外国人が日本に入国する場合、どのような手続きを受ける必要があり、そこではどのような書類を用意する必要があるのでしょうか。

上陸手続

日本に入国(上陸)しようとする外国人は、入国審査官による上陸手続を受けて、旅券(パスポート)に上陸許可の証印を受ける必要があります。外国人が上陸許可を受けずに上陸すると、不法入国または不法上陸として退去強制の対象となります。上陸許可には、一般的な上陸許可の他に、船舶や航空機の乗員や乗客が、一時的に上陸する場合に与えられる特例上陸許可があります。

上陸手続では、日本に上陸しようとする外国人が、法務省令で定められた出入国港(港や空港)において、有効な旅券(パスポート)、査証(ビザ)が必要な場合は有効な査証、在留資格によっては在留資格認定証明書を提出して上陸の申請をします。入国審査官は、①有効な旅券および査証を所持していること、②日本で行おうとしている活動に偽りがないこと、③行おうとしている活動が在留資格のいずれかに当たり、上陸許可基準のある在留資格の場合は基準に適合すること、④滞在予定期間が在留期間の規定に適合すること、⑤上陸拒否事由に当たらないことを審査し、上陸の条件を満たすと判断した場合は、上陸を許可します。

入国審査官が、上陸の条件を満たさないと判断した場合は、外国人に退去を命じ、外国人がこれに応じない場合は退去強制の対象となりますとなります。ただし、上陸の条件を満たさないと判断された場合でも、法務大臣が特別に上陸を許可する場合があります(上陸特別許可)。

上陸手続に必要な書類

旅券

旅券(パスポート)は、国や国際機関が発行する書類で、外国の当局に対して、所持者の身元を明らかにして、人身保護を要請するものです。一般的に旅券には有効期間があるため、上陸手続では有効期間を経過していない有効な旅券を提出する必要があります。また、査証を受けるには未使用の査証欄が必要となるため、未使用の査証欄が見開き3ページ以下となった場合は、新しい旅券を取得しておく必要があります。

査証

査証(ビザ)は、在外公館(大使館、領事館など)が、日本に入国しようとする外国人に発行する書類で、入国管理局に対して、所持者の旅券が有効であり、入国に支障がないことを示すものです。査証は、就業査証、短期滞在査証のように活動の目的に応じて複数の種類があり、取得する在留資格に応じた査証が必要となります。査証は、原則として1回の入国に限り有効(一次有効の査証、一次査証、シングルビザ)であり、入国審査を受けて上陸許可が与えられると失効しますが、複数回の入国で使用できる査証(数次有効の査証、数次査証、マルチビザ)もあります。なお、数次有効の査証を交付された場合でも、数回の入国にわたる期間を連続して在留することはできません。数次有効の査証で入国して在留期間を経過する場合は、在留期間を更新しない限り一度出国して、再度入国する必要があります。査証には、一次有効の査証の場合は3か月数次有効の査証の場合は1~5年有効期間があるため、上陸手続では有効期間を経過していない有効な査証を提出する必要があります。

日本は一部の国と地域に対して、査証免除措置をとっており、観光などの目的で日本に入国する場合は査証を提出する必要がありません。ただし、原則として就労の目的で入国する場合は査証免除措置の適用は受けられません。2023年9月の時点で70の国と地域が査証免除措置の対象となっており、付与される在留期間は国や地域によって異なります(外務省「ビザ免除国・地域」)。

在留資格認定証明書

在留資格認定証明書は、日本で行おうとしている活動が在留資格に適合していることを、上陸手続の前にあらかじめ認定する書類で、査証申請手続や上陸手続の際に必要となります。申請者は、在留資格認定証明書交付申請書やその他の申請に必要な書類を、居住予定地または外国人を受け入れようとする機関の所在地を管轄する出入国在留管理局に提出するか、在留申請オンラインシステムを利用して申請する必要があります。在留資格認定証明書は、永住者短期滞在の在留資格の場合は提出する必要がありません

査証

査証の種類

日本では次のような種類の査証があり、かっこ内の対応する在留資格に応じた査証を取得・提出する必要があります。

1 短期滞在を目的とする査証

⑴ 短期滞在査証(短期滞在)

2 就労・長期滞在を目的とする査証

⑴ 一般査証(原則として就労不可能な活動資格(文化活動、留学、研修、家族滞在))

⑵ 就業査証(原則として就労可能な活動資格(教授、芸術、宗教、報道、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、興行、技能、特定技能、技能実習))

⑶ 高度専門職査証(高度専門職、特定活動「高度専門職外国人の就労する配偶者など」)

⑷ 特定査証(居住資格(日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者)、特定活動「家事使用人、ワーキング・ホリデー、インターンシップ、未来創造人材外国人など」)

⑸ 起業査証(特定活動「外国人起業家」)

3 医療滞在を目的とする査証

⑴ 医療滞在査証(特定活動「医療滞在者」)

4 外交・公用を目的とする査証

⑴ 外交査証(外交)

⑵ 公用査証(公用)

申請の手続

申請は申請者本人が行います。申請者は、申請者の居住地または旅券発給国・地域を管轄する日本大使館、領事館などに査証申請書、 在留資格によっては在留資格認定証明書、その他の必要な書類を提出して査証の発行を申請します。必要な書類は、申請者の国籍、申請する査証の種類によって異なります。査証の種類によっては、日本国内で外国人を招く人(招へい人)や身元保証人が作成する書類が必要となるため、これらの人はあらかじめ書類を準備して申請者に送付しておく必要があります。

査証申請書

査証申請書は、申請者の情報や日本に上陸する理由などを明らかにする書類です。査証申請書には、招へい人や身元保証人の情報も記入する必要があり、招へい人側で必要な内容を記入した書類を申請者に送付することもできます。査証申請書に記入した内容は、他の書類と照らし合わせて審査されるため、すべての書類で内容の整合性がとれていることが必要です。

JAPAN eVISA

外国人が、90日以内の観光を目的とした短期滞在査証を申請する場合は、JAPAN eVISAを利用して査証をオンライン申請することができます。オンライン申請を利用すると査証は電子ビザとして交付されます。

次の外国人がオンライン申請の対象となります。

1 アラブ首長国連邦、英国、カナダ、カンボジア、サウジアラビア、シンガポール、台湾、ブラジル、米国、南アフリカ、モンゴルに居住する全ての国・地域籍者(ただし、短期滞在査証の取得が必要な国・地域籍者に限ります。)

2 中国に居住する中国籍者(ただし、申請は在中国公館が指定する指定旅行会社が行います。)

まとめ

外国人が日本に入国(上陸)するには、旅券(パスポート)、査証(ビザ)などの書類を用意する必要があります。特に査証の申請には、外国人の国籍や査証の種類に応じて、在留資格認定証明書など複数の書類が必要となります。それらの書類を正しく作成して確実に入国できるようにするには、専門家の支援を受けることが大切です。当事務所では、外国人が日本に入国するお手伝いを行っていますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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