技能実習の在留資格で入国、在留する外国人を監理するための監理団体になるにはどうすればよいでしょうか。監理団体の要件について解説します。
技能実習とは
技能実習とは、外国人が日本で技能、技術、知識を修得して本国に移転するために実習を受けることを認める在留資格です。
技能実習生の受け入れ方式には、企業単独型と団体監理型の2つがあり、このうち団体監理型では監理団体が技能実習生を受け入れて、傘下の企業等で実習を行います。
監理団体とは
監理団体は、技能実習の監理(監理事業)を目的とした非営利法人です。一般的には、商工会議所、商工会、事業協同組合、公益社団法人、公益財団法人などが監理団体となります。監理事業を行おうとする者は、監理団体の許可申請を行い、法務大臣および厚生労働大臣の許可を受ける必要があります。監理団体の許可には、一般管理事業と特定監理事業があり、一般管理事業は、技能実習(1~3号)を監理でき、許可の有効期間が3年または7年、特定監理事業は、技能実習(1、2号)を監理でき、許可の有効期間が3年または5年となります(前回許可期間内に改善命令や業務停止命令を受けていない場合は長期の有効期間となります)。監理団体は、自己の名義で他人に監理業務を行わせることは認められません。
監理団体は、3か月に1回、監査報告書を、毎年、事業報告書を外国人技能実習機構に提出する必要があります(外国人技能実習機構「事業報告書の提出」)。
監理団体の許可申請手続
監理団体の許可申請
監理団体として、技能実習生の監理を行うためには、監理団体の許可申請をする必要があります(外国人技能実習機構「監理団体の許可申請」)。許可申請は、監理団体許可申請書とその他の申請に必要な書類を外国人技能実習機構に提出して行います。
監理団体の許可有効期間更新申請
許可には3~7年の有効期間があり、監理を継続する場合は監理団体の許可有効期間更新申請をする必要があります(外国人技能実習機構「監理団体の許可有効期間更新申請」)。許可有効期間更新申請は、監理団体許可有効期間更新申請書その他の必要な書類を外国人技能実習機構に提出して行います。許可有効期間更新申請は、有効期間満了日の6か月前の初日から4か月前の月末までに行う必要があります。
監理団体の要件
監理団体は、次のいずれの要件も満たす必要があります。
1 営利を目的としない法人であること
営利を目的としない法人として次のものが当たります。商工会議所、商工会、中小企業団体、職業訓練法人、農業協同組合、漁業協同組合、公益社団法人、公益財団法人、これら以外で監理事業を行うことについて特別の理由があり、かつ、重要事項の決定および業務の監査を行う適切な機関を置いている法人、その他、特定の職種および作業について、事業所管大臣が告示で定める法人。
2 「監理団体の業務の実施に関する基準」に従って監理事業を適正に行う能力があること
3 監理事業を健全に遂行できるだけの財産的基礎があること
4 個人情報を適正に管理していること、実習実施者、技能実習生等の秘密を守るために必要な措置を講じていること
適正に管理しているというには、個人情報を取り扱う職員の範囲を明確にする、職員への教育を実施する、個人情報の開示・訂正について技能実習生に周知する、苦情を適切に処理するなど事業運営体制を整備していること、個人情報を正確かつ最新のものに保つ、紛失・破壊・改ざんを防止する、職員以外の者によるアクセスを防止する、必要ない個人情報を破棄・削除するなど個人情報管理の措置を講じていることが必要です。
5 監理事業を適切に運営するための措置を講じていること
役員が実習実施者と密接な関係を有する者のみで構成されていないこと、役員の構成が監理事業の適切な運営の確保に支障を及ぼすおそれがないこと、監査の公正が確保される者に監査を行わせることが必要です。
6 外国の送出機関から技能実習生になろうとする者からの技能実習に係る求職の申込みの取次ぎを受けようとする場合は、外国の送出機関との間で取次契約を締結していること
7 一般監理事業の許可申請の場合は、申請者が技能実習の実施状況の監査その他の業務を遂行する能力につき高い水準を満たし、基準に適合していること
一定の基準を満たして優良な監理団体に当たることが必要です。
8 1~7の他、申請者が、監理事業を適正に遂行することができる能力があること
許可申請の拒否事由
1 出入国または労働に関する法令に違反して罰金刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者
2 社会保険または労働保険に関する法令に違反して罰金刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者
3 暴力団員等がその事業活動を支配する者
4 許可を取り消され、取消の日から起算して5年を経過しない者
5 許可取消の通知があった日から処分をする日または処分をしないことを決定する日までの間に、監理事業の廃止の届出をしてから5年を経過しない者
6 出入国または労働に関する法令に関して不正または著しく不当な行為をして5年を経過しない者
7 役員のうちに次のいずれかに当たる者がいる法人
⑴ 次のいずれかに当たる者
① 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者
② 暴力団に関する法令または刑法等に違反して罰金刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者
③ 心身の故障により支援業務を適正に行うことができない者
④ 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
⑤ 暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
⑥ 法定代理人が拒否事由のいずれかに当たる未成年者(営業に関し成年者と同一の行為能力を有する者は除く)
⑵ 1、2、6のいずれかに当たる者
⑶ 法人が登録を取り消された場合、取消処分を受ける原因となった事項が発生した当時現に法人の役員であった者で、取消の日から起算して5年を経過しない者
⑷ 4~6の期間内に法人が監理事業の廃止の届出をした場合、通知の日前60日以内に届出をした法人の役員であった者で、届出の日から起算して5年を経過しない者
8 暴力団員等をその業務に従事させ、またはその業務の補助者として使用するおそれのある者
まとめ
監理団体になるには、一定の要件を満たした上で監理団体の許可申請を行う必要があります。また、監理団体は、3か月に1回、監査報告書を、毎年、事業報告書を提出し、3~7年ごとに許可有効期間更新申請を行う必要があります。これらの申請や報告で提出する書類の作成・収集には、専門的な知識が必要となりますし、手続やその準備には多くの時間がかかります。そのため、監理団体として監理業務を行う場合は、専門家の支援を受けることが大切です。当事務所では、監理団体の申請や届出を代行するお手伝いをしていますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。