建設業は人材不足が続いているため、外国人の採用に比較的積極的な業界だといえます。ここでは、建設業で外国人を雇用するときの就労ビザ申請を念頭に、在留資格の種類や申請書類について整理していきます。

 

建設業界で働くための在留資格の種類

建設業といっても職種はさまざまであるため、どのような業務に就くかによって取るべき在留資格も変わってきます。例えば、建設現場で働く外国人を雇用したい場合、以下のような在留資格をもっていることが前提となります。

 

  • 技能実習
  • 特定技能
  • 特定活動
    (外国人建設就労者受入事業 令和3年3月31日まで)
  • 技能
  • 身分系(永住者ビザ、定住者ビザ、日本人配偶者や永住者の配偶者ビザ)

 

技能実習ビザ

なかでも非常に一般的な在留資格が「技能実習」です。日本で経験を重ね業界に関する様々な知識や技能を学び、開発途上国に持ち帰り母国の発展を目指す目的があります。期間の定めがあり、認められる在留期間は最長でも5年間になります。技能実習の在留資格を持っているとどのような職種に就けるか、一覧で確認してみましょう。

 

  • さく井
  • 建築板金
  • 冷凍空気調和機器施工
  • 建具製作
  • 建築大工
  • 型枠施工
  • 鉄筋施工
  • とび
  • 石材施工
  • タイル張り
  • かわらぶき
  • 左官
  • 配管
  • 熱絶緑施工
  • 内装仕上げ施工
  • サッシ施工
  • 防水施工
  • コンクリート圧送施
  • 表装
  • 建設機械施工
  • 築炉

 

以上の職種が対象になり、受け入れに際してはほとんどの企業が団体管理型の仕組みに基づき外国人を招聘しています。企業は受け入れに関する管理団体に属し、団体が主導するルールにしたがって人材募集を行ったり受け入れまでの環境を整えたりしていくのです。ただし、技能実習生として外国人を受け入れる際は、約6カ月かけて人材を確保し就業にいたるので、できるだけ時間的な余裕を持ちながら丁寧に採用・入社の準備を進めていきましょう。

 

特定技能ビザ

通常、外国人就労において単純労働への従事は認められていません。しかし、特定技能ビザを取得している場合は、ある程度の知識や経験を持っていることを前提として、その職に関して即戦力となるような人材の確保を認めています期間の定めは最長5年間で、要件を満たせば永住許可も目指すことができます。

 

特定活動ビザ

東京オリンピック開催を前に、建設業界では急激に人材確保の動きが見られました。しかし、国内では人材確保が非常に難しく、国としては外国人建設就労者受入事業を展開することで、建設という重要分野の人材不足の解消を試みたのです。ここでもやはり即戦力となる人材の確保を目的として特定活動ビザを新たに設け、最長2年間にわたる建設業界での活動を認める運びとなりました

 

なお、外国人建設就労者受入事業の実施期間は、平成 27 年4月1日から令和3年3月 31 日まであり、現在は新規申請の受付は終了しています。ただし、令和3年3月 31 日までに認定を受けた適正監理計画に基づき就労を開始している外国人建設就労者については、外国人建設就労者の受入期間の範囲で最長で令和5年3月 31 日まで実施することができます。

 

技能ビザ(専門的分野・技術的分野)

外国の様式を取り入れた建築などを行うときは、現地の技術者の力が必要になります。そのような場合に取るべきなのが技能ビザで、外国人に専門分野の経験が5年から10年程度あることが取得の条件となります。日本で就労しようとする職種に関し、実務経験が求められることから、技能実習ビザや特定技能ビザ、特定活動ビザなどに比べると技能ビザの取得割合は非常に低い傾向が見られます。

 

雇用元企業が行う手続き

建設業で外国人を雇用する場合は、企業側による手続きが不可欠です。外国人雇用状況とよばれる届出に加え、外国人建設就労者建設現場入場届出も必要になります。

 

外国人雇用状況の届出

平成19年に施行された雇用対策法により、雇用主は外国人の採用及び離職に際し、当該外国人の氏名と在留資格などをハローワークに届け出る義務を負うようになりました。届出された情報により外国人の在留資格の確認ができることから、不法就労を防ぐことができ、同時に外国人の雇用環境がより改善されるよう雇用主への指導や外国人が離職した際の再就職支援が可能になったのです。

 

外国人建設就労者建設現場入場届出

建設現場で就労する外国人を適正に管理するために、雇用主は外国人建設就労者建設現場入場届出を行い、その管理に役立てます。この届出は、外国人労働者の管理に限らず、企業側の雇用体制を確認するための情報となります。ただし、永住者と技能実習生の雇用に際して当該届出は必要ありませんので注意しましょう。

 

その他の提出必要書類

上記2種類の届出に加え、次に挙げる書類を提出しなければなりません。

 

  • 建設特定技能受入計画認定証又は適正監理計画認定証
  • 外国人のパスポート
  • 外国人の在留カード
  • 雇用元の企業と外国人労働者との間で交わされた雇用条件書
  • 登録義務がある場合に限り建設キャリアアップシステムカード(外国人労働者のIDカード様式)

 

まとめ

上に挙げた在留資格を持っていれば、外国人労働者を建設現場で雇用することが可能です。雇用の際には、在留資格をしっかりとチェックし問題がないことを確認しましょう。確認義務を怠った場合、外国人労働者の在留資格期限切れのケースでは雇用元企業も不法就労助長罪に問われる可能性が出てきます。採用したい外国人がどのような在留資格を持っていればいいか、どういった申請書類が必要になるか、手続きは煩雑ではないか、採用にあたって疑問や不安がある場合は、行政書士にぜひご相談・ご依頼ください。許認可のプロがしっかりとサポートさせていただきます。

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