特定技能の在留資格で外国人を受け入れるにはどうすればよいのでしょうか、外国人を受け入れる機関や支援する機関が注意すべき点について解説します。

特定技能とは

特定技能とは、日本において人材確保が困難となっている特定の産業分野において、日本の公私の機関との雇用契約に基づいて知識や技能を有する外国人が業務に従事することを認める在留資格です。

特定技能の在留資格は、介護、ビルクリーニング、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業の12種類の産業分野(特定産業分野)で認められています。

特定技能の在留資格をもつ外国人は、2022年(令和4年)の時点で約13万1千人います。国籍別では、ベトナムが約7万7千人、インドネシアが約1万6千人、フィリピンが約1万3千人などとなっています。

特定技能の活動制限

特定技能(1号)

特定技能(1号)では、日本の公私の機関との雇用に関する契約に基づいて行う特定産業分野であって、相当程度の知識または経験を必要とする技能を要する業務に従事する活動を行うことが認められます。

特定技能(2号)

特定技能(2号)では、日本の公私の機関との雇用に関する契約に基づいて行う特定産業分野であって、熟練した技能を要する業務に従事する活動を行うことが認められます。特定技能(2号)の在留資格は、特定技能(1号)から在留資格の変更を申請する必要があります。特定技能(2号)の在留資格は、介護以外の産業分野で取得できます。介護の産業分野については、介護の在留資格があるため追加の対象とはなっていません(出入国在留管理庁「特定技能2号の対象分野の追加について(令和5年6月9日閣議決定)」)。

特定技能の在留期間

特定技能の在留期間は、特定技能(1号)の場合は、1年を超えない範囲内の期間、特定技能(2号)の場合は、3年、1年、6か月のいずれかとなります。

特定技能(1号)では、在留期間を更新することで通算5年特定技能(2号)では、在留期間を更新することで上限なく在留が認められます。

外国人の受け入れに関わる機関

特定技能の在留資格で外国人を受け入れる方法として、外国人を就労させる受入機関(特定技能所属機関)が外国人に対してすべての支援を行う方法と、外国人に対する支援の一部またはすべてを外部の支援機関(登録支援機関)に委託する方法があります。特定技能所属機関がすべての支援を行う場合は、特定技能所属機関に外国人を支援する体制があり、かつ支援を適切に実施することが必要となります。これに対して登録支援機関に支援を委託する場合は、それらの一部またはすべてを登録支援機関に任せることができます。

特定技能所属機関

特定技能所属機関は、外国人と雇用契約(特定技能雇用契約)を結び就労させるとともに、外国人に対する在留申請、就労、生活に必要な支援を行います。

特定技能雇用契約の締結

特定技能雇用契約は、出入国管理及び難民認定法、および法務省令「特定技能雇用契約及び1号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令(令和2年改正)」の要件を満たす必要があるほか、特定産業分野別に定められた、次の告示の要件を満たす必要があります。

1 介護「厚生労働省告示(平成31年3月制定)

2 ビルクリーニング「厚生労働省告示(令和5年8月改正)

3 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業「経済産業省告示(令和6年4月改正)

4 建設「国土交通省告示(令和5年8月改正)

5 造船・舶用工業「国土交通省告示(令和5年8月改正)

6 自動車整備「国土交通省告示(令和5年8月改正)

7 航空「国土交通省告示(令和5年8月改正)

8 宿泊「国土交通省告示(令和5年8月改正)

9 農業「農林水産省告示(平成31年3月制定)

10 漁業「農林水産省告示(平成31年3月制定)

11 飲食料品製造業「農林水産省告示(令和6年4月改正)

12 外食業「農林水産省告示(令和5年8月改正)

特定技能所属機関の要件

特定技能所属機関は、特定技能雇用契約を適正に履行でき、かつ1号特定技能外国人支援計画を適正に実施できることが確保されている必要があります。特定技能雇用契約を適正に履行できるというためには、以下の基準に適合する必要があります。

1 労働、社会保険、租税に関する法令の規定を遵守していること。

2 特定技能雇用契約の締結の日前1年以内またはその締結の日以後に、次の者を除いて、同種の業務に従事していた労働者を離職させていないこと。

⑴ 定年その他これに準ずる理由により退職した者

⑵ 自己の責めに帰すべき重大な理由により解雇された者

⑶ 期間の定めのある労働契約(有期労働契約)の期間満了時に契約を更新しないことにより契約を終了された者

契約の終了は、労働者が契約更新の申込みをした場合または契約の期間満了後遅滞なく契約締結の申込みをした場合で、特定技能所属機関が労働者の責めに帰すべき重大な理由その他正当な理由により申込みを拒絶することにより契約を終了させる場合に限ります。

⑷ 自発的に離職した者

3 特定技能雇用契約の締結の日前1年以内またはその締結の日以後に、特定技能所属機関の責めに帰すべき事由により外国人の行方不明者を発生させていないこと。

4 次のいずれにも当たらないこと

⑴ 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない

⑵ 労働に関する法令に違反して罰金刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない

⑶ 暴力団に関する法令または刑法等に違反して罰金刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない

⑷ 社会保険または労働保険に関する法令に違反して罰金刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない

⑸ 精神の機能の障害により特定技能雇用契約の履行を適正に行うに当たっての必要な認知、判断、意思疎通を適切に行うことができない者

⑹ 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない

⑺ 技能実習の実習認定を取り消され、取消の日から起算して5年を経過しない

⑻ 法人が実習認定を取り消された場合、取消処分を受ける原因となった事項が発生した当時現に法人の役員であった者で、取消の日から起算して5年を経過しない

⑼ 特定技能雇用契約の締結の日前5年以内またはその締結の日以後に、次に当たる行為その他の、出入国または労働に関する法令に関して不正または著しく不当な行為をした者

① 外国人に対して暴行し、脅迫し、監禁する行為

② 外国人の旅券または在留カード取り上げる行為

③ 外国人に支給する手当または報酬の一部または全部を支払わない行為

④ 外国人の外出その他私生活の自由不当に制限する行為

⑤ ①~④の他、外国人の人権を著しく侵害する行為

⑥ 出入国または労働に関する法令に関して行われた不正または著しく不当な行為に関する事実を隠蔽する目的、外国人を不法入国させる目的で偽造・変造された文書・図画または虚偽の文書・図画を行使・提供する行為

⑦ 特定技能雇用契約に基づく外国人の日本における活動に関連して、保証金を徴収し、財産を管理し、契約の不履行に係る違約金を定める契約その他不当に金銭その他の財産の移転を予定する契約を締結する行為

⑧ 外国人、外国人の配偶者、直系または同居の親族その他外国人と社会生活において密接な関係を有する者との間で⑦の行為をした者または行為をしようとする者からの紹介を受けて、外国人と特定技能雇用契約を締結する行為

不正な行為を行う事業者からの紹介を受けて雇用契約を締結することは認められません。

⑨ 中長期在留者の新規上陸後の住居地の届出をしない、または虚偽の届出をする行為

⑩ 報告・帳簿書類を命令に従って提出もしくは提示しない虚偽の報告・帳簿書類を提出もしくは提示する、質問に対して答弁をしないもしくは虚偽の答弁をする、検査を拒み、妨げ、忌避する行為

⑪ 改善命令に違反する行為

⑽ 暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない

⑾ 法定代理人が1~10または12のいずれかに当たる未成年者(営業に関し成年者と同一の行為能力を有する者は除く)

⑿ 役員のうちに1~11のいずれかに当たる者がいる法人

⒀ 暴力団員等がその事業活動を支配する者

登録支援機関

登録支援機関は、出入国管理庁の登録を受けて外国人に対して支援を実施することを認められた機関です。登録支援機関は、特定技能所属機関と委託契約を結び、外国人に対する在留申請、就労、生活に必要な支援の一部またはすべてを代わりに行います。

登録支援機関は、4半期に1回、支援の実施状況を出入国在留管理庁に届出する必要があります(出入国在留管理庁「登録支援機関による支援実施状況に係る届出」)。

登録支援機関は、登録申請時に外国人からの相談に対応できる言語を指定します。対応可能言語以外の言語の場合は、支援を実施できないため、特定技能所属機関が委託契約を結ぶ際は、受け入れようとしている外国人の理解できる言語が、登録支援機関の対応可能言語に含まれることを確認する必要があります。

登録支援機関の登録申請

登録支援機関として、外国人に対する支援を行うためには、登録支援機関の登録申請をする必要があります(出入国在留管理庁「登録支援機関の登録申請」)。登録支援機関の登録申請は、特定技能所属機関と委託契約を結ぶ前に行う必要があります。登録を受けるには、特定技能所属機関との委託契約に基づいて1号特定技能外国人支援計画の全部を実施できる必要があり、一部しか実施できない者は登録を受けられません

登録支援機関は、複数の特定技能所属機関と委託契約を結ぶことができます。ただし、すべての委託契約に基づく支援を確実に履行できる必要があります。登録支援機関は、委託を受けた業務を他の機関に再委託することは認められません。ただし、業務を行うにあたり履行補助者を使うことは認められます

登録申請は、登録支援機関登録申請書とその他の申請に必要な書類を出入国在留管理局に提出して行います。初回の登録申請は、支援業務の開始予定日から2か月前までに行う必要があります。

登録支援機関の登録更新申請

登録の有効期間は5年となり、支援を継続する場合は登録支援機関の登録更新申請をする必要があります(出入国在留管理庁「登録支援機関の登録更新申請」)。登録更新申請は、登録支援機関登録の更新申請書その他の必要な書類を出入国在留管理局に提出して行います。登録更新申請は、有効期間満了日の6か月前の初日から4か月前の月末までに行う必要があります。

登録支援機関の要件

登録を受けるには、次のいずれにも当たらないことが必要です。

1 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない

2 出入国または労働に関する法令に違反して罰金刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない

3 暴力団に関する法令または刑法等に違反して罰金刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない

4 社会保険または労働保険に関する法令に違反して罰金刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない

5 心身の故障により支援業務を適正に行うことができない者

6 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない

7 登録を取り消され、取消の日から起算して5年を経過しない

8 法人が登録を取り消された場合、取消処分を受ける原因となった事項が発生した当時現に法人の役員であった者で、取消の日から起算して5年を経過しない

9 出入国または労働に関する法令に関して不正または著しく不当な行為をして5年を経過しない

10 暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない

11 法定代理人が1~10または12のいずれかに当たる未成年者(営業に関し成年者と同一の行為能力を有する者は除く)

12 役員のうちに1~11のいずれかに当たる者がいる法人

13 暴力団員等がその事業活動を支配する者

14 次のいずれかに当たる、支援業務を的確に遂行するための必要な体制が整備されていない

⑴ 過去1年間に、その者の責めに帰すべき事由により外国人の行方不明者を発生させている

⑵ 役員または職員の中から、支援責任者および支援業務を行う事務所ごとに1名以上の支援担当者選任されていない

⑶ 次のいずれにも当たらない

① 過去2年間に原則として就労可能な活動資格で在留する中長期在留者の受入れまたは管理を適正に行った実績がある者

② 過去2年間に報酬を得る目的で業として日本に在留する外国人に関する各種の相談業務に従事した経験を有する者

③ 選任された支援責任者および支援担当者が、過去5年間に2年以上、原則として就労可能な活動資格で在留する中長期在留者の生活相談業務に従事した一定の経験を有する者

④ ①~③と同程度に支援業務を適正に実施することができる

⑷ 情報提供および相談対応に関し次のいずれかに当たる者

① 1号特定技能外国人支援計画に基づき情報提供すべき事項について、外国人が十分に理解できる言語により適切に情報提供する体制を有していない

② 特定技能外国人からの相談に係る対応について、担当の職員を確保し、外国人が十分に理解できる言語により適切に対応する体制を有していない

③ 支援責任者または支援担当者が、外国人およびその監督をする立場にある者と定期的な面談を実施できる体制を有していない

⑸ 支援業務の実施状況に係る文書作成し、支援業務を行う事務所に、特定技能雇用契約の終了の日から1年以上備えて置いていない

⑹ 支援責任者または支援担当者が次のいずれか(支援担当者は①のみ)に当たる者

① 1~11のいずれかに当たる者

② 特定技能所属機関の役員の配偶者、2親等内の親族その他特定技能所属機関の役員と社会生活において密接な関係を有する者であるにもかかわらず、特定技能所属機関から委託を受けた支援業務に係る支援責任者となろうとする者

③ 過去5年間特定技能所属機関の役員または職員であった者であるにもかかわらず、当該特定技能所属機関から委託を受けた支援業務に係る支援責任者となろうとする者

⑺ 1号特定技能外国人支援に要する費用について、直接または間接に外国人に負担させている

⑻ 委託契約を締結するに当たり、特定技能所属機関に対し、支援業務に要する費用の額およびその内訳を示していない

外国人の紹介・派遣事業

特定技能所属機関の場合

特定技能所属機関は、外国人と雇用関係にあるため、労働者派遣事業の許可を受けて外国人を他の機関(派遣先)に派遣することが認められます。ただし、特定技能所属機関からの外国人の派遣は、農業漁業の産業分野に限り認められ、それ以外の産業分野では認められません

登録支援機関の場合

登録支援機関は、外国人と直接の雇用関係にはないため、職業紹介事業の許可を受けて外国人を特定技能所属機関に紹介することは認められますが、労働者派遣事業の許可を受けて外国人を特定技能所属機関に派遣することは認められません(厚生労働省「特定技能外国人材の受入れに関する留意点」)。登録支援機関が特定技能所属機関から委託された外国人の支援を実施するだけであれば、職紹介事業の許可は必要ありませんが、本国にいる外国人を仲介して特定技能所属機関に対して紹介する場合は、職業紹介事業の許可が必要です。

派遣先の機関の要件

派遣先の機関は次の要件を満たす必要があります。

1 農業または漁業の産業分野に係る業務または関連する業務を行っていること

2 特定技能所属機関が資本金の過半数を出資していること

3 特定技能所属機関もしくはその役員・職員が役員であること、その他特定技能所属機関が業務執行に実質的に関与していると認められること

4 農業の場合は、国家戦略特区で農業支援外国人受入事業を実施している機関であること

外国人の受け入れの流れ

特定技能外国人の受け入れは次のような流れで行います。

1 1号特定技能外国人支援計画書の作成

2 事前ガイダンスの提供

3 健康診断の受診

4 在留資格認定証明書交付申請、在留資格変更許可申請

5 査証申請

6 上陸手続

7 入国後の外国人に対する支援

⑴ 入国する際の送迎

⑵ 住居の確保の支援

⑶ 生活に必要な契約の支援

⑷ 生活オリエンテーションの実施

⑸ 日本語学習の機会の提供

⑹ 相談または苦情への対応

⑺ 日本人との交流促進に係る支援

⑻ 非自発的離職時の転職支援

⑼ 定期的な面談の実施・行政機関への通報

1号特定技能外国人支援計画書の作成

特定技能所属機関は、外国人に対する支援の詳細な内容を記載した1号特定技能外国人支援計画書を作成します(出入国在留管理庁「在留資格『特定技能』に関する参考様式(新様式)」)。外国人が特定技能の在留資格を取得する際には、申請書と併せて1号特定技能外国人支援計画書を提出する必要があります。

事前ガイダンスの提供

特定技能所属機関・登録支援機関は、特定技能の在留資格認定証明書交付申請または在留資格変更許可申請を行うに、特定技能で受け入れる外国人に対して、重要な事項を説明するための事前ガイダンス実施する必要があります。事前ガイダンスは、対面、テレビ電話などの相手の表情が見える方法で、外国人が十分に理解できる言語を用いて行う必要があります。また、事前ガイダンスの内容を理解したことを確認するため、事前ガイダンスの確認書を作成する必要があります(出入国在留管理庁「在留資格『特定技能』に関する参考様式(新様式)」)。

事前ガイダンスでは次のような内容を説明する必要があります。

1 業務の内容、報酬の額、労働条件

2 日本で行うことができる活動の内容

3 入国の手続

4 保証金の徴収、契約の不履行についての違約金契約等の締結をしていないこと

5 入国の準備に関し外国の機関に支払った費用について、費用の額および内訳を十分に理解していること

6 支援に要する費用を外国人に負担させないこと

7 出入国する際の送迎を支援すること

8 住居の確保を支援すること

9 相談・苦情に対応すること

10 支援担当者の氏名および連絡先

これらの他、次のような内容を説明することが期待されます。

1 日本の気候や生活環境

2 外国人が持参した方が良い衣服、物品

3 特定技能所属機関が支給する衣服、物品

4 日本に持ち込めない物品

5 当面必要となる費用と金額

健康診断の受診

特定技能所属機関・登録支援機関は、在留申請から3か月以内に特定技能所属機関の負担で外国人に健康診断を受診させます。外国人が技能実習の在留資格で日本に在留している場合は、1年以内に健康診断を受診していれば、改めて受診させる必要はありません。健康診断個人票は、日本語および外国人の母国語の両方で作成する必要があります(出入国在留管理庁「在留資格『特定技能』に関する参考様式(新様式)」)。

在留資格認定証明書交付申請、在留資格変更許可申請

在留資格認定証明書交付申請・在留資格変更許可申請は、一般的には特定技能所属機関・登録支援機関の職員が代理人として行います。在留資格認定証明書交付申請の場合は、代理人は、出入国在留管理局から在留資格認定証明書を受け取り、外国人に送付し、併せて査証の申請に必要となる書類も送付します。在留資格変更許可申請の場合は、代理人は、出入国在留管理局から在留カードを受け取り、外国人に渡します。

査証申請

査証申請は、外国人が居住地または旅券発給国・地域を管轄する日本の大使館、総領事館などに、申請書、在留資格認定証明書などの書類を提出して行います。

上陸手続

外国人は、入国審査官に旅券、査証、在留資格認定証明書を提出して上陸申請を行います。入国審査官は、条件を満たすと判断した場合は、上陸を許可します。

入国後の外国人に対する支援

特定技能所属機関・登録支援機関は、外国人に対して次の支援を実施する必要があります

入国する際の送迎

特定技能所属機関・登録支援機関は、到着空港等で外国人を出迎え、特定技能所属機関または住居まで送迎します。外国人がすでに日本に在留している場合は、送迎を実施する必要はありません。

住居の確保の支援

特定技能所属機関・登録支援機関は、次のいずれかの方法で、外国人が適切な住居を確保できるように支援します。

1 不動産仲介事業者や賃貸物件の情報を外国人に対して提供し、必要に応じて手続に同行し、住居探しの補助を行う。賃貸借契約の締結時に適当な連帯保証人がいない場合は、連帯保証人となる、または利用可能な家賃債務保証業者を確保し自らが緊急連絡先となる

2 自ら賃借人となって賃貸借契約を締結した上で、外国人との合意の下で住居として提供する。

3 所有する社宅等を、外国人との合意の下で住居として提供する。

生活に必要な契約の支援

特定技能所属機関・登録支援機関は、外国人が生活に必要な契約を締結できるように次のような支援をします。

1 銀行その他の金融機関における預金口座または貯金口座の開設の手続の補助

2 携帯電話の利用に関する契約の手続の補助

3 電気・水道・ガス等のライフラインに関する手続の補助

生活オリエンテーションの実施

特定技能所属機関・登録支援機関は、外国人が日本において円滑に生活できるようにするため、日本の生活や法令についての一般的な事項を説明するための生活オリエンテーションを行います。生活オリエンテーションは、対面、テレビ電話、動画視聴などの方法で、外国人が十分に理解できる言語を用いて行う必要があり、外国人からの質問に答えられるようにしておく必要があります。また、生活オリエンテーションの内容を理解したことを確認するため、生活オリエンテーションの確認書を作成する必要があります(出入国在留管理庁「在留資格『特定技能』に関する参考様式(新様式)」)。

生活オリエンテーションでは次のような内容を説明する必要があります。

1 日本での生活一般に関する事項

2 法令上、外国人が履行しなければならない国・地方公共団体に対する届出その他の手続に関する事項、必要に応じて支援担当者が同行し手続を補助すること

3 相談・苦情の連絡先、申出をすべき国・地方公共団体の連絡先

4 外国人が十分に理解できる言語により医療を受けることができる医療機関に関する事項

5 防災・防犯に関する事項、急病その他の緊急時における対応に必要な事項

6 出入国または労働に関する法令違反を知ったときの対応方法その他外国人の法的保護に必要な事項

これらの他、日本や就労先の地域で生活するにあたり外国人が注意すべきことや、知っておくと良いことを説明することが期待されます。

日本語学習の機会の提供

特定技能所属機関・登録支援機関は、外国人が日本語を学習できるように次のような支援をします。

1 日本語教室日本語教育機関に関する入学案内の情報を提供し、必要に応じて同行して入学手続の補助を行う。

2 自主学習のための日本語学習教材やオンラインの日本語講座に関する情報を提供し、必要に応じて教材の入手や利用契約手続の補助を行う。

3 外国人との合意の下で日本語教師と契約して日本語の講習の機会を提供する。

これらの他、日本語を学べる身近な場を設ける、資格試験の受験料を負担するなど日本語資格の取得をしやすい仕組みを設けるといった支援が期待されます。

相談または苦情への対応

特定技能所属機関・登録支援機関は、外国人の就労や生活に関わる相談または苦情に対応するため次のような支援をします。相談または苦情には、面談、電話、メールなどの方法で対応できるようにしておく必要があります。

1 外国人が十分に理解できる言語により適切かつ遅滞なく対応し、必要な助言および指導を行う。

2 必要に応じて、相談内容に対応する関係行政機関を案内し、支援担当者が同行するなどの必要な手続の補助を行う。

これらの他、相談または苦情対応の窓口を分かりやすく案内する、相談または苦情を申し出た外国人のプライバシーに配慮した仕組みを設けるといった支援が期待されます。

日本人との交流促進に係る支援

特定技能所属機関・登録支援機関は、外国人と日本人の交流を促進するために次のような支援をします。

1 必要に応じ、地方公共団体やボランティア団体等が主催する地域住民との交流の場に関する情報の提供や地域の自治会等の案内を行い、各行事等への参加手続の補助を行うほか、必要に応じて支援担当者が同行して各行事の注意事項や実施方法を説明するなどの補助を行う。

2 日本の文化を理解するために必要な情報として、就労または生活する地域の行事に関する案内を行うほか、必要に応じて支援担当者が同行して現地で説明するなどの補助を行う。

これらの他、外国人と日本人の交流の場を設ける、勤務時間を調整するなど各行事等への参加をしやすい仕組みを設けるといった支援が期待されます。

非自発的離職時の転職支援

特定技能所属機関・登録支援機関は、外国人が離職した場合に、転職できるよう次のような支援をします。

1 所属する業界団体や関連企業等を通じて次の受入れ先に関する情報を入手し提供する。

2 公共職業安定所、その他の職業安定機関等を案内し、必要に応じて支援担当者が同行して次の受入れ先を探す補助を行う。

3 外国人の希望条件、技能水準、日本語能力等を踏まえ、適切に職業相談・職業紹介が受けられるよう、または円滑に就職活動が行えるよう推薦状を作成する。

4 職業紹介事業の許可または届出を受けて職業紹介を行うことができる場合は、就職先の紹介あっせんを行う。

5 外国人が求職活動をするために必要な有給休暇を付与する。

6 離職時に必要な行政手続について情報を提供する。

7 倒産等により、転職のための支援が適切に実施できなくなることが見込まれるときは、それに備え、特定技能所属機関・登録支援機関の代わりに支援を行う者を確保する。

定期的な面談の実施・行政機関への通報

特定技能所属機関・登録支援機関は、外国人の就労や生活の状況を定期的に確認して、法令違反があれば行政機関に通報する必要があります。

1 外国人の労働状況や生活状況を確認するため、外国人および監督する立場にある者それぞれと3か月に1回以上の面談を実施する。

2 再確認のため、生活オリエンテーションで提供した情報を改めて提供する

3 労働基準法その他の労働に関する法令違反を知ったときは、労働基準監督署その他の関係行政機関へ通報する。

4 資格外活動等の入管法違反または旅券・在留カードの取上げ等その他の問題の発生を知ったときは、地方出入国在留管理局に通報する。

まとめ

外国人を特定技能の在留資格で受け入れる場合、外国人を受け入れようとする機関(特定技能所属機関)は、一定の要件を満たしたうえで、外国人と特定技能雇用契約を結ぶ必要があります。また、1号特定技能外国人支援計画書を作成し、これに従って外国人に対して在留申請、就労、生活に必要な支援を実施する必要があります。特定技能所属機関は登録支援機関と委託契約を結び、外国人の支援の一部またはすべてを委託できます。登録支援機関となるには、一定の要件を満たしたうえで、登録申請をする必要があります。外国人を特定技能の在留資格で受け入れる場合は、様々な書類の作成が必要となるため、専門家の支援を受けることが大切です。当事務所では、外国人を受け入れるお手伝いをしていますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

この記事が気に入ったら フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう