特定活動(日系4世)とはどのような在留資格でしょうか。また、外国人が特定活動(日系4世)の在留資格を取得するにはどうすればよいのでしょうか。

特定活動(日系4世)とは

特定活動(日系4世)とは、日系4世に当たる外国人が、特定の個人または団体(日系4世受入れサポーター)から活動の円滑な遂行に必要な支援を無償で受けながら、日本文化や日本の一般的な生活様式の理解を目的とする活動を行うことを認める在留資格です。特定活動(日系4世)は、法務省告示43号で認められています(法務省告示【令和5年3月改正】)。

理解を目的とする活動には、日本語を習得する活動が含まれます。

特定活動(日系4世)の在留資格では、活動に必要となる資金を補うための就労活動が認められます。理解を目的とする活動として就労活動を行うことは認められません。また、風俗営業等への就労は認められません

日系4世は、配偶者または子を帯同することが認められません。ただし、配偶者が日系4世の場合は、特定活動(日系4世)の在留資格の対象となります。

特定活動(日系4世)は、1年間に受け入れる上限が決められています。

特定活動(日系4世)の在留期間

特定活動(日系4世)の在留期間は、1年、6か月のいずれかとなります。

入国時は6か月の在留期間が指定されます。

特定活動(日系4世)では、在留期間を更新することで通算5年の在留が認められます。

申請の手続

特定活動(日系4世)の在留資格を取得する場合は、在留資格認定証明書交付申請の手続が必要となります。

在留資格認定証明書交付申請

在留資格認定証明書交付申請は、申請人、法定代理人、外国人を受け入れようとする機関の職員その他法務省令で定める代理人(代理人)、申請等取次者(弁護士または行政書士を含む)が、出入国在留管理局に申請書、申請内容に応じて異なる必要書類を提出して行います。法定代理人または申請等取次者が申請を行う場合は、申請人または代理人が日本に滞在している必要があります。標準処理期間は、1か月~3か月とされています。

申請提出者

法定代理人

申請人が成年被後見人の場合は、成年後見人が法定代理人として申請を提出できます。

代理人

特定活動(日系4世)の在留資格では、次の者が代理人として申請を提出できます。

①申請人が所属して活動を行うこととなる機関の職員

②申請人を雇用する者または法務大臣が告示をもって定める者

申請等取次者

地方出入国在留管理局長から申請等取次者としての承認を受けた雇用機関、教育機関、監理団体、公益法人の職員は、申請人からの依頼を受けた場合に申請等取次者として申請を提出できます(在留資格認定証明書交付申請の場合は公益法人の職員のみ)。

弁護士または行政書士

地方出入国在留管理局長に届出をした弁護士または行政書士は、申請人からの依頼を受けた場合に申請を提出できます。

申請手続の流れ

申請は次のような流れで行います。在留資格認定証明書交付申請は、一般的には国外にいる外国人に代わり日本国内にいる代理人が行います。

申請人が自ら手続を行う場合

①申請人は、出入国在留管理局(外国人在留総合インフォメーションセンター)に在留申請の相談をします。出入国在留管理局の担当者は、申請人の在留資格や在留状況を確認したうえで、申請の要件を満たす可能性があると判断した場合は、申請に必要な書類について説明します。

②申請人は、申請書とその他の申請に必要な書類を作成・収集します。出入国在留管理局で説明される書類は、申請に最低限必要となる書類なので、審査を有利にするためには、その他にも様々な書類を作成・収集する必要があります。このとき、書類に誤った内容を記載しないこと、すべての書類で内容に整合性があること、審査を不利にする内容を記載していないこと、収集した書類の有効期間に余裕があることなどに注意する必要があります。

③申請人は、作成・収集した書類を出入国在留管理局に提出するか、在留申請オンラインシステムを利用して申請します。

④出入国在留管理局は、提出された書類をもとに審査を行い、必要に応じて追加の書類の提出を求める場合があります。

⑤出入国在留管理局は、申請人に審査結果の通知を行います。申請が許可された場合、申請人は出入国在留管理局で在留資格認定証明書を受け取ることができます。在留申請オンラインシステムを利用して申請した場合は、申請人は電子メールで在留資格認定証明書を受け取ることができます(出入国在留管理庁「在留資格認定証明書の電子化について」)。日本にいる代理人が申請人の代わりに在留資格認定証明書の交付を受けた場合は、申請人に証明書を送付または電子メールを転送します。

⑥申請が不許可となった場合、申請人は出入国在留管理局で不許可となった理由の説明日本語で1回のみ受けられます。不許可となった理由は、再び申請をするときに改める必要があるため、申請に用いた書類の控えを残しておき、どのような理由で不許可となったのか調査できるようにしておく必要があります。不許可の理由の説明は、不許可の判断に対する不服申立の手続ではないため、申請人が不服を主張しても不許可の判断が覆ることはありません。

専門家に手続を依頼する場合

①申請人は、専門家に在留申請の相談をします。専門家は、申請人の在留資格や在留状況を確認したうえで、申請の要件を満たす可能性があると判断した場合は、申請人の依頼を受けます。専門家によっては、在留申請の知識が不十分な場合もあるため、相談・依頼をするときは外国人の在留手続に詳しい専門家を利用することが重要です。

②専門家は、必要な書類を作成・収集します。必要な書類については専門家の判断で作成・収集します。

③専門家は、作成・収集した書類を出入国在留管理局に提出するか、在留申請オンラインシステムを利用して申請します。

④出入国在留管理局は、提出された書類をもとに審査を行い、必要に応じて追加の書類の提出を求める場合があります。追加の書類の提出は、専門家が取り次いで行います。

⑤出入国在留管理局は、専門家に審査結果の通知を行います。申請が許可された場合、専門家は出入国在留管理局で在留資格認定証明書を受け取ることができます。在留申請オンラインシステムを利用して申請した場合は、専門家は電子メールで在留資格認定証明書を受け取ることができます(出入国在留管理庁「在留資格認定証明書の電子化について」)。専門家は、申請人に証明書を送付または電子メールを転送します。

⑥申請が不許可となった場合、専門家は出入国在留管理局で不許可となった理由の説明を受け、申請人に伝えます。再び申請をするときは、申請人は専門家に不許可となった理由を調査して対策をとってもらうことで、許可される可能性が高くなります。

日系4世の要件

日系4世は、次の要件を満たす必要があります。

①次のいずれかに当たること

(1)日本人の子として出生した者(日系2世)の実子の実子

日本人の子として出生した者で、かつて日本国民として日本に本籍を有したことがある者の実子の実子は除きます。

(2)(1)以外で、日本人の子として出生した者で、かつて日本国民として日本に本籍を有したことがある者の実子の実子の実子

18歳以上30歳以下であること

③帰国のための航空券など、航空券などを購入できる金額の資金を所持していること

滞在期間中に独立の生計を営むことができると見込まれること

⑤健康であること

⑥素行が善良であること

⑦滞在期間中に死亡し、負傷し、または疾病に罹患した場合における保険に加入をしていること

⑧次のいずれかに当たること

ただし、特定活動(日系4世)の在留期間が通算3年を超える場合は、日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる能力を有していることを試験により証明され、かつ、特定活動(日系4世)の活動を通じて日本文化および日本国における一般的な生活様式の理解が十分に深められていること。

(1)基本的な日本語を理解することができる能力を有していることを試験その他の方法により証明されていること。

(2)基本的な日本語をある程度理解することができる能力を有していることを試験により証明されていること

特定活動(日系4世)の在留期間が通算1年を超える場合は除きます。

日本に入国する際に日本語能力試験(JLPT)でN5以上または試験その他の方法でN4相当、在留期間が通算1年を超える場合はN4以上、在留期間が通算3年を超える場合はN3以上の認定を受けている必要があります。

⑨在留資格認定証明書交付申請をした日が、特定活動(日系4世)の在留資格認定証明書の1年間の総数が、地域社会への影響等の観点から相当といえる数を超えたと認められる日の翌日までであること

申請に必要となる書類

申請には、在留資格認定証明書交付申請書が必要となります。その他にも申請内容に応じて異なる書類が必要となります。

結核スクリーニング

在留資格認定証明書交付申請をする場合、フィリピン、ベトナム、中国、インドネシア、ネパール、ミャンマー国籍の外国人は、日本政府が指定した医療機関が発行する結核非発病証明書を提出する必要があります(厚生労働省「入国前結核スクリーニングの実施について」)。

まとめ

外国人が特定活動(日系4世)の在留資格を取得するには、一定の要件を満たしたうえで、在留資格認定証明書交付申請を行う必要があります。在留申請で提出する書類の作成・収集には、専門的な知識が必要となりますし、申請手続やその準備には多くの時間がかかります。また、不許可となった場合は、その理由を適切に調査できないと、何度申請しても許可されないおそれがあります。そのため、在留申請を行うときは、専門家の支援を受けることが大切です。当事務所では、外国人の在留申請を代行するお手伝いをしていますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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