日本では現在深刻な人材不足に陥っているといわれていますが、製造業も例外ではありません。外国人スタッフを受け入れて成り立っている製造業者も少なくないのです。ここでは、外国人を製造業に受け入れるための就労ビザについて説明していきます。

 

製造業における外国人雇用の現状

製造業といっても、その業務により事務・技術・生産ラインと分かれています。このうち、事務や技術の分野については、専門性を必要とする業務内容が多いことから、技術・人文知識・国際業務の在留資格の申請が可能です。

 

【技術・人文知識・国際業務ビザでの就労】

■事務

総務

会計

営業

海外とのやり取りにおける通訳・翻訳 など

■技術

開発

品質管理 など

 

生産ラインに外国人を雇用したい場合の在留資格

一方、生産ライン業務は単純労働と見なされることから、原則として就労ビザは取得できないこととなっています。ただし例外はあり、技能実習ビザ・定住者ビザ・配偶者ビザの保有者および永住者は、単純労働とみなされる業務にも就くことができるとされています

 

【技能実習ビザでの就労】

日本における実務研修という前提のもと、事業協同組合を通して外国人を受け入れるものです。この技能実習ビザを保有している場合、生産ラインで就労することが可能とされています。

 

【定住者ビザでの就労】

定住者ビザは日系外国人に多く許可されているビザであり、就労制限も設けられていません。このため、単純労働とされる業務にも就くことができ、生産ラインでも就労することが可能とされています。

 

【配偶者ビザなど】

配偶者ビザや永住者、帰化した外国人についても、就労制限が設けられていないため、生産ラインでの就労が可能とされています。

 

技術・人文知識・国際業務ビザおよび特定活動46号ビザ、特定技能ビザ

採用する外国人が日本の大学や専門学校を卒業しており、製造業における専門的な業務に就く場合、一般的には技術・人文知識・国際業務の在留資格を申請することになるでしょう。雇用元である企業のカテゴリーを調べ、該当する提出書類をもって申請します

 

【技術・人文知識・国際業務】企業カテゴリーの確認

 

カテゴリー1:主に上場企業

カテゴリー2:前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表中,給与所得の源泉徴収票合計表の源泉徴収税額が1,000万円以上ある団体・個人

カテゴリー3:前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出され、かつカテゴリー2に該当しない団体・個人

カテゴリー4:カテゴリー1から3に該当しない団体・個人

 

【技術・人文知識・国際業務】申請書類の提出

 

■カテゴリー1の場合

在留資格認定証明書交付申請書

既定の写真

簡易書留用の切手を貼付した返信用封筒

上場企業であることの証明文書

 

■カテゴリー2の場合

在留資格認定証明書交付申請書

既定の写真

簡易書留用の切手を貼付した返信用封筒

前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表のコピー

 

■カテゴリー34の場合

在留資格認定証明書交付申請書

既定の写真

簡易書留用の切手を貼付した返信用封筒

外国人の履歴書

大学などの卒業証明書

在職証明書など

雇用契約書など労働条件が明記された文書

雇用元企業の法人登記事項証明書

雇用元企業の事業内容がわかるパンフレットなど

前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表のコピー

直近年度の決算書類のコピー

 

特定活動46号ビザと特定技能ビザの要件について

他の選択肢として、特定活動46号ビザあるいは特定技能ビザもあります。以下の要件を満たせば申請が可能で、許可が下りれば専門職(場合により単純労働を含む)として就労可能ですので、検討の対象にしてみてもいいでしょう。

 

【特定活動46号ビザの要件】

日本国内の4年制大学を卒業し、日本語能力検定N1の合格者であること

安定的な企業に雇用されること

日本語能力を活かした円滑なコミュニケーション力があること

上記能力を必要とする業務に就くこと

 

【特定技能ビザの要件】

技能実習生として3年間を経た者であること

特定技能試験に合格し日本語能力検定N4の合格者であること

対象企業であること(飲食料品製造業・素形材産業・産業機械製造業・電気電子関連産業)

社保完備された企業であること

2期連続で赤字を出していないこと など

 

まとめ

製造業では専門職だけではなく、単純労働とみなされる業務もあることから、申請すべき就労ビザの選択に悩むことがあるかもしれません。また、外国人が就業する予定の業務と申請しようとしているビザに整合性がなければ許可されることは難しいといえるでしょう。

このようなときこそ、許認可の専門家である行政書士に相談・依頼し、自力では困難なビザの問題解決に向けたサポートを得ていただくことをおすすめします。

 

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