日本に在留する外国人が転職などで異なる企業などに就職する場合は、在留資格で認められた活動であることを確認するために就労資格証明書を取得することができます。
就労資格証明書とは
就労資格証明書は、日本に在留する外国人が現在の在留資格で行うことのできる、収入を伴う事業を運営する活動または報酬を受ける活動を証明する書類で、外国人に認められた活動を具体的に確認できるようにしたものです。(出入国在留管理庁「就労資格証明書交付申請」)
就労資格証明書は、外国人が必ず取得しなければいけない書類ではありませんが、一般的には外国人が転職するときに証明書を取得することが推奨されています。外国人は、証明書を取得することで雇用主に対して就労先の活動内容が在留資格の範囲内にあることを証明でき、雇用主は、証明書を確認することで、外国人を合法的に就労させることができるのか判断できます。
他の在留手続との関係
転職などで外国人の活動内容が変わった場合、在留期間更新許可を申請した際に、出入国在留管理局から新しい活動内容が在留資格で認められるか審査するため、追加の資料の提出を求められる場合があります。就労資格証明書の交付を受けていると、新しい活動内容については交付申請の手続内で、すでに審査されているものとして扱われるため、在留期間の更新では活動内容が変わらない場合と同様の手続で済みます。
就労資格証明書の交付を受けるには、数か月の期間がかかります。在留期間まで6か月を切っている場合は、在留期間の更新も必要となるため、就労資格証明書の交付申請ではなく、在留期間更新許可申請を行います。
新しい活動内容が明らかに在留資格の範囲を外れる場合は、就労資格証明書の交付を受けても、新しい活動が認められるわけではありません。この場合は、在留資格の変更が必要となるため、在留資格変更許可申請を行います。
就労資格証明書交付申請の手続
就労資格証明書交付申請は、申請人、法定代理人、申請等取次者(弁護士または行政書士を含む)が、出入国在留管理局に申請書、申請内容に応じて異なる必要書類を提出して行います。標準処理期間は、勤務先・活動内容が変わらない場合は当日、勤務先・活動内容が変わる場合は1か月~3か月とされています。
申請提出者
法定代理人
申請人が18歳未満の場合は、親権者または未成年後見人、申請人が成年被後見人の場合は、成年後見人が法定代理人として申請を提出できます。
申請等取次者
地方出入国在留管理局長から申請等取次者としての承認を受けた雇用機関、教育機関、監理団体、公益法人の職員は、申請人からの依頼を受けた場合に申請等取次者として申請を提出できます。
弁護士または行政書士
地方出入国在留管理局長に届出をした弁護士または行政書士は、申請人からの依頼を受けた場合に申請を提出できます。
申請手続の流れ
就労資格証明書の交付申請は次のような流れで行います。
申請人が自ら手続を行う場合
1 申請人は、出入国在留管理局(外国人在留総合インフォメーションセンター)に在留申請の相談をします。出入国在留管理局の担当者は、申請人の在留資格や在留状況を確認したうえで、申請の要件を満たす可能性があると判断した場合は、申請に必要な書類について説明します。
2 申請人は、申請書とその他の申請に必要な書類を作成・収集します。このとき、書類に誤った内容を記載しないこと、すべての書類で内容に整合性があること、収集した書類の有効期間に余裕があることなどに注意する必要があります。
3 申請人は、作成・収集した書類を出入国在留管理局に提出するか、在留申請オンラインシステムを利用して申請します。
4 出入国在留管理局は、提出された書類をもとに審査を行い、必要に応じて追加の書類の提出を求める場合があります。
5 出入国在留管理局は、申請人に審査結果の通知を行います。交付が決定された場合、申請人は出入国在留管理局で就労資格証明書を受け取ることができます。一般的に申請書に誤りがあるなど手続に不備がない限り就労資格証明書が不交付となることはありません。
専門家に手続を依頼する場合
1 申請人は、専門家に在留申請の相談をします。専門家は、申請人の在留資格や在留状況を確認したうえで、申請の要件を満たす可能性があると判断した場合は、申請人の依頼を受けます。専門家によっては、在留申請の知識が不十分な場合もあるため、相談・依頼をするときは外国人の在留手続に詳しい専門家を利用することが重要です。
2 専門家は、必要な書類を作成・収集します。必要な書類については専門家の判断で作成・収集します。
3 専門家は、作成・収集した書類を出入国在留管理局に提出するか、在留申請オンラインシステムを利用して申請します。
4 出入国在留管理局は、提出された書類をもとに審査を行い、必要に応じて追加の書類の提出を求める場合があります。追加の書類の提出は、専門家が取り次いで行います。
5 出入国在留管理局は、専門家に審査結果の通知を行います。交付が決定された場合、専門家は出入国在留管理局で就労資格証明書を受け取ることができます。専門家は、申請人に証明書を送付します。
申請に必要となる書類
申請には、就労資格証明書交付申請書が必要となります。その他にも申請内容に応じて異なる書類が必要となります。特に、勤務先・活動内容に変更がある場合は、新たな勤務先や活動内容の詳細がわかる書類が必要となります。
就労資格証明書の記載内容
就労資格証明書は、就労先の活動が在留資格の範囲内か否か審査した結果を記載したものです。就労資格証明書が交付されたからといって、すべての活動が認められるとは限らないことに注意が必要です。
在留資格には含まれる活動には、在留資格で認められた活動に「該当する」などと記載されます。このような記載がある活動は、問題なく行うことができます。これに対して、在留資格には含まれない、または含まれないおそれのある活動には、在留資格で認められた活動には「該当しない」や「適合しない」、または在留資格の活動とは「認められない」などと記載されます。このような記載がある活動を行うと、次回の在留期間更新許可申請で不許可となる可能性があるため、記載内容に従って活動内容を改める、または問題のない就労先に転職するなどの対策が必要となります。
まとめ
外国人が就労資格証明書を取得するには、就労資格証明書交付申請を行う必要があります。就労資格証明書の取得には様々な書類を作成・収取する必要があります。そのため、就労資格証明書交付申請を行うときは、専門家の支援を受けることが大切です。当事務所では、外国人の就労資格証明書交付申請を代行するお手伝いをしていますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。