日本に在留する外国人が現在の在留資格で許される範囲を超える活動を行いたい場合はどのような手続が必要となるのでしょうか。

在留資格の変更とは

在留資格の変更とは、日本に在留する外国人が、現在の在留資格とは別の在留資格で許される活動を行おうとする場合に、新しい在留資格に変更することをいいます。留学など就労できない在留資格で在留している外国人が就職する場合や、外国人が現在の在留資格とは異なる活動を行う企業に転職する場合には、在留資格を変更する必要があります。

在留資格で許される範囲を超える活動を行った場合

外国人が在留資格を変更しないまま現在の在留資格で許される範囲を超えて活動を行った場合は、在留資格の取消の対象となります。また、別の在留資格でなければ行うことができない就労活動を行うなど、活動の内容によっては刑事処罰退去強制の対象ともなります。

在留資格変更許可申請の手続

在留資格変更許可申請は、申請人、法定代理人、申請等取次者(弁護士または行政書士、親族または同居者等を含む)が、出入国在留管理局に申請書、申請内容に応じて異なる必要書類を提出して行います。申請等取次者が申請を行う場合は、申請人が日本に滞在している必要があります。標準処理期間は、2週間~1か月とされています。

申請提出者

法定代理人

申請人が18歳未満の場合は、親権者または未成年後見人、申請人が成年被後見人の場合は、成年後見人が法定代理人として申請を提出できます。

申請等取次者

地方出入国在留管理局長から申請等取次者としての承認を受けた雇用機関、教育機関、監理団体、公益法人の職員は、申請人からの依頼を受けた場合に申請等取次者として申請を提出できます。

弁護士または行政書士

地方出入国在留管理局長に届出をした弁護士または行政書士は、申請人からの依頼を受けた場合に申請を提出できます。

親族または同居者等

申請人が16歳未満の場合や申請人が疾病その他の事由により自ら出頭することができない場合、申請人の親族または同居者もしくはこれに準ずる者で地方出入国在留管理局長が適当と認める者は、申請を提出できます。適当と認める者には、医療滞在の同行者、刑事施設・児童相談所・婦人相談所の施設の職員、老人ホーム等の職員、教育機関等の職員、児童養護施設等の職員などが当たります。

申請手続の流れ

在留資格変更許可申請は次のような流れで行います。

申請人が自ら手続を行う場合

1 申請人は、出入国在留管理局(外国人在留総合インフォメーションセンター)に在留申請の相談をします。出入国在留管理局の担当者は、申請人の在留資格や在留状況を確認したうえで、申請の要件を満たす可能性があると判断した場合は、申請に必要な書類について説明します。

2 申請人は、申請書とその他の申請に必要な書類を作成・収集します。出入国在留管理局で説明される書類は、申請に最低限必要となる書類なので、審査を有利にするためには、その他にも様々な書類を作成・収集する必要があります。このとき、書類に誤った内容を記載しないこと、すべての書類で内容に整合性があること、審査を不利にする内容を記載していないこと、収集した書類の有効期間に余裕があることなどに注意する必要があります。

3 申請人は、作成・収集した書類を出入国在留管理局に提出するか、在留申請オンラインシステムを利用して申請します。

4 出入国在留管理局は、提出された書類をもとに審査を行い、必要に応じて追加の書類の提出を求める場合があります。

5 出入国在留管理局は、申請人に審査結果の通知を行います。申請が許可された場合、申請人は出入国在留管理局で在留カードを受け取ることができます。在留申請オンラインシステムを利用して申請した場合は、申請人は郵送で在留カードを受け取ることができます(出入国在留管理庁「在留資格認定証明書の電子化について」)。

6 申請が不許可となった場合、申請人は出入国在留管理局で不許可となった理由の説明日本語で1回のみ受けられます。不許可となった理由は、再び申請をするときに改める必要があるため、申請に用いた書類の控えを残しておき、どのような理由で不許可となったのか調査できるようにしておく必要があります。不許可の理由の説明は、不許可の判断に対する不服申立の手続ではないため、申請人が不服を主張しても不許可の判断が覆ることはありません。

専門家に手続を依頼する場合

1 申請人は、専門家に在留申請の相談をします。専門家は、申請人の在留資格や在留状況を確認したうえで、申請の要件を満たす可能性があると判断した場合は、申請人の依頼を受けます。専門家によっては、在留申請の知識が不十分な場合もあるため、相談・依頼をするときは外国人の在留手続に詳しい専門家を利用することが重要です。

2 専門家は、必要な書類を作成・収集します。必要な書類については専門家の判断で作成・収集します。

3 専門家は、作成・収集した書類を出入国在留管理局に提出するか、在留申請オンラインシステムを利用して申請します。

4 出入国在留管理局は、提出された書類をもとに審査を行い、必要に応じて追加の書類の提出を求める場合があります。追加の書類の提出は、専門家が取り次いで行います。

5 出入国在留管理局は、専門家に審査結果の通知を行います。申請が許可された場合、専門家は出入国在留管理局で在留カードを受け取ることができます。在留申請オンラインシステムを利用して申請した場合は、専門家は郵送で在留カードを受け取ることができます(出入国在留管理庁「在留資格認定証明書の電子化について」)。専門家は、申請人に在留カードを送付します。

6 申請が不許可となった場合、専門家は出入国在留管理局で不許可となった理由の説明を受け、申請人に伝えます。再び申請をするときは、申請人は専門家に不許可となった理由を調査して対策をとってもらうことで、許可される可能性が高くなります。

在留資格の変更許可の要件

在留資格の変更が認められるためには、在留資格を変更することが適当と認められるだけの相当の理由が必要です。また、新しい在留資格によって異なる要件を満たす必要があります。

短期滞在の在留資格からの変更

短期滞在の在留資格から新しい在留資格に変更するためには、やむを得ない特別の事情が必要となります。やむを得ない特別の事情が認められるには、外国人が新しい在留資格ではなく現在の在留資格を取得したことに合理性があり、一度出国して再度新しい在留資格を取得して入国することが不合理といえるような事情が必要となります。このように短期滞在からの在留資格の変更が制限されているのは、短期滞在の在留資格が取得しやすいことから、安易に変更を認めると在留資格制度の根幹を揺るがしてしまうためです。

やむを得ない特別の事情が認められやすい例としては、病気など人道上やむを得ない理由がある場合、外国人が日本で婚姻届を提出した場合、外国人が日本人や永住者の子である場合、在留資格認定証明書を取得した場合、短期滞在から留学へ移行する場合などがあります。

特例期間

在留資格変更許可申請中に在留期間を経過した場合は、特例で2か月間は適法に在留することができます(特例期間)。ただし、在留期間が30日以下の在留資格から新しい在留資格に変更する場合は、特例期間が認められていません

申請に必要となる書類

在留資格変更許可申請には在留資格変更許可申請書が必要となります。その他にも申請内容に応じて異なる書類が必要となります。

まとめ

外国人が在留資格を変更するには、一定の要件を満たしたうえで、在留資格変更許可申請を行う必要があります。在留資格変更許可申請で提出する書類の作成・収集には、専門的な知識が必要となりますし、申請手続やその準備には多くの時間がかかります。また、不許可となった場合は、その理由を適切に調査できないと、何度申請しても許可されないおそれがあります。そのため、在留資格変更許可申請を行うときは、専門家の支援を受けることが大切です。当事務所では、外国人の在留資格変更許可申請を代行するお手伝いをしていますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。