高度専門職の在留資格をもつ外国人が、永住者の在留資格に変更するにはどうすればよいのでしょうか。高度専門職の場合に認められる永住許可の要件の緩和について解説します。

永住者とは

永住者とは、外国人が外国籍のまま永続的に日本に在留し続けることができる在留資格です。外国人が永住者の在留資格を取得するには、永住許可申請を行う必要があります。永住許可が認められるためには、次の要件を満たす必要があります(出入国管理及び難民認定法第22条2項)。これらの要件について明確な判断基準はありませんが、判断の参考として、出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン(令和5年4月改定)」が公表されています。

1 素行が善良であること

2 独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること

3 その者の永住が日本国の利益に合すると認められること

高度専門職から永住者への変更のメリット

高度専門職から永住者に変更することで、①在留期間が無制限となり、②原則として在留活動の制限がなくなり、③社会的な信用が高まります。

高度専門職から永住者への変更のデメリット

高度専門職から永住者に変更することで、①子の養育、妊娠中の外国人または配偶者に対する介助、家事、その他必要な支援を行うための親の帯同、および②家事使用人の帯同が認められなくなります。また、在留申請の優先処理などの優遇措置の適用も受けられなくなります。

在留の継続の要件

ガイドラインでは、永住許可の要件3について、原則として在留が10年以上継続していること、この期間のうち、就労資格または居住資格に基づく在留が5年以上継続していることが必要とされます。なお、就労資格または居住資格には次の在留資格が含まれ、技能実習および特定技能1号は含まれません。

就労資格

外交、公用、教授、芸術、宗教、報道、高度専門職、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、興行、技能、特定技能2号、特定活動

居住資格

永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者

在留の継続の要件の緩和

高度専門職の在留資格をもつ外国人、または高度専門職の要件の一部を満たしていた外国人については、在留の継続の要件が緩和されます。これにより永住者の在留資格を取得しやすくなります。

高度人材

高度人材ポイントが70ポイント以上の者

高度人材ポイント制度で70ポイント以上を有するなど一定の要件を満たして高度専門職の在留資格を取得した者(高度人材)は、在留が3年以上継続していることで要件を満たします。

また、高度専門職以外の在留資格をもつ者であっても、高度専門職の要件のうち「高度人材ポイントが70ポイント以上」という要件を永住許可申請日から3年前の時点で満たしていた者は、同様に在留の継続の要件が緩和されます。

高度人材ポイントが80ポイント以上の者

高度人材ポイント制度で80ポイント以上を有するなど一定の要件を満たして高度専門職の在留資格を取得した者(高度人材)は、在留が1年以上継続していることで要件を満たします。

また、高度専門職以外の在留資格をもつ者であっても、高度専門職の要件のうち「高度人材ポイントが80ポイント以上」という要件を永住許可申請日から1年前の時点で満たしていた者は、同様に在留の継続の要件が緩和されます。

特別高度人材

特別高度人材制度の要件を満たして高度専門職の在留資格を取得した者(特別高度人材)は、在留が1年以上継続していることで要件を満たします。

また、高度専門職以外の在留資格をもつ者であっても、特別高度人材制度の要件を永住許可申請日から1年前の時点で満たしていた者は、同様に在留の継続の要件が緩和されます。

特別高度人材の要件

特別高度人材として認められるには、次の要件を満たす必要があります。なお、年収は外国における年収ではなく、日本で従事しようとする業務の見込み年収を指します。

高度専門職1号イ(高度学術研究活動)、ロ(高度専門・技術活動)

修士号以上を取得し、かつ年収が2000万円以上である、または従事しようとする業務に係る実務経験が10年以上あり、かつ年収が2000万円以上である。

高度専門職1号ハ(高度経営・管理活動)

事業の経営または管理に係る実務経験が5年以上あり、かつ年収が4000万円以上である。

まとめ

永住許可が認められるためには、10年以上継続して日本に在留しているなどの要件を満たす必要があります。ただし、高度専門職の在留資格をもつ者や高度専門職の要件の一部を満たしていた者については、ガイドラインで在留の継続の要件が緩和され、通常よりも短い期間の在留で永住許可が認められます。在留申請で提出する書類の作成・収集には、専門的な知識が必要となりますし、申請手続やその準備には多くの時間がかかります。また、不許可となった場合は、その理由を適切に調査できないと、何度申請しても許可されないおそれがあります。在留申請を行うときは、専門家の支援を受けることが大切です。当事務所では、外国人の在留申請を代行するお手伝いをしていますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。