日本国内で旅行業に従事したいと考える外国人は決して少なくないことでしょう。そのようなとき、持っていると非常に重宝するのが旅行業務取扱管理者の資格です。ここでは、旅行業務取扱管理者の業務内容と合格率などについて説明していきます

 

旅行業務取扱管理者の業務内容

旅行業法では、旅行業務取扱管理者について以下のように定めています。

 

旅行業者又は旅行業者代理業者は、営業所ごとに、規定を満たす旅行業務取扱管理者を一人以上選任し、当該営業所における旅行業務に関し、その取引に係る取引条件の明確性、旅行に関するサービスの提供の確実性その他取引の公正、旅行の安全及び旅行者の利便を確保するため必要な国土交通省令で定める事項についての管理及び監督に関する事務を行わせなければならない。

※旅行業法「旅行業務取扱管理者の選任」より抜粋

 

旅行業務取扱管理者の業務

旅行業務取扱管理者になるには、国家試験である旅行業務取扱管理者試験に合格し資格を取る必要があります。無事に資格が取れたら、旅行業務取扱管理者として以下に挙げる業務に従事することになります。

 

  • 旅行に関する計画の作成に関する事項
  • 旅行業務の取扱い料金の掲示に関する事項
  • 旅行業約款の掲示及び備置きに関する事項
  • 取引条件の説明に関する事項
  • 契約書面の交付に関する事項
  • 企画旅行の広告に関する事項
  • 運送等サービスの確実な提供等、企画旅行の円滑な実施のための措置に関する事項
  • 旅行に関する苦情の処理に関する事項
  • 契約締結の年月日、契約の相手方その他の契約の内容に係る重要な事項についての明確の記録又は関係書類の保管に関する事項
  • 取引の公正、旅行の安全及び旅行者の利便を確保するため必要な事項として観光庁長官が定める事項

※旅行業法施行規則「旅行業務取扱管理者の職務」より抜粋

 

旅行業務取扱管理者になるための試験

観光庁によれば、当該営業所がどのような旅行業務を取り扱うかによって、受けるべき試験が異なってくるとしています。試験には以下の3種類があります。

 

■旅行業協会が実施

  • 総合旅行業務取扱管理者試験(海外旅行も取り扱う場合)
  • 国内旅行業務取扱管理者試験(国内旅行のみ取り扱う場合)

■観光庁が実施

  • 地域限定旅行業務取扱管理者試験(隣接市町村への旅行のみ取り扱う場合)

 

旅行業務取扱管理者試験の合格率

国家資格である旅行業務取扱管理者試験の合格率は決して高いとはいえず、やや難関資格だといえます。たとえば、海外旅行も取り扱う総合旅行の場合は合格率が10%から15%程度国内旅行の場合は30%から35%程度だといわれているのです

 

ただし、旅行業務取扱管理者いずれの試験においても受験資格はゆるやかであり、年齢・性別・学歴・国籍などを問わず受験できますから、日本に住む外国人でも挑戦することが可能です。合格すれば日本の旅行業者への就職に大変有利になる傾向がありますから、積極的に資格取得を目指すといいでしょう。

 

試験内容について

試験を主催する日本旅行業協会・全国旅行業協会では、過去問題と正解を公開しています。試験内容には日本の旅行業法に関するものも当然含まれますので、十分な時間的余裕を持って試験に備えることが大事です。

 

日本旅行業協会(総合旅行業務取扱管理者試験)

  • 旅行業法及びこれに基づく命令
  • 旅行業約款、運送約款及び宿泊約款
  • 国内旅行実務
  • 海外旅行実務

※日本旅行業協会ホームページ参照

 

全国旅行業協会(国内旅行業務取扱管理者試験)

  • 旅行業法及びこれに基づく命令
  • 旅行業約款、運送約款及び宿泊約款
  • 国内旅行実務

※全国旅行業協会が公開する過去問題参照

 

観光庁(地域限定旅行業務取扱管理者試験)

  • 旅行業法及びこれに基づく命令
  • 旅行業約款、運送約款及び宿泊約款
  • 国内旅行実務

※観光庁が公開する過去問題参照

 

まとめ

訪日観光需要が再び高まっていくなかで、外国人の旅行業務取扱管理者がいれば旅行会社としても事業の幅が広がります。このことから、外国人が日本の旅行会社で働きたい場合、旅行業務取扱管理者の資格を保有していることは自分の武器になることでしょう。旅行業務取扱管理者資格は日本人にとっても難関ですが、受験資格で国籍は問われませんのでぜひ積極的に挑戦してみることをおすすめします。

この記事が気に入ったら フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう