが、相手国に対する手続きができない状態であることから婚姻が完全に成立していないような場合を指しています。原則として両国に対する手続きが完了し夫婦となった場合に限り、配偶者ビザの申請及び取得が可能になるものですが、日本における婚姻の事実が証明された場合は配偶者ビザの取得対象になると回答している点は注目すべきでしょう。

 

ただし、日本における婚姻手続きが成立すれば必ず配偶者ビザを取得できることを保証したものではありません。申請ごとに申請書類や婚姻にいたる背景などを精査し、妥当と認められる必要があるということです。

 

コロナ下でできる国際結婚の手続きとは

コロナ禍における外国人入国規制といった水際対策は、さまざまな国が実施しているものであることから、まずは二人の滞在国において国際結婚の手続きを進めることが優先されるでしょう。結婚後、日本に居住する予定であれば、当該地域の役所に問合せて必要な書類を確認することが大切です。

 

外国人配偶者の身分証明書などを求められる可能性は非常に高いので、「原本は提示できないがコピーであれば相手国から取り寄せられる」と相談し、それでも問題ないようであれば、相手国からパスポートのコピーなど必要書類を郵送してもらうのも一案です。

 

互いの国でそれぞれが婚姻手続きを行う

婚姻に関する手続きに必要な書類が判明し、それらを揃えることができたら、役所に婚姻の届け出を行います。ただし、役所がすぐに受理するとは限らず、法務局または地方法務局の判断を仰ぐ「受理伺い」として預かるケースも少なくないようです。基本的には、書類に不備がなければ婚姻手続きは完了できる可能性が高く、日本における婚姻は成立するようです。

※ケースバイケースであると考えられるため、法律の専門家によるサポートを受けながら手続きを進めるのが望ましいでしょう。

 

同様に、相手国における手続きは相手に任せます。必要書類の提出のみで婚姻手続きが完了するようであれば、相手国において婚姻は成立します。ただし、挙式を行うことが条件になっている国もあるので、個々のケースについて入念な下調べは欠かせません。

 

まとめ

結婚予定の二人が揃わない状態で婚姻手続きを進めるには、互いの認識がずれないよう密に連絡を取り合い、役所に不備なく書類を提出することがとても重要です。コロナ禍という特殊な条件下にある時期だからこそ、結婚する二人だけではなく役所も含めた連携がカギになるでしょう。