外国人が語学講師として日本国内で働こうとするとき、どのような就労ビザを取る必要があるのでしょうか。英会話を始めとする語学学校は数多くあることから、就労ビザの取得を目指す外国人は決して少なくありません。ここでは、申請者および雇用企業が理解しておくべきビザ取得準備について説明していきます。
語学講師として就労するための在留資格申請要件とは
語学学校の講師として外国人が働くためには、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格が不可欠です。語学講師の場合は「国際業務」のジャンルに当てはまるため、その在留資格の申請要件についてみていきましょう。
大卒の学位か実務経験を持っていること
語学講師として就労したい場合、外国人は大卒で学位を保有しているか語学講師として3年以上の実務経験を持っている必要があります。学位は語学専攻でなくても申請可能なので、柔軟性がある在留資格だといえるでしょう。
継続雇用が前提であること
ビザ取得のためには、雇用される予定期間が1年以上あることも求められます。ただし、正社員に限らず契約社員でもよしとされているので、語学講師として働きたい外国人にとっては間口が広がるでしょう。
日本人と同等以上の報酬が前提であること
日本で就労する以上、外国人講師に対しても日本人と同等の待遇を約束されなければなりません。したがって、報酬面でも日本人と同等かそれ以上であることが求められます。
4カテゴリー別の申請書類一覧
出入国在留管理局によれば、「国際業務」の在留資格申請を行う際は、雇用元である企業の事業規模によって4つのカテゴリーから該当する必要書類を提出する必要があるとしています。
カテゴリー1「上場企業や公共団体が雇用する場合」の申請書類
【外国人申請者】
大学卒業者は原則として卒業証明書は不要
専門学校卒業者は専門士や高度専門士の記載がある証明書
在留資格認定証明書交付申請書
規定の写真
パスポート
在留カード
【雇用企業】
カテゴリー1に属することの証明書(四季報コピーや設立証明)
申請者採用の理由書
企業の事業内容がわかる文書
カテゴリー2「年間源泉徴収税額が1,000万円以上の企業や公共団体が雇用する場合」の申請書類
【外国人申請者】
大学卒業者は原則として卒業証明書は不要
専門学校卒業者は専門士や高度専門士の記載がある証明書
在留資格認定証明書交付申請書
規定の写真
パスポート
在留カード
【雇用企業】
カテゴリー2に属することの証明書(前年分の源泉徴収票などの法定調書合計表で税務署受付印のあるもののコピー)
申請者採用の理由書
企業の事業内容がわかる文書
カテゴリー3「カテゴリー2を除き前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表を提出した団体・個人が雇用する場合」の申請書類
【外国人申請者】
大学卒業者は卒業証明書、成績証明書あるいは履修科目証明書
専門学校卒業者は専門士や高度専門士の記載がある証明書、成績証明書あるいは履修科目証明書
履歴書
在留資格認定証明書交付申請書
規定の写真
パスポート
在留カード
※人文知識の在留資格を持っており、かつ10年以上の実務経験がある場合、前職の在職証明書や実務に関する学習内容や期間がわかる高等教育機関の卒業証明書・履修科目証明書も必要になります。
【雇用企業】
カテゴリー3に属することの証明書(前年分の源泉徴収票などの法定調書合計表で税務署受付印のあるもののコピー)
労働契約書や労働条件通知書など
申請者採用の理由書
企業の事業内容や業績がわかる文書
カテゴリー4「カテゴリー1~3に該当しない企業や個人が雇用する場合」の申請書類
【外国人申請者】
大学卒業者は卒業証明書、成績証明書あるいは履修科目証明書
専門学校卒業者は専門士や高度専門士の記載がある証明書、成績証明書あるいは履修科目証明書
履歴書
在留資格認定証明書交付申請書
規定の写真
パスポート
在留カード
※3年以上の実務経験を持つ外国人が「国際業務」の在留資格を申請する場合は、前職の在職証明書や実務に関する学習内容や期間がわかる高等教育機関の卒業証明書・履修科目証明書も必要になります。
【雇用企業】
カテゴリー4に属することの証明書(前年分の源泉徴収票などの法定調書合計表で税務署受付印のあるもののコピー)
労働契約書や労働条件通知書など
申請者採用の理由書
企業の事業内容や業績がわかる文書
登記事項証明書
直近年度の決算書のコピー
まとめ
ここでは、外国人が語学講師として就労する場合に必要な「国際業務」の申請について整理しました。一方、同じ語学を教える場合でも、教育機関で教師として働くことはできませんので注意しましょう。
このように、ケースごとに提出すべき書類が変わったり、雇用元がどのカテゴリーに当てはまるかわからなかったりすることは珍しくありません。ぜひ当事務所までご相談いただきビザ申請の概要をしっかりと理解していただくことが大切です。ご依頼いただいた際には、十分なサポートを受けていただきながら、在留資格の申請から許可取得まで目指していきましょう。