帰化許可申請を行っていた外国人が帰化を許可された場合、どのような手続を行う必要があるのでしょうか。
帰化が許可された後の手続
外国人の帰化が許可されると、官報に申請人の氏名と住所が掲載され、帰化が許可されたことが告示されます(帰化の告示)。申請人に対する連絡は、帰化の告示から1~2週間程度で法務局から行われ、併せて「通知書」が送付されます。帰化を許可された人は、法務局で「帰化者の身分証明書」を受け取ることができます。
帰化を許可された人は、このような法務局で行う手続の後、いくつかの手続をすぐに行う必要があります。また、日本人として戸籍に登録され、氏名が変更されることにともない、名義を変更する手続なども必要となります。
帰化した後すぐに行う必要のある手続
帰化届の提出
帰化が許可されると、日本人として戸籍が作成されます。そのため戸籍を作成する市区町村に帰化したことを知らせなければいけません。
帰化を許可された人は、帰化の告示があった日から1か月以内に、住所地または帰化申請時に定めた本籍地の市区町村の窓口に、「帰化者の身分証明書」と「帰化届」を提出する必要があります。この届出を怠ると、罰金を科されるおそれがあります。帰化届の提出から1~2週間程度で新しい戸籍が作成され、戸籍謄本や住民票を取得できるようになります。
在留カード・特別永住者証明書の返納
在留カードや特別永住者証明書は、外国人としての在留資格や法的な地位を証明するためのものであり、帰化により日本国籍を取得すると、これらを返納しなければいけません。
帰化を許可された人は、帰化の告示があった日から2週間以内に、出入国在留管理局に在留カード・特別永住者証明書を持参するか、郵送して返納する必要があります(出入国在留管理庁「在留カード・特別永住者証明書の返納について」)。これらの返納を怠ると、罰金または過料を科されるおそれがあります。
帰化したときに行う必要のある手続
国籍離脱の手続
帰化した外国人の母国によっては、二重国籍を認めており、日本国籍を取得しても当然には母国の国籍を喪失しない場合があります。日本は原則として二重国籍を認めていないことから、このような場合は母国の国籍を離脱する手続を行う必要があります。国籍離脱の手続は、帰化手続の中で法務局からの指示を受けて行うことが一般的ですが、国によっては帰化が許可された後でなければ国籍離脱の手続をできない場合があります。国籍離脱の手続では、日本のパスポートが必要になることもあるため、事前に日本のパスポートを申請しておくと良いでしょう。
母国のパスポートの返納
母国のパスポートを引き続き使用することはできません。パスポートは、母国の大使館または領事館に返納する必要があります。
帰化したときに行った方が良い手続
マイナンバーカードの申請・変更
マイナンバーカードは、旅券(パスポート)の申請をしたり、名義を変更したりするときに身分証明書として使用することができます。外国人が帰化すると、日本のパスポートの申請や名義の変更手続を行うことになるため、市区町村の窓口でマイナンバーカードの交付を申請しておくと良いでしょう。
マイナンバーカードは、住民登録をしている外国人でも作成できます。帰化する前にマイナンバーカードの交付を受けていた場合は、カードの記載内容を変更しなければいけません。
日本のパスポートの申請
帰化した後に海外を訪れる可能性がある場合や手続でパスポートが必要になる場合は、都道府県の窓口で日本のパスポートを申請しておくと良いでしょう。
不動産・法人の変更登記
土地・建物をもっている場合は、不動産の変更登記をする必要があります。また、会社の役員などである場合は、法人の変更登記をする必要があります。
名義・本籍地の変更
年金、社会保険、各種許認可・免許、契約関係(銀行口座、クレジットカード、賃貸借、電気、水道、ガス、電話、インターネットなど)で登録されている名義・本籍地を変更する必要があります。
運転免許証の記載事項の変更
車を運転する場合は、警察署か免許センターで運転免許証に記載されている氏名や本籍地を変更する必要があります。帰化する前に国際運転免許証で車を運転していた場合は、新たに日本の運転免許証を取得しなければいけません。
家族の在留資格の変更
家族が日本に在留していて、帰化する予定がない場合は、日本人の配偶者等などの在留資格に変更しなければいけません。
まとめ
外国人の帰化が認められた後も、様々な手続を行う必要があります。特に「帰化届」の提出と「在留カード・特別永住者証明書」の返納は期限が短いため、帰化の告示があってからすぐに行う必要があります。それ以外にも母国の国籍の離脱、マイナンバーカードやパスポートの申請、名義・本籍地の変更などの様々な手続を行います。そのため、帰化した後にどのような手続が必要となるのか、あらかじめ整理しておくことが大切です。当事務所では、外国人の帰化許可申請のお手伝いをしていますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。