国際結婚をして夫婦に子供が生まれた場合、夫婦それぞれの母国に対して出生届を出す必要があります。ここでは、先に日本で出生届を出した場合と先に相手の国に出生届を出した場合の比較とともに、子供の国籍に関して理解しておくべきことを説明していきます。

 

出生届と国籍にまつわる事情とは

国際結婚をして子供が生まれたら、お互いの国に対して出生届を提出しなければなりません。日本人同士の出生届とは異なる手続きもありますので、事前によく調べておく必要があります。

 

出生届は、生まれたことの証明と同時に子供の国籍を決定づける手続きにもなります。日本では原則として、父母いずれかが日本国籍を持っている場合、子供も自動的に日本国籍を持つことになりますが、もう一方の親の出身国によってはその国の国籍も持つことになり、結果として二重国籍となる場合があります。日本において二重国籍を持った子供は、22歳になるまでに、日本国籍か外国籍のいずれかを選択することが求められます。

 

子供が生まれ、先に日本で出生届を出した場合

日本にいる間に子供が産まれた場合は、生後14日以内に役所へ出生届を出すことになっています。これは戸籍法により定められた届け出であり、14日間には出生日も含まれます。日本で届けを出したら、配偶者の国にも出生届を出しましょう。配偶者の国の法律に則って、不足なく届出を行うためにも、事前に必要書類やタイミングなどをしっかり確認しておくことが大切です。

 

国籍留保の届出を忘れずに

子供を産んだ医療機関には、通常、出生届が備わっており、一枚の用紙が出生証明書も兼ねています。出産を終えた後で立ち会いの医師か助産師が出生証明書を書きますが、出生届は親となった人が記入します。

 

このとき忘れずに用意しなければならないのが、国籍留保届です。国籍法第十二条および戸籍法第一○四条によれば、出生時に日本国籍と外国籍の両方を得た子供は、生まれた日から数えて三ヶ月以内に国籍留保の届出(日本国籍を留保する)をしなければ、生まれた日まで遡り日本国籍を失うとされています。

 

父母のいずれかが日本国籍を持っている場合、自動的に子供も日本国籍を取得するように思いますが、実は親が国籍留保の届出を行って初めて日本国籍を得ることができるのです。手続き自体は非常に簡単で、出生届けに「日本籍を留保する」と記載し、日本国籍を持つ親が署名・捺印して役所に届ければ完了です。

 

万が一、国籍留保の届出を行わなかったことで子供が日本国籍を失ってしまった場合は、国籍法第一七条第一項により、以下の要件を満たしていること・法務大臣に届け出ることを条件に、日本国籍を再取得することができるとされています。

 

1)届出の時に20歳未満(注)であること。

2)日本に住所を有すること。

「日本に住所を有すること」とは,届出の時に,生活の本拠が日本にあることをいいます(観光、親族訪問等で一時的に日本に滞在している場合等には、日本に住所があるとは認められません。)。

※令和4年(2022年)4月1日から,「20歳未満」が「18歳未満」に変更されます。

参考:法務省Q&Aページ

 

子供が生まれ、先に相手の国で出生届を出した場合

外国で子供が生まれ、先に当該国で出生届を出す場合は、その国の法律に基づき必要書類やタイミングをきちんと守るよう留意しましょう。外国での出生届が済んだら、生まれた日から数えて三ヶ月以内に、翻訳文付きの出生届原本を在外日本公館に提出します。

 

日本で先に手続きを行う場合と同様、期限内に届けを行わなければ、子供は日本国籍を失ってしまいますので十分に注意しましょう。

 

まとめ「出生届と子供の姓」

国際結婚により子供が生まれた場合、夫婦双方の国の法律にしたがって期限内に忘れず出生届を出すことが何よりも重要です。また、子供は日本国籍を取得するのと同時に、日本国籍を持つ方の親の苗字を自動的に名乗ることになります。例えば、日本国籍を持つ親の戸籍上の姓が外国姓だった場合、子供も外国姓となりますし、日本姓のままであれば子供も日本姓となるのです。

 

このように、国際結婚で子供が生まれた場合は、子供の身分を確かなものとするために、国籍問題に留まらず姓がどうなるかについても事前によく理解しておくことが大切です。

 

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