帰化許可申請では、必要な書類を提出した後に面接を受ける必要があります。面接はどのように行われ、どのようなことを質問されるのでしょうか。

帰化許可申請と面接

帰化許可申請では、必要な書類を法務局に提出して申請してから、通常2~3か月後に面接が行われます。面接を実施することが決まると、申請者に対して法務局から面接の連絡が行われます。連絡は、法務局の業務時間である平日の日中に行われるため、申請後は法務局からの連絡を受けられるように用意しておく必要があります。申請者は、面接日として都合の良い日時を希望することができますが、面接は平日に行われるため、仕事をしている場合は休みをとる、学校に通っている場合は夏休みを利用するなどの調整が必要になります。面接の日程を遅らせると、帰化の審査も遅れることになるため、できる限り早い時期に面接を受けることが大切です。

面接で質問されること

面接では、申請書類や法務局が収集した資料を基に、書類だけでは確認が不十分であり、申請者に直接確認する必要があると考えられることについて質問されます。面接には、通常1~2時間かかります。申請者に確認することが少ないときは、より短い時間で終わりますが、確認することが多いときや申請者が的確な回答をしないときは、より長い時間がかかります。また、日本語テストが行われるときは、15~30分程度の時間がかかります。面接で具体的に質問される内容については公表されていませんが、よくされる質問があります。

帰化許可申請についての質問

帰化許可申請に関して、次のような質問が行われます。

1 帰化を希望する理由

2 申請書類の収集・作成の状況

在留状況についての質問

国籍法第5条第1項の「5年以上継続して日本に住所を有すること」に関して、次のような質問が行われます。これらの質問により、申請者の在留の状況や今後も日本で暮らす意思があることを確認されます。

1 日本に来ることになった経緯や動機

2 日本に来てから現在に至るまでの在留の状況

3 在留中の生活、結婚、仕事、学業などの状況

4 旅行や留学などで出入国した時期や期間

5 帰化が許可された後に外国で暮らす予定

素行についての質問

国籍法第5条第3項の「素行が善良であること」に関して、次のような質問が行われます。これらの質問により、申請者が日本の法令を遵守して生活できることを確認されます。

1 税金や年金の納付状況

2 犯罪歴がある場合は、その内容や経緯

3 交通違反歴がある場合は、その内容や経緯

4 不法滞在歴や不法就労歴がある場合は、その内容や経緯

5 訴訟歴がある場合は、その経緯や解決状況

生計についての質問

国籍法第5条第4項の「自己または生計を同じくする配偶者その他の親族の資産または技能によって生計を営むことができること」に関して、次のような質問が行われます。これらの質問により、申請者が日本で生計を維持できることを確認されます。

1 住居や家賃、家計、資産などの現在の生活の状況と今後の見通し

2 仕事や事業の内容、収入、職歴などの現在の仕事の状況と今後の見通し

3 配偶者、子、父母、兄弟姉妹などの家族の状況と、申請者の帰化への反応や自身の帰化の希望状況

4 結婚・婚約している場合は、配偶者・婚約者と出会った経緯や将来の予定、生活や仕事の状況

5 離婚・再婚している場合は、離婚・再婚した経緯

6 外国に親族がいる場合は、交流の状況

7 家族以外の同居者がいる場合は、住居や家賃などの生活の状況

8 申請者の心身の健康状態

日本語テスト

帰化が許可されるためには、申請者が一定の日本語能力を備えていることが必要です。日本語能力は、①帰化の相談や申請の際の担当者とのやり取り、②帰化の動機書の内容、③宣誓書の読み上げ、④面接の際のやり取りなどで評価されます。申請者の日本語能力を確認する必要があると判断された場合は、相談や面接の際に日本語テストが行われます。日本語テストでは、次のような能力があることを確認されます。一般的には小学校3~4年生程度、日本語能力試験(JLPT)でN3程度の能力が必要といわれています。

1 日本語の文書を読み書きできる

2 日本語で意思疎通できる

3 ひらがなとカタカナを使い分けられる

4 日常生活で使われる漢字を読み書きできる

面接で注意すること

面接では、事実、申請書類の内容、質問に対する回答の間に矛盾がないか確認されます。申請書類の内容や回答に矛盾やあいまいな部分があると、確認のために質問の数が多くなり、面接官に悪い印象を持たれることになります。そのため、申請書類に事実と異なることを記載しないこと、申請書類に記載した通りに回答することが大切です。

法務局の担当者は、申請者についての詳細な資料を揃えて面接を行います。申請者が不都合な事実を隠す、偽るなどしても担当者には分かるため、審査において厳しい評価を受けることになります。また、申請者が面接で回答した内容は保存されるため、帰化が不許可となり再度申請する際には審査の難易度が高くなります。そのため、申請者は犯罪や交通違反などの聞かれたくない事実についても、ありのままに回答する必要があります。

まとめ

帰化許可申請では、申請者の状況を詳しく確認するために面接が行われます。面接では、申請書類の内容を中心に申請者の生活や仕事などについて質問されるため、申請書類の作成段階から専門家の支援を受けることが大切です。また、面接では不都合な事実を隠したり偽ったりせず、ありのままに回答することが重要です。当事務所では、外国人の帰化許可申請のお手伝いをしていますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。