就労ビザのうち、医療にかかわる業務を行う外国人が取得するのが医療の在留資格で、これを一般的に医療ビザと呼んでいます。日本における医療資格を持っていることが前提となる点に注意しましょう。ここでは、医療ビザが適用される業務範囲や申請書類などについて説明していきます。
医療ビザで認められる業務の範囲
医療ビザを取得できる業務は、日本の法律で、「医師や歯科医師、このほか法律上医療に関する資格を持つ者が医療に従事するための活動」と定められており、日本における医療資格を有することが求められます。例えば、以下に挙げるような医療資格が該当します。
- 医師
- 歯科医師
- 看護師
- 准看護師
- 薬剤師
- 保健師
- 助産師
- 放射線技師
- 歯科衛生士
- 理学療法士
- 作業療法士
- 視能訓練士
- 臨床工学技士
- 義肢装具士
一方、柔道整復師やはり・きゅう師、あん摩マッサージ指圧師、介護福祉士やヘルパー、歯科技工士や社会福祉士は、その活動が医療行為とはされないことから、医療の在留資格を取ることができませんので注意しましょう。
在留資格「医療」の申請の種類
医療の在留資格でビザ申請する経路は、三通り存在します。一つが在留資格認定の申請、もう一つが在留資格の変更申請、そして在留資格の更新申請です。それぞれの申請における必要書類を整理していきます。
在留資格認定証明書交付申請
医療行為を行う外国人としての在留許可申請を行う際は、以下の書類を用意して医療ビザの申請を行います。
【必要書類】
在留資格認定証明書交付申請書
規定の証明写真
パスポートコピー
簡易書留で返信するために392円分の切手を貼付した返信用封筒
対象となる日本の医療資格を有することの免状や証明書のコピー
就労先の医療機関の概要資料
雇用契約書
招聘理由書
※対象となる日本の医療資格は以下が含まれる。
医師、歯科医師、看護師、准看護師、薬剤師、保健師、助産師、放射線技師、歯科衛生士、理学療法士、作業療法士、視能訓練士、臨床工学技士、義肢装具士
在留資格変更許可申請
もともとは別の在留資格により日本で就労していたが、医療ビザに切り替えたい場合は在留資格の変更申請を行います。その際、以下の書類が必要になります。
【必要書類】
在留資格変更許可申請書
規定の証明写真
パスポート
在留カード
対象となる日本の医療資格を有することの免状や証明書のコピー
就労先の医療機関の概要資料
雇用契約書
招聘理由書
※対象となる日本の医療資格は以下が含まれる。
医師、歯科医師、看護師、准看護師、薬剤師、保健師、助産師、放射線技師、歯科衛生士、理学療法士、作業療法士、視能訓練士、臨床工学技士、義肢装具士
更新許可申請
もともと保有していた医療の在留許可には期間の定めがありますので、期限前に更新する必要があります。その際に用意し提出する書類は以下のとおりとなります。
【必要書類】
在留期間更新許可申請書
規定の証明写真
パスポート
在留カード
在職証明書
前年度の総所得と納税額が記載された住民税の課税証明書と納税証明書
審査に要する時間と在留期間の定めについて
在留資格認定の審査には、許可が認められるまで一般的に1か月から2カ月ほどかかることが多いようです。ただし、他の在留許可に比べると、医療の在留資格はやや早めに審査が進み結果が出るという統計もあります。医療での在留許可には期間の定めがあり、3ヶ月・1年・3年・5年のうちいずれかが認められますが、通常は1年の在留許可が下り、以降は必要に応じて更新していく形をとることになります。
まとめ
医療関連の在留資格申請においては、新規の申請なのか従来の在留許可からの変更なのか、それともすでに保有している医療ビザの更新なのかによって、審査内容や提出書類が変わってきます。日本の医療現場では、医師だけではなく看護師や介護にかかわる人材が慢性的に不足しているといわれていることから、今後も諸外国から人材を呼び寄せるケースは増えてくるでしょう。職種によっては、医療ではなく特定活動としての在留資格が必要になることもありますので、外国人医療スタッフを呼び寄せたい場合は、ぜひ当事務所までご相談ください。