外国人が日本で事業を興すために会社を設立しようとするときは、経営・管理に関する在留資格を取得しなければなりません。ここでは、経営管理ビザの要件と申請の流れについて説明していきます。
経営管理ビザの申請要件
外国人が日本で事業を興すためには、会社を設立しなければなりません。在留資格としても「経営管理ビザ」を取得し正当な活動として事業を行う必要があります。具体的には、外国人が以下のような地位についたり活動を行ったりする場合に経営管理ビザが必要になります。
- 日本で会社を設立して自らが経営者になる場合
- 既存の日本企業の代表になる場合
- 日本企業の管理職につく場合
- 日本企業の経営や管理を行う場合
経営管理ビザを申請するためには、経営・管理それぞれについて異なる要件を確認するところから手続きが始まります。
外国人が経営者として事業を行う場合
経営者として日本で事業を行おうとする外国人は、次に挙げる事柄を全て満たしていなければなりません。
- 日本国内に事業を行う事務所があること
- 賃貸借契約書に事業用である旨が明記されていること
- 居住スペースと別個の事務所であること
- 屋号・社名がわかる看板などが設置されていること
- 事業規模が以下のいずれかを満たしていること
- 2人以上の正規雇用スタッフがいること(日本人または永住者、これらの配偶者、定住者の在留資格がある)
- 資本金額または出資金額が合計500万円以上であること
- aあるいはbに準ずると認められること
- 適正な事業遂行により今後の安定性や継続性が確認できること
- 事業計画が明確であること
- 税務署ほか公的機関に対する届出を行っていること
外国人が日本企業で管理者となる場合
管理者として日本企業に勤める場合は、以下の両方を満たしていなければなりません。
- 大学院における経営または管理に関する専攻教育を受けた期間を含み、経営または管理の事業経験が3年以上あること
- 日本人と同等以上の報酬を受けること
新規法人設立の場合の申請書類例
経営管理ビザ申請の際、新規の在留資格認定証明書申請に加え在留資格変更許可申請から適切な申請方法を選び手続きを進めます。ここでは、新規に法人設立した場合の申請書類を例に挙げ説明していきます。まずは、基軸となる「企業カテゴリー」を確認しておきましょう。
【企業カテゴリー】
カテゴリー1:主に上場企業
カテゴリー2:前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表中,給与所得の源泉徴収票合計表の源泉徴収税額が1,000万円以上ある団体・個人
カテゴリー3:前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出され、かつカテゴリー2に該当しない団体・個人
カテゴリー4:カテゴリー1から3に該当しない団体・個人
申請のための提出書類はカテゴリー1から4まで共通するものがあります。
【申請書類例(新規法人設立の場合)】
在留資格認定証明書交付申請書
規定の写真
簡易書留用の切手を貼付した返信用封筒
申請者の活動内容を示す以下いずれかの資料
- 日本の企業の役員になる場合:役員報酬について明記された定款の写しか株主総会の議事録
- 海外の法人の日本支店に転勤する場合;役職、期間、報酬額を明記した通知書など
- 日本企業で管理者になる場合:労働基準法第15条第1項に基づく労働条件を明記した雇用契約書など
※日本で管理者になる場合:事業経営あるいは管理に関する教育機関を含み3年以上の経験があることの証明文書(以下例)
- 関連業務に従事した事業所とその活動内容、期間を明記した履歴書
- 関連業務に従事した期間あるいは教育内容と期間を明記した文書
事業内容を示す以下いずれかの資料
- 法人登記簿謄本または事業計画書やホームページ、パンフレットなど
- 事業所の事業内容や組織図、沿革や役員などが詳細に明記された資料
- 上記に該当しない事業所の作成した資料
事業の規模がわかるいずれかの資料
- 2名以上の正社員がいることを示す給与支払い資料および住民票など
- 法人登記簿謄本を提出していない場合は登記事項証明書
- 上記に該当しない事業規模のわかる資料
事業所の存在を明らかにする資料
- 不動産登記事項証明書(建物の外観や入り口の写真を要する)
- 用途が事務所であると明記された賃貸借契約書
- 事務所の図面と内部写真などの資料
先1年から3年に渡る事業計画書
直近の決算文書
社員の前年分源泉徴収票などの法定調書合計表を提出できない場合はその理由がわかる以下いずれかの資料
- 源泉徴収免除機関の場合:外国法人の源泉徴収免除証明書その他の資料
- 上記に当てはまらない場合:以下いずれかの資料
- 事務所の開設届
- 以下いずれかの資料
(ⅰ)社員の直近3ヶ月分の所得税徴収高計算書
(ⅱ)納期特例を受けていることの証明資料
審査は個別に行われるため、この他にも別途書類の提出を求められることがあります。外国人が就労予定の事業所に関しては、その詳細がわかる資料をできるだけ集めて提出するようにしましょう。
まとめ
経営管理ビザは学歴や実務経験が求められない点で、他の就労ビザと大きく異なっています。事業経験がまったくなくても申請に臨むことができる一方で、経験がないことによる信憑性の低さが問題点となることも事実でしょう。起業する場合は特に、事業計画書の内容や先々の見通しなどを明確に伝えられる資料を提出することも重要です。
このように、経営管理ビザならではの難解さがあることから、できるだけ行政書士に相談・依頼しサポートを受けながらビザ申請に向けて準備していくことをおすすめします。