在留資格のひとつに「技能ビザ」があり、熟練の技能を備えた外国人が申請・取得します。外国人だからこそ成し得る技能を計るためには、実務経験の長さや従事してきた業務内容などをみる必要があります。ここでは、技能ビザの分類や申請書類などについて説明していきます。

 

技能ビザの分類と特徴

技能の在留資格は以下のように定義されており、後に挙げるように、各国料理の料理人やその国特有の建築技術と知識を備えた建築家など、いずれも専門性と熟練の技術をもっていることが前提になっています。

 

本邦の公私の機関との契約に基づいて行う産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動

※法務省「在留資格一覧表」より

「本邦の公私の機関」

本邦の公私の機関」とは、日本あるいは外国の公的機関や民間企業、個人事業主などを含んでいます。外国人がその熟練技能を用いて業務を遂行するための十分な環境が整っていることが重要です。

 

「契約」

一カ所か複数箇所かにかかわらず、雇用・委任・委託・嘱託など継続的な契約があることが必要です。

 

「熟練した技能を要する」

経験の蓄積により培われた熟練技能が業務上必要であることを指しています。単純労働とは一線を画しています。

 

「産業上の特殊な分野」

技能資格は、上陸基準省令に基づき、以下のように分類されます。

【上陸基準省令第1号】菓子を含む外国料理の調理人

【上陸基準省令第2号】ゴシック様式やバロック様式、中国様式など外国に特有の建築様式に関する技術者

【上陸基準省令第3号】ガラス製品やペルシャ絨毯のように、外国に特有の機械や技能を備えた職人

 

また、外国特有の文化や習慣に限らず、同じ分野でも外国の方が日本より技術的に高レベルである場合も対象になります。

 

【上陸基準省令第4号】貴金属や毛皮などの加工職人

【上陸基準省令第5号】調教師

【上陸基準省令第6号】スポーツ指導者

【上陸基準省令第7号】ソムリエ

 

同じく、外国特有の文化や習慣ではないものの、日本国内の技術者が少数である場合も対象です。

 

【上陸基準省令第6号】石油や地熱などの掘削調査技術者

【上陸基準省令第7号】パイロット

 

技能ビザ申請のための提出書類

技能ビザを申請するためには、まず企業カテゴリーを確認するところから始めます。ここでは、技能の在留資格申請を行う場合について説明していきます。雇用元が企業カテゴリーのうちどこに当てはまるかによって、申請書類も変わってくるので注意しましょう。

 

【企業カテゴリー】

カテゴリー1:主に上場企業

カテゴリー2:前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表中,給与所得の源泉徴収票合計表の源泉徴収税額が1,000万円以上ある団体・個人

カテゴリー3:前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出され、かつカテゴリー2に該当しない団体・個人

カテゴリー4:カテゴリー1から3に該当しない団体・個人

 

技能ビザを新規申請するための申請書類

【カテゴリー1から4に共通するもの】

在留資格認定証明書交付申請書

規定の写真

返信用封筒

企業カテゴリーの証明資料

業務内容の詳細を示す資料

申請者の履歴書

【カテゴリー34に共通するもの】

職歴証明書

  • (例)料理人として一定年数以上の実務経験があることの証明文書
  • (例)パイロットとして1,000時間以上の飛行経験があることの証明文書
  • (例)ソムリエとしての在職証明書

活動内容を明記した資料

雇用元の事業内容を詳細に記した資料

雇用元の直近の決算文書

【カテゴリー4

新規事業を設立する場合はその事業計画書

 

まとめ

上記は企業カテゴリーに共通して必要になる基本的な申請書類になりますので、実際の申請においては別途書類の提出を求められることも考えられます。申請者である外国人がどの分野でどういった熟練技能を備えているか、ビザ申請に対してどのような書類を収集し提出すべきかなど、正しい判断と手間・労力が必要になることは理解しておかなければなりません。許認可の専門家である行政書士であれば、申請者および雇用元企業の良きアドバイザーになりますし、申請におけるサポートを十分受けることができるので、積極的に相談・依頼した方がより手続きの精度が高まるでしょう。

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