留学とはどのような在留資格でしょうか。また、外国人が留学の在留資格を取得するにはどうすればよいのでしょうか。

留学とは

留学とは、外国人が日本の教育機関で教育を受けることを認める在留資格です。

教育機関には、大学、高等専門学校、専修学校、高等学校、中学校、小学校、中等教育学校(中高一貫校)、義務教育学校(小中一貫校)、特別支援学校、各種学校、設備および編制に関して学校に準ずる機関が当たります。

留学の在留資格で就労活動を行うことは原則として認められません。ただし、資格外活動許可を取得することで例外的に就労活動が認められます。留学の在留資格で個別許可の資格外活動許可を取得する場合は、次のいずれかに当たる必要があります(出入国在留管理庁「『留学』の在留資格に係る資格外活動許可について」)。

1 就職活動の一環として職業体験を目的とするインターンシップに従事する活動

2 語学教師、通訳、家庭教師その他留学生と密接な関係にある職種、または社会通念上学生が通常行っているアルバイトの範囲内にある職種の活動

3 日本での起業を目的とした準備活動

外国人が入学する教育機関が決まっておらず、日本で教育機関を受験する場合は、短期滞在の在留資格の対象となります。

留学の在留資格をもつ外国人は、2022年(令和4年)の時点で約30万1千人います。国籍別では、中国が約12万6千人、ベトナムが約4万5千人、ネパールが約4万人などとなっています。

留学の在留期間

留学の在留期間は、4年3か月を超えない範囲内の期間となります。

申請の手続

留学の在留資格を取得する場合は、申請人の在留状況に応じて、在留資格認定証明書交付申請、在留資格変更許可申請、在留資格取得許可申請のいずれかの手続が必要となります。

在留資格認定証明書交付申請

在留資格認定証明書交付申請は、申請人、法定代理人、外国人を受け入れようとする機関の職員その他法務省令で定める代理人(代理人)、申請等取次者(弁護士または行政書士を含む)が、出入国在留管理局に申請書、申請内容に応じて異なる必要書類を提出して行います。法定代理人または申請等取次者が申請を行う場合は、申請人または代理人が日本に滞在している必要があります。標準処理期間は、1か月~3か月とされています。

在留資格変更許可申請

在留資格変更許可申請は、申請人、法定代理人、申請等取次者(弁護士または行政書士、親族または同居者等を含む)が、出入国在留管理局に申請書、申請内容に応じて異なる必要書類を提出して行います。申請等取次者が申請を行う場合は、申請人が日本に滞在している必要があります。標準処理期間は、2週間~1か月とされています。

在留資格取得許可申請

在留資格取得許可申請は、申請人、法定代理人、申請等取次者(弁護士または行政書士、親族または同居者等を含む)が、出入国在留管理局に申請書、申請内容に応じて異なる必要書類を提出して行います。申請等取次者が申請を行う場合は、申請人が日本に滞在している必要があります。標準処理期間は、在留資格の取得の事由が生じた日から60日以内とされています。

申請提出者

法定代理人

申請人が18歳未満の場合は、親権者または未成年後見人、申請人が成年被後見人の場合は、成年後見人が法定代理人として申請を提出できます。

代理人

留学の在留資格では、次の者が代理人として申請を提出できます。

1 申請人が教育を受ける日本の機関の職員

2 申請人が上陸許可基準の1⑴⑵に当たる活動を行う場合は次の者

⑴ 申請人に対して奨学金を支給する機関その他の申請人の学費または滞在費を支払う機関の職員

⑵ 申請人の学費または滞在費を支払う者

⑶ 日本に居住する申請人の親族

3 申請人が上陸許可基準の1⑶に当たる活動を行う場合は次の者

⑴ 申請人が交換学生である場合の学生交換計画を策定した機関の職員

⑵ 申請人が高等学校、中学校、小学校、中等教育学校、義務教育学校、特別支援学校の中学部・小学部において教育を受けようとする場合の日本に居住する申請人の親族

申請等取次者

地方出入国在留管理局長から申請等取次者としての承認を受けた雇用機関、教育機関、監理団体、公益法人の職員は、申請人からの依頼を受けた場合に申請等取次者として申請を提出できます(在留資格認定証明書交付申請の場合は公益法人の職員のみ)。

弁護士または行政書士

地方出入国在留管理局長に届出をした弁護士または行政書士は、申請人からの依頼を受けた場合に申請を提出できます。

親族または同居者等

申請人が16歳未満の場合や申請人が疾病その他の事由により自ら出頭することができない場合、申請人の親族または同居者もしくはこれに準ずる者で地方出入国在留管理局長が適当と認める者は、申請を提出できます。適当と認める者には、医療滞在の同行者、刑事施設・児童相談所・婦人相談所の施設の職員、老人ホーム等の職員、教育機関等の職員、児童養護施設等の職員などが当たります。

申請手続の流れ

申請は次のような流れで行います。在留資格認定証明書交付申請は、一般的には国外にいる外国人に代わり日本国内にいる代理人が行います。

申請人が自ら手続を行う場合

1 申請人は、出入国在留管理局(外国人在留総合インフォメーションセンター)に在留申請の相談をします。出入国在留管理局の担当者は、申請人の在留資格や在留状況を確認したうえで、申請の要件を満たす可能性があると判断した場合は、申請に必要な書類について説明します。

2 申請人は、申請書とその他の申請に必要な書類を作成・収集します。出入国在留管理局で説明される書類は、申請に最低限必要となる書類なので、審査を有利にするためには、その他にも様々な書類を作成・収集する必要があります。このとき、書類に誤った内容を記載しないこと、すべての書類で内容に整合性があること、審査を不利にする内容を記載していないこと、収集した書類の有効期間に余裕があることなどに注意する必要があります。

3 申請人は、作成・収集した書類を出入国在留管理局に提出するか、在留申請オンラインシステムを利用して申請します。

4 出入国在留管理局は、提出された書類をもとに審査を行い、必要に応じて追加の書類の提出を求める場合があります。

5 出入国在留管理局は、申請人に審査結果の通知を行います。申請が許可された場合、申請人は出入国在留管理局で在留資格認定証明書または在留カードを受け取ることができます。在留申請オンラインシステムを利用して申請した場合は、申請人は電子メールで在留資格認定証明書を受け取る、または郵送で在留カードを受け取ることができます(出入国在留管理庁「在留資格認定証明書の電子化について」)。日本にいる代理人が申請人の代わりに在留資格認定証明書の交付を受けた場合は、申請人に証明書を送付または電子メールを転送します。

6 申請が不許可となった場合、申請人は出入国在留管理局で不許可となった理由の説明日本語で1回のみ受けられます。不許可となった理由は、再び申請をするときに改める必要があるため、申請に用いた書類の控えを残しておき、どのような理由で不許可となったのか調査できるようにしておく必要があります。不許可の理由の説明は、不許可の判断に対する不服申立の手続ではないため、申請人が不服を主張しても不許可の判断が覆ることはありません。

専門家に手続を依頼する場合

1 申請人は、専門家に在留申請の相談をします。専門家は、申請人の在留資格や在留状況を確認したうえで、申請の要件を満たす可能性があると判断した場合は、申請人の依頼を受けます。専門家によっては、在留申請の知識が不十分な場合もあるため、相談・依頼をするときは外国人の在留手続に詳しい専門家を利用することが重要です。

2 専門家は、必要な書類を作成・収集します。必要な書類については専門家の判断で作成・収集します。

3 専門家は、作成・収集した書類を出入国在留管理局に提出するか、在留申請オンラインシステムを利用して申請します。

4 出入国在留管理局は、提出された書類をもとに審査を行い、必要に応じて追加の書類の提出を求める場合があります。追加の書類の提出は、専門家が取り次いで行います。

5 出入国在留管理局は、専門家に審査結果の通知を行います。申請が許可された場合、専門家は出入国在留管理局で在留資格認定証明書または在留カードを受け取ることができます。在留申請オンラインシステムを利用して申請した場合は、専門家は電子メールで在留資格認定証明書を受け取る、または郵送で在留カードを受け取ることができます(出入国在留管理庁「在留資格認定証明書の電子化について」)。専門家は、申請人に証明書や在留カードを送付または電子メールを転送します。

6 申請が不許可となった場合、専門家は出入国在留管理局で不許可となった理由の説明を受け、申請人に伝えます。再び申請をするときは、申請人は専門家に不許可となった理由を調査して対策をとってもらうことで、許可される可能性が高くなります。

在留資格認定証明書交付申請

上陸許可基準

留学の在留資格認定証明書を取得して上陸する場合、次の要件を満たす必要があります。

1 次のいずれかに当たること

⑴ 大学、大学に準ずる機関、専修学校の専門課程、外国において12年の学校教育を修了した者に対して日本の大学に入学するための教育を行う機関、高等専門学校に入学して教育を受けること

専ら夜間通学してまたは通信により教育を受ける場合を除きます。

⑵ 大学に入学して、その大学の夜間において授業を行う大学院の研究科において専ら夜間通学して教育を受けること

大学院の研究科は、その大学が研究科において教育を受ける外国人の出席状況および在留資格の活動範囲の規定の遵守状況を十分に管理する体制を整備している場合に限ります。

⑶ 高等学校、中学校、小学校、特別支援学校、専修学校の高等課程または一般課程、各種学校、設備および編制に関してこれに準ずる教育機関に入学して教育を受けること

高等学校は、定時制を除き、中等教育学校の後期課程を含みます。

中学校は、義務教育学校の後期課程および中等教育学校の前期課程を含みます。

小学校は、義務教育学校の前期課程を含みます。

専ら夜間通学してまたは通信により教育を受ける場合を除きます。


2 在留期間中の生活に要する費用を支払う十分な資産、奨学金その他の手段を有すること

申請人以外の者が申請人の生活費用を支払う場合は、2の要件を満たす必要はありません。


3 専ら聴講による教育を受ける研究生または聴講生として教育を受ける場合は、1⑴⑵に当たり、その教育を受ける教育機関が行う入学選考に基づいて入学の許可を受け、かつ、その教育機関において1週間につき10時間以上聴講をすること


4 高等学校において教育を受けようとする場合は、年齢が20歳以下であり、かつ、教育機関において1年以上の日本語の教育または日本語による教育を受けていること

国、地方公共団体、独立行政法人、国立大学法人、学校法人、公益社団法人、公益財団法人の策定した学生交換計画その他これに準ずる国際交流計画に基づき、生徒として受け入れられて教育を受けようとする場合は、4の要件を満たす必要はありません。


5 中学校、小学校、特別支援学校の中学部・小学部において教育を受けようとする場合は、次のいずれにも当たること

⑴ 中学校において教育を受けようとする場合は、17歳以下であること

⑵ 小学校において教育を受けようとする場合は、14歳以下であること

⑶ 日本に監護する者がいること

⑷ 教育を受けようとする教育機関に外国人生徒または児童の生活の指導を担当する常勤の職員が置かれていること

⑸ 常駐の職員が置かれている寄宿舎その他の日常生活を支障なく営むことができる宿泊施設が確保されていること

国、地方公共団体、独立行政法人、国立大学法人、学校法人、公益社団法人、公益財団法人の策定した学生交換計画その他これに準ずる国際交流計画に基づき、生徒または児童として受け入れられて教育を受けようとする場合は、⑴⑵の要件を満たす必要はありません。


6 専修学校または各種学校において教育を受けようとする場合は、次のいずれにも当たること

⑴ 外国人に対する法務省告示の別表第1~3に当たる日本語教育を行う教育機関(日本語教育機関)において、6か月以上の日本語の教育を受けた者、専修学校もしくは各種学校において教育を受けるに足りる日本語能力を試験により証明された者、幼稚園以外の学校において1年以上の教育を受けた者であること

⑵ 教育を受けようとする教育機関に外国人学生の生活の指導を担当する常勤の職員が置かれていること

専ら日本語の教育を受けようとする場合は除きます。

外国から相当数の外国人を入学させて初等教育または中等教育を外国語により施すことを目的として設立された教育機関(インターナショナルスクール)において教育を受ける活動に従事する場合は、⑴の要件を満たす必要はありません。


7 専修学校、各種学校または設備および編制に関して各種学校に準ずる教育機関において専ら日本語の教育を受けようとする場合は、その教育機関が法務省告示の別表第1に当たること


8 外国において12年の学校教育を修了した者に対して日本の大学に入学するための教育を行う機関において教育を受けようとする場合は、その機関が法務省告示の別表第2に当たること


9 設備および編制に関して各種学校に準ずる教育機関において教育を受けようとする場合は、その教育機関が法務省告示の別表第4に当たること

専ら日本語の教育を受けようとする場合は除きます。

申請に必要となる書類

申請には、手続きに応じて、在留資格認定証明書交付申請書、在留資格変更許可申請書、在留資格取得許可申請書が必要となります。その他にも申請内容に応じて異なる書類が必要となります。

結核スクリーニング

3か月を超える滞在予定期間で在留資格認定証明書交付申請をする場合、フィリピン、ベトナム、中国、インドネシア、ネパール、ミャンマー国籍の外国人は、日本政府が指定した医療機関が発行する結核非発病証明書を提出する必要があります(厚生労働省「入国前結核スクリーニングの実施について」)。

まとめ

外国人が留学の在留資格を取得するには、一定の要件を満たしたうえで、在留資格認定証明書交付申請、在留資格変更許可申請、在留資格取得許可申請のいずれかを行う必要があります。在留申請で提出する書類の作成・収集には、専門的な知識が必要となりますし、申請手続やその準備には多くの時間がかかります。また、不許可となった場合は、その理由を適切に調査できないと、何度申請しても許可されないおそれがあります。そのため、在留申請を行うときは、専門家の支援を受けることが大切です。当事務所では、外国人の在留申請を代行するお手伝いをしていますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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