特定活動(特定研究等活動)とはどのような在留資格でしょうか。また、外国人が特定活動(特定研究等活動)の在留資格を取得するにはどうすればよいのでしょうか。

特定活動(特定研究等活動)とは

特定活動(特定研究等活動)とは、高度の専門的知識をもつ外国人が、日本の公私の機関との契約に基づいて、その施設において高度の専門的知識を必要とする特定の分野に関する研究、研究の指導または教育をする活動、関連する事業を自ら経営する活動を行うことを認める在留資格です。特定活動(特定研究等活動)は、法務省告示36号で認められています(法務省告示(令和5年3月改正))。

契約は、要件とはなっていませんが、高度な専門的知識を必要とする活動内容に応じた報酬額となっていることが必要とされます。

施設は、同一の機関の施設間で異動することが認められます。ただし、関連会社子会社の施設に異動する場合は資格外活動となります

教育は、大学、大学に準ずる機関、高等専門学校における教育活動に限られます。

経営は、研究、研究の指導または教育をする活動と併せて行う必要があります。

配偶者または子の帯同

特定活動(特定研究等活動)の在留資格をもつ外国人の配偶者または子は、特定活動(特定研究等活動に従事する者の配偶者等)の在留資格を取得できます(法務省告示38号)。

親の帯同

特定活動(特定研究等活動)の在留資格をもつ外国人または配偶者の親は、特定活動(特定研究等活動に従事する者またはその配偶者の親)の在留資格を取得できます(法務省告示39号)。親の帯同が認められるためには、外国人から扶養を受けて同居していることが必要です。

在留期間

特定活動(特定研究等活動)の在留期間

特定活動(特定研究等活動)の在留期間は、5年となります。

特定活動(特定研究等活動に従事する者の配偶者等)の在留期間

特定活動(特定研究等活動に従事する者の配偶者等)の在留期間は、扶養者の在留期間の満了日から1か月を超えない範囲内で月単位で指定されます。

在留資格変更許可、在留期間更新許可、在留資格取得許可では、4か月以上の在留期間が指定されます。

在留資格認定証明書交付では、通常は扶養者と同じ在留期間が指定されます。

特定活動(特定研究等活動に従事する者またはその配偶者の親)の在留期間

特定活動(特定研究等活動に従事する者またはその配偶者の親)の在留期間は、扶養者の在留期間の満了日から1か月を超えない範囲内で月単位で指定されます。

在留資格変更許可、在留期間更新許可、在留資格取得許可では、4か月以上の在留期間が指定されます。

在留資格認定証明書交付では、通常は扶養者と同じ在留期間が指定されます。

申請の手続

特定活動(特定研究等活動)の在留資格を取得する場合は、申請人の在留状況に応じて、在留資格認定証明書交付申請、在留資格変更許可申請、在留資格取得許可申請のいずれかの手続が必要となります。

在留資格認定証明書交付申請

在留資格認定証明書交付申請は、申請人、法定代理人、外国人を受け入れようとする機関の職員その他法務省令で定める代理人(代理人)、申請等取次者(弁護士または行政書士を含む)が、出入国在留管理局に申請書、申請内容に応じて異なる必要書類を提出して行います。法定代理人または申請等取次者が申請を行う場合は、申請人または代理人が日本に滞在している必要があります。標準処理期間は、1か月~3か月とされています。

在留資格変更許可申請

在留資格変更許可申請は、申請人、法定代理人、申請等取次者(弁護士または行政書士、親族または同居者等を含む)が、出入国在留管理局に申請書、申請内容に応じて異なる必要書類を提出して行います。申請等取次者が申請を行う場合は、申請人が日本に滞在している必要があります。標準処理期間は、2週間~1か月とされています。

在留資格取得許可申請

在留資格取得許可申請は、申請人、法定代理人、申請等取次者(弁護士または行政書士、親族または同居者等を含む)が、出入国在留管理局に申請書、申請内容に応じて異なる必要書類を提出して行います。申請等取次者が申請を行う場合は、申請人が日本に滞在している必要があります。標準処理期間は、在留資格の取得の事由が生じた日から60日以内とされています。

申請提出者

法定代理人

申請人が18歳未満の場合は、親権者または未成年後見人、申請人が成年被後見人の場合は、成年後見人が法定代理人として申請を提出できます。

代理人

特定活動(特定研究等活動)の在留資格では、次の者が代理人として申請を提出できます。

1 申請人が所属して活動を行うこととなる機関の職員

2 申請人を雇用する者または法務大臣が告示をもって定める者

申請等取次者

地方出入国在留管理局長から申請等取次者としての承認を受けた雇用機関、教育機関、監理団体、公益法人の職員は、申請人からの依頼を受けた場合に申請等取次者として申請を提出できます(在留資格認定証明書交付申請の場合は公益法人の職員のみ)。

弁護士または行政書士

地方出入国在留管理局長に届出をした弁護士または行政書士は、申請人からの依頼を受けた場合に申請を提出できます。

親族または同居者等

申請人が16歳未満の場合や申請人が疾病その他の事由により自ら出頭することができない場合、申請人の親族または同居者もしくはこれに準ずる者で地方出入国在留管理局長が適当と認める者は、申請を提出できます。適当と認める者には、医療滞在の同行者、刑事施設・児童相談所・婦人相談所の施設の職員、老人ホーム等の職員、教育機関等の職員、児童養護施設等の職員などが当たります。

申請手続の流れ

申請は次のような流れで行います。在留資格認定証明書交付申請は、一般的には国外にいる外国人に代わり日本国内にいる代理人が行います。

申請人が自ら手続を行う場合

1 申請人は、出入国在留管理局(外国人在留総合インフォメーションセンター)に在留申請の相談をします。出入国在留管理局の担当者は、申請人の在留資格や在留状況を確認したうえで、申請の要件を満たす可能性があると判断した場合は、申請に必要な書類について説明します。

2 申請人は、申請書とその他の申請に必要な書類を作成・収集します。出入国在留管理局で説明される書類は、申請に最低限必要となる書類なので、審査を有利にするためには、その他にも様々な書類を作成・収集する必要があります。このとき、書類に誤った内容を記載しないこと、すべての書類で内容に整合性があること、審査を不利にする内容を記載していないこと、収集した書類の有効期間に余裕があることなどに注意する必要があります。

3 申請人は、作成・収集した書類を出入国在留管理局に提出するか、在留申請オンラインシステムを利用して申請します。

4 出入国在留管理局は、提出された書類をもとに審査を行い、必要に応じて追加の書類の提出を求める場合があります。

5 出入国在留管理局は、申請人に審査結果の通知を行います。申請が許可された場合、申請人は出入国在留管理局で在留資格認定証明書または在留カードを受け取ることができます。在留申請オンラインシステムを利用して申請した場合は、申請人は電子メールで在留資格認定証明書を受け取る、または郵送で在留カードを受け取ることができます(出入国在留管理庁「在留資格認定証明書の電子化について」)。日本にいる代理人が申請人の代わりに在留資格認定証明書の交付を受けた場合は、申請人に証明書を送付または電子メールを転送します。

6 申請が不許可となった場合、申請人は出入国在留管理局で不許可となった理由の説明日本語で1回のみ受けられます。不許可となった理由は、再び申請をするときに改める必要があるため、申請に用いた書類の控えを残しておき、どのような理由で不許可となったのか調査できるようにしておく必要があります。不許可の理由の説明は、不許可の判断に対する不服申立の手続ではないため、申請人が不服を主張しても不許可の判断が覆ることはありません。

専門家に手続を依頼する場合

1 申請人は、専門家に在留申請の相談をします。専門家は、申請人の在留資格や在留状況を確認したうえで、申請の要件を満たす可能性があると判断した場合は、申請人の依頼を受けます。専門家によっては、在留申請の知識が不十分な場合もあるため、相談・依頼をするときは外国人の在留手続に詳しい専門家を利用することが重要です。

2 専門家は、必要な書類を作成・収集します。必要な書類については専門家の判断で作成・収集します。

3 専門家は、作成・収集した書類を出入国在留管理局に提出するか、在留申請オンラインシステムを利用して申請します。

4 出入国在留管理局は、提出された書類をもとに審査を行い、必要に応じて追加の書類の提出を求める場合があります。追加の書類の提出は、専門家が取り次いで行います。

5 出入国在留管理局は、専門家に審査結果の通知を行います。申請が許可された場合、専門家は出入国在留管理局で在留資格認定証明書または在留カードを受け取ることができます。在留申請オンラインシステムを利用して申請した場合は、専門家は電子メールで在留資格認定証明書を受け取る、または郵送で在留カードを受け取ることができます(出入国在留管理庁「在留資格認定証明書の電子化について」)。専門家は、申請人に証明書や在留カードを送付または電子メールを転送します。

6 申請が不許可となった場合、専門家は出入国在留管理局で不許可となった理由の説明を受け、申請人に伝えます。再び申請をするときは、申請人は専門家に不許可となった理由を調査して対策をとってもらうことで、許可される可能性が高くなります。

日本の公私の機関の要件

日本の公私の機関が外国人を受け入れるには、次の要件を満たす必要があります(法務省告示(令和5年3月改正))。

1 高度な専門的知識を必要とする特定の分野に関する研究(特定研究)を目的とするものであること

特定研究は、修士課程修了以上の者が通常行う水準の研究で、基礎的・創造的分野における研究であることが必要です。

2 特定研究を行う日本の公私の機関(特定研究機関)が、必要な施設、設備その他の研究体制を整備して行うものであること

研究体制は、施設の規模や研究費などが研究分野に応じて確保されることが必要です。

3 特定研究の成果が、特定研究機関もしくはこれと連携する他の機関の行う特定研究もしくはこれに関連する産業に係る事業活動に現に利用されること、または利用が相当程度見込まれるものであること

4 申請人の在留に係る十分な管理体制を整備して行うものであること

申請に必要となる書類

申請には、手続きに応じて、在留資格認定証明書交付申請書、在留資格変更許可申請書、在留資格取得許可申請書が必要となります。その他にも申請内容に応じて異なる書類が必要となります。

結核スクリーニング

在留資格認定証明書交付申請をする場合、フィリピン、ベトナム、中国、インドネシア、ネパール、ミャンマー国籍の外国人は、日本政府が指定した医療機関が発行する結核非発病証明書を提出する必要があります(厚生労働省「入国前結核スクリーニングの実施について」)。

まとめ

外国人が特定活動(特定研究等活動)の在留資格を取得するには、一定の要件を満たしたうえで、在留資格認定証明書交付申請、在留資格変更許可申請、在留資格取得許可申請のいずれかを行う必要があります。在留申請で提出する書類の作成・収集には、専門的な知識が必要となりますし、申請手続やその準備には多くの時間がかかります。また、不許可となった場合は、その理由を適切に調査できないと、何度申請しても許可されないおそれがあります。そのため、在留申請を行うときは、専門家の支援を受けることが大切です。当事務所では、外国人の在留申請を代行するお手伝いをしていますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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