日本に在留する外国人が在留期間を超えて在留したいと考えているときに必要となるのが在留期間の更新です。

在留期間の更新とは

在留期間の更新とは、日本に在留する外国人が、現在の在留資格を変更することなく、在留期間を超えて引き続き在留するために、新たな在留期間の設定を受けることをいいます。在留期間に制限のある在留資格で在留する外国人は、日本に在留し続ける場合、在留期間を経過する前に在留期間の更新手続をする必要があります。(出入国在留管理庁「在留期間更新許可申請」)

在留期間を経過した場合

外国人が在留期間の更新をしないまま在留期間の経過した後も日本に滞在し続けている場合は、不法滞在となり退去強制の対象となります。なお、在留期間更新許可申請中に在留期間を経過した場合は、特例で2か月間は適法に在留することができます(特例期間)。

在留期間の更新が必要ない在留資格

在留期間の制限がない永住者高度専門職2号の在留資格で在留する外国人は、在留期間を更新する必要がありません。ただし、これらの在留資格でも在留カードには有効期間があるため、在留カードの有効期間の更新申請を行う必要があります。

在留期間更新許可申請の手続

在留期間更新許可申請は、申請人、法定代理人、申請等取次者(弁護士または行政書士、親族または同居者等を含む)が、出入国在留管理局に申請書、申請内容に応じて異なる必要書類を提出して行います。申請等取次者が申請を行う場合は、申請人が日本に滞在している必要があります。標準処理期間は、2週間~1か月とされています。

申請期間

在留期間更新許可申請は、原則として、在留期間が6か月未満の場合は在留期間が満了する日以前在留期間が6か月以上の場合は在留期間が満了する3か月前から行えます。

申請提出者

法定代理人

申請人が18歳未満の場合は、親権者または未成年後見人、申請人が成年被後見人の場合は、成年後見人が法定代理人として申請を提出できます。

申請等取次者

地方出入国在留管理局長から申請等取次者としての承認を受けた雇用機関、教育機関、監理団体、公益法人の職員は、申請人からの依頼を受けた場合に申請等取次者として申請を提出できます。

弁護士または行政書士

地方出入国在留管理局長に届出をした弁護士または行政書士は、申請人からの依頼を受けた場合に申請を提出できます。

親族または同居者等

申請人が16歳未満の場合や申請人が疾病その他の事由により自ら出頭することができない場合、申請人の親族または同居者もしくはこれに準ずる者で地方出入国在留管理局長が適当と認める者は、申請を提出できます。適当と認める者には、医療滞在の同行者、刑事施設・児童相談所・婦人相談所の施設の職員、老人ホーム等の職員、教育機関等の職員、児童養護施設等の職員などが当たります。

申請手続の流れ

在留期間更新許可申請は次のような流れで行います。

申請人が自ら手続を行う場合

1 申請人は、出入国在留管理局(外国人在留総合インフォメーションセンター)に在留申請の相談をします。出入国在留管理局の担当者は、申請人の在留資格や在留状況を確認したうえで、申請の要件を満たす可能性があると判断した場合は、申請に必要な書類について説明します。

2 申請人は、申請書とその他の申請に必要な書類を作成・収集します。出入国在留管理局で説明される書類は、申請に最低限必要となる書類なので、審査を有利にするためには、その他にも様々な書類を作成・収集する必要があります。このとき、書類に誤った内容を記載しないこと、すべての書類で内容に整合性があること、審査を不利にする内容を記載していないこと、収集した書類の有効期間に余裕があることなどに注意する必要があります。

3 申請人は、作成・収集した書類を出入国在留管理局に提出するか、在留申請オンラインシステムを利用して申請します。

4 出入国在留管理局は、提出された書類をもとに審査を行い、必要に応じて追加の書類の提出を求める場合があります。

5 出入国在留管理局は、申請人に審査結果の通知を行います。申請が許可された場合、申請人は出入国在留管理局で在留カードを受け取ることができます。在留申請オンラインシステムを利用して申請した場合は、申請人は郵送で在留カードを受け取ることができます(出入国在留管理庁「在留資格認定証明書の電子化について」)。

6 申請が不許可となった場合、申請人は出入国在留管理局で不許可となった理由の説明日本語で1回のみ受けられます。不許可となった理由は、再び申請をするときに改める必要があるため、申請に用いた書類の控えを残しておき、どのような理由で不許可となったのか調査できるようにしておく必要があります。不許可の理由の説明は、不許可の判断に対する不服申立の手続ではないため、申請人が不服を主張しても不許可の判断が覆ることはありません。

専門家に手続を依頼する場合

1 申請人は、専門家に在留申請の相談をします。専門家は、申請人の在留資格や在留状況を確認したうえで、申請の要件を満たす可能性があると判断した場合は、申請人の依頼を受けます。専門家によっては、在留申請の知識が不十分な場合もあるため、相談・依頼をするときは外国人の在留手続に詳しい専門家を利用することが重要です。

2 専門家は、必要な書類を作成・収集します。必要な書類については専門家の判断で作成・収集します。

3 専門家は、作成・収集した書類を出入国在留管理局に提出するか、在留申請オンラインシステムを利用して申請します。

4 出入国在留管理局は、提出された書類をもとに審査を行い、必要に応じて追加の書類の提出を求める場合があります。追加の書類の提出は、専門家が取り次いで行います。

5 出入国在留管理局は、専門家に審査結果の通知を行います。申請が許可された場合、専門家は出入国在留管理局で在留カードを受け取ることができます。在留申請オンラインシステムを利用して申請した場合は、専門家は郵送で在留カードを受け取ることができます(出入国在留管理庁「在留資格認定証明書の電子化について」)。専門家は、申請人に在留カードを送付します。

6 申請が不許可となった場合、専門家は出入国在留管理局で不許可となった理由の説明を受け、申請人に伝えます。再び申請をするときは、申請人は専門家に不許可となった理由を調査して対策をとってもらうことで、許可される可能性が高くなります。

勤務先・活動内容に変更がある場合

現在の在留資格を取得したときから、勤務先や活動内容に変更がある場合は、新しい活動内容が在留資格で認められるか審査が必要となります。この審査は、在留期間更新の手続において行われるため、出入国在留管理局から必要な資料の提出を求められます。ただし、就労資格証明書の交付を受けている場合は、証明書交付の手続においてすでに審査が行われているため、在留期間更新の手続では審査が簡略化されます。

在留期間の更新許可の要件

在留期間更新許可の判断には法務大臣の裁量があり、明確な判断基準があるわけではありませんが、判断の参考として在留資格の変更、在留期間の更新許可に関するガイドライン(令和2年2月改訂)が公表されています。

ガイドラインの要件

1 在留期間の更新後に外国人が行う活動が在留資格に合致していること

2 原則として在留資格が上陸許可基準に適合していること

代表的な考慮要素

3 現在の在留資格に応じた活動を行っていたこと

4 素行が不良でないこと

5 独立して生活できるだけの資産または技能があること

6 雇用・労働条件が適正であること

7 納税義務を履行していること

8 法律に定められた届出等の義務を履行していること

申請に必要となる書類

在留期間更新許可申請には在留期間更新許可申請書が必要となります。その他にも申請内容に応じて異なる書類が必要となります。

まとめ

外国人が在留期間を更新するには、一定の要件を満たしたうえで、在留期間更新許可申請を行う必要があります。在留期間更新許可申請で提出する書類の作成・収集には、専門的な知識が必要となりますし、申請手続やその準備には多くの時間がかかります。また、不許可となった場合は、その理由を適切に調査できないと、何度申請しても許可されないおそれがあります。そのため、在留期間更新許可申請を行うときは、専門家の支援を受けることが大切です。当事務所では、外国人の在留期間更新許可申請を代行するお手伝いをしていますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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