研修とはどのような在留資格でしょうか。また、外国人が研修の在留資格を取得するにはどうすればよいのでしょうか。

研修とは

研修とは、外国人が日本の公私の機関で技能等を修得することを認める在留資格です。

研修の在留資格で就労活動を行うことは認められません。また、原則として資格外活動許可を取得することもできません

一般企業などにおける研修の場合は、実務に従事せずに技能等を修得する活動のみが対象となります。

公的な機関における研修の場合は、実務に従事しながら技能等を修得する活動も対象となります。

一般企業などにおいて実務に従事しながら技能等を修得する活動の場合は、技能実習の在留資格の対象となります。

教育機関において教育を受けることで技能等を修得する活動の場合は、留学の在留資格の対象となります。

研修の在留資格をもつ外国人は、2022年(令和4年)の時点で約500人います。

非実務研修の範囲

実務に当たらない研修の範囲について、出入国在留管理庁「パッケージ型インフラの海外展開に係る在留資格『研修』における『非実務研修』の範囲の明確化について」が公表されています。このガイドラインによると、一般の職員と同様に生産ラインに参加し、製品を生産することを通じて技能、技術または知識を修得する場合は、実務に当たるとされます。これに対して、日本語教育や労働安全衛生に係る講習等座学による研修を受ける場合、製品を実際には製造せず、生産ラインで見学すること等を通じて技術等を修得する場合は、実務に当たらないとされ、そのような例として、試作品の製造(生産施設とは別の施設を使用した製造、通常の生産区域とは明確に区別された模擬ライン等を使用した製造、時間を区分して試作品製造のために使用することが第三者にも明確に分かる状態で行われる製造)、模擬訓練見学マンツーマン指導があげられています。

研修の在留期間

研修の在留期間は、1年、6か月、3か月のいずれかとなります。

外国において医師看護師または診療放射線技師に相当する資格をもつ外国人で、診療用粒子線照射装置に関する知識・技能を修得しようとする者、医療で用いる放射線に関する物理工学の専門的知識をもつ外国人で、診療用粒子線照射装置臨床修練外国医師等と共に診療用粒子線照射装置に関する知識・技能を修得しようとする者のうち、国籍または住所を有する国において所属する機関の業務の一環として派遣される者の場合は、2年、1年、6か月、3か月のいずれかとなります。

他の在留資格への変更

研修の在留資格から他の在留資格への変更は原則として認められません。研修で在留している外国人が他の在留資格を取得する場合は、一度帰国して新たに他の在留資格を取得する必要があります。ただし、外国人が日本で結婚した場合は、例外的に日本人の配偶者等家族滞在などの在留資格に変更することを認められる場合があります。

申請の手続

研修の在留資格を取得する場合は、在留資格認定証明書交付申請の手続が必要となります。

在留資格認定証明書交付申請

在留資格認定証明書交付申請は、申請人、法定代理人、外国人を受け入れようとする機関の職員その他法務省令で定める代理人(代理人)、申請等取次者(弁護士または行政書士を含む)が、出入国在留管理局に申請書、申請内容に応じて異なる必要書類を提出して行います。法定代理人または申請等取次者が申請を行う場合は、申請人または代理人が日本に滞在している必要があります。標準処理期間は、1か月~3か月とされています。

申請提出者

法定代理人

申請人が成年被後見人の場合は、成年後見人が法定代理人として申請を提出できます。

代理人

研修の在留資格では、受入れ機関の職員が代理人として申請を提出できます。

申請等取次者

地方出入国在留管理局長から申請等取次者としての承認を受けた雇用機関、教育機関、監理団体、公益法人の職員は、申請人からの依頼を受けた場合に申請等取次者として申請を提出できます(在留資格認定証明書交付申請の場合は公益法人の職員のみ)。

弁護士または行政書士

地方出入国在留管理局長に届出をした弁護士または行政書士は、申請人からの依頼を受けた場合に申請を提出できます。

申請手続の流れ

申請は次のような流れで行います。在留資格認定証明書交付申請は、一般的には国外にいる外国人に代わり日本国内にいる代理人が行います。

申請人が自ら手続を行う場合

1 申請人は、出入国在留管理局(外国人在留総合インフォメーションセンター)に在留申請の相談をします。出入国在留管理局の担当者は、申請人の在留資格や在留状況を確認したうえで、申請の要件を満たす可能性があると判断した場合は、申請に必要な書類について説明します。

2 申請人は、申請書とその他の申請に必要な書類を作成・収集します。出入国在留管理局で説明される書類は、申請に最低限必要となる書類なので、審査を有利にするためには、その他にも様々な書類を作成・収集する必要があります。このとき、書類に誤った内容を記載しないこと、すべての書類で内容に整合性があること、審査を不利にする内容を記載していないこと、収集した書類の有効期間に余裕があることなどに注意する必要があります。

3 申請人は、作成・収集した書類を出入国在留管理局に提出するか、在留申請オンラインシステムを利用して申請します。

4 出入国在留管理局は、提出された書類をもとに審査を行い、必要に応じて追加の書類の提出を求める場合があります。

5 出入国在留管理局は、申請人に審査結果の通知を行います。申請が許可された場合、申請人は出入国在留管理局で在留資格認定証明書を受け取ることができます。在留申請オンラインシステムを利用して申請した場合は、申請人は電子メールで在留資格認定証明書を受け取ることができます(出入国在留管理庁「在留資格認定証明書の電子化について」)。日本にいる代理人が申請人の代わりに在留資格認定証明書の交付を受けた場合は、申請人に証明書を送付または電子メールを転送します。

6 申請が不許可となった場合、申請人は出入国在留管理局で不許可となった理由の説明日本語で1回のみ受けられます。不許可となった理由は、再び申請をするときに改める必要があるため、申請に用いた書類の控えを残しておき、どのような理由で不許可となったのか調査できるようにしておく必要があります。不許可の理由の説明は、不許可の判断に対する不服申立の手続ではないため、申請人が不服を主張しても不許可の判断が覆ることはありません。

専門家に手続を依頼する場合

1 申請人は、専門家に在留申請の相談をします。専門家は、申請人の在留資格や在留状況を確認したうえで、申請の要件を満たす可能性があると判断した場合は、申請人の依頼を受けます。専門家によっては、在留申請の知識が不十分な場合もあるため、相談・依頼をするときは外国人の在留手続に詳しい専門家を利用することが重要です。

2 専門家は、必要な書類を作成・収集します。必要な書類については専門家の判断で作成・収集します。

3 専門家は、作成・収集した書類を出入国在留管理局に提出するか、在留申請オンラインシステムを利用して申請します。

4 出入国在留管理局は、提出された書類をもとに審査を行い、必要に応じて追加の書類の提出を求める場合があります。追加の書類の提出は、専門家が取り次いで行います。

5 出入国在留管理局は、専門家に審査結果の通知を行います。申請が許可された場合、専門家は出入国在留管理局で在留資格認定証明書を受け取ることができます。在留申請オンラインシステムを利用して申請した場合は、専門家は電子メールで在留資格認定証明書を受け取ることができます(出入国在留管理庁「在留資格認定証明書の電子化について」)。専門家は、申請人に証明書を送付または電子メールを転送します。

6 申請が不許可となった場合、専門家は出入国在留管理局で不許可となった理由の説明を受け、申請人に伝えます。再び申請をするときは、申請人は専門家に不許可となった理由を調査して対策をとってもらうことで、許可される可能性が高くなります。

在留資格認定証明書交付申請

上陸許可基準

研修の在留資格認定証明書を取得して上陸する場合、次の要件を満たす必要があります。

1 修得しようとする技能等が同一の作業の反復のみによって修得できるものではないこと


2 18歳以上であり、かつ、国籍または住所を有する国に帰国後日本において修得した技能等を要する業務に従事することが予定されていること


3 申請人が住所を有する地域において修得することが不可能または困難である技能等を修得しようとすること


4 受けようとする研修が研修生を受け入れる日本の公私の機関(受入れ機関)の常勤の職員で修得しようとする技能等について5年以上の経験を有する者の指導の下に行われること


5 日本において受けようとする研修の中に実務研修が含まれている場合は、次のいずれかに当たること

実務研修とは、商品の生産もしくは販売をする業務、または対価を得て役務の提供を行う業務に従事することにより技能等を修得する研修をいいます。

商品の生産をする業務は、生産機器の操作に係る実習を含みます。

生産機器の操作に係る実習は、商品を生産する場所とあらかじめ区分された場所、または商品を生産する時間とあらかじめ区分された時間において行われるもの(研修専用の生産機器を用いた実習)を除きます。

⑴ 国、地方公共団体、独立行政法人が自ら実施する研修を受ける場合

⑵ 独立行政法人国際観光振興機構の事業として行われる研修を受ける場合

⑶ 独立行政法人国際協力機構の事業として行われる研修を受ける場合

⑷ 独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構技術センターの事業として行われる研修を受ける場合

⑸ 国際機関の事業として行われる研修を受ける場合

⑹ ⑴~⑷の他、国、地方公共団体、独立行政法人、特殊法人、認可法人、一般の法人などの資金により主として運営される事業として行われる研修を受ける場合で、受入れ機関が次のいずれにも当たるとき

① 研修生用の宿泊施設を確保していること

申請人が受けようとする研修の実施についてあっせんを行う機関(あっせん機関)が宿泊施設を確保していることを含みます。

② 研修生用の研修施設を確保していること

③ 生活の指導を担当する職員を置いていること

④ 申請人が研修中に死亡し、負傷し、または疾病に罹患した場合における保険への加入その他の保障措置を講じていること

保険は、労働者災害補償保険を除きます。

あっせん機関が保障措置を講じていることを含みます。

⑤ 研修施設について労働安全衛生法の規定する安全衛生上必要な措置に準じた措置を講じていること

⑺ 外国の国、地方公共団体、これらに準ずる機関の常勤の職員である場合で受入れ機関が⑹①~⑤のいずれにも当たるとき

⑻ 外国の国、地方公共団体の指名に基づき、国の援助および指導を受けて行う研修を受ける場合で次のいずれにも当たるとき

① 申請人が外国の住所を有する地域において技能等を広く普及する業務に従事していること

② 受入れ機関が⑹①~⑤のいずれにも当たること


6 受入れ機関またはあっせん機関が研修生の帰国旅費の確保その他の帰国担保措置を講じていること


7 受入れ機関が研修の実施状況に係る文書を作成し、研修を実施する事業所に備え付け、研修の終了の日から1年以上保存することとされていること


8 日本において受けようとする研修の中に実務研修が含まれている場合は、実務研修を受ける時間が、日本において研修を受ける時間全体の3分の2以下であること

実務研修を受ける時間は、2つ以上の受入れ機関が申請人に対して実務研修を実施する場合は、これらの機関が実施する実務研修を受ける時間を合計した時間を指します。

次のいずれかに当たり、かつ、実務研修の時間が日本において研修を受ける時間全体の4分の3以下であるとき、または次のいずれにも当たり、かつ、実務研修の時間が日本において研修を受ける時間全体の5分の4以下であるときは、8の要件を満たす必要はありません。

⑴ 日本において実務研修を4か月以上行うことが予定されている場合

⑵ 過去6か月以内に外国の公的機関または教育機関が研修に資する目的で日本外において実施した研修と直接に関係のある研修で、1か月以上の期間を有し、かつ、160時間以上の課程を有するものを受けた場合

研修は、実務研修を除きます。また、受入れ機関においてその内容が日本における研修と同等以上であることを確認したものに限ります。

申請に必要となる書類

申請には、在留資格認定証明書交付申請書が必要となります。その他にも申請内容に応じて異なる書類が必要となります。

結核スクリーニング

3か月を超える滞在予定期間で在留資格認定証明書交付申請をする場合、フィリピン、ベトナム、中国、インドネシア、ネパール、ミャンマー国籍の外国人は、日本政府が指定した医療機関が発行する結核非発病証明書を提出する必要があります(厚生労働省「入国前結核スクリーニングの実施について」)。

まとめ

外国人が研修の在留資格を取得するには、一定の要件を満たしたうえで、在留資格認定証明書交付申請を行う必要があります。在留申請で提出する書類の作成・収集には、専門的な知識が必要となりますし、申請手続やその準備には多くの時間がかかります。また、不許可となった場合は、その理由を適切に調査できないと、何度申請しても許可されないおそれがあります。そのため、在留申請を行うときは、専門家の支援を受けることが大切です。当事務所では、外国人の在留申請を代行するお手伝いをしていますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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