宿泊業界は慢性的な人手不足にあるといわれています。昨今ではコロナ禍によりインバウンド需要が減少しましたが、外国人を雇用することで多角度的なサービスが可能になるため、ホテルとしては積極的な姿勢をみせているのも事実です。ここでは、外国人がホテルで働くために必要な就労ビザについて説明していきます。

 

ホテル就労には技術・人文知識・国際業務のビザが必要

 

技術・人文知識・国際業務」の在留資格を取得するためには、外国人本人が母国で培った思考や感性、大学などで学んだ日本語力、宿泊業務に関する専門的知識や経験などを備えていることが前提条件となってきます。

 

例えば、ホテル内の清掃業務やレストランでの配膳といったいわゆる単純労働ではなく、インバウンド客向けの宿泊プランの企画やパンフレット作成、ホームページの外国語版製作、フロントなど、その能力を十分に発揮できる業務に就いていることが、「技術・人文知識・国際業務」の就労ビザ取得のために必要です。

 

フロント業務主体で外国人が就業する場合

フロント業務主体で外国人が就業する場合、当該ホテルの規模が大きく知名度も十分であることが、ビザ取得のうえで重要視されます。規模が大きく知名度の高いホテルには外国人客が多く宿泊することから、外国人をフロントスタッフとして配置することはとても大切であり、「技術・人文知識・国際業務」の就労ビザ取得の前提条件を満たすことにも繋がります。規模が小さく知名度も低いホテルのフロントやレストラン配膳・清掃などについては、単純労働と見なされる可能性があるので、同じホテルでも審査時の見方は変わってくるのです。あくまでも、専門職であることが求められます。

 

経営企画や経理など事務として就業する場合

ホテルでは外国人宿泊客の割合が大きいほど利益も膨らむ傾向にあります。このため、マーケティングや企画、経理などに専門的知見がある外国人であれば、宿泊施設からも就業を歓迎されるでしょう。この場合も、「技術・人文知識・国際業務」の就業ビザを申請することができます。

 

「技術・人文知識・国際業務」の就労ビザ申請要件

すでに述べた通り、専門職として外国人がホテルなどの宿泊施設で就労しようとする場合、「技術・人文知識・国際業務」の就労ビザを申請する必要があります。申請に際し、以下に挙げる要件を満たしていることが求められますのでよく確認しておきましょう。

 

「技術・人文知識」分野で就労する場合

以下のいずれかの要件を満たしていなければなりません。

 

大学を卒業していること

宿泊施設において従事しようとする業務に関連して学び大学卒業していること。あるいは大学卒業同等の教育を受けていること。

 

専門学校を卒業していること

宿泊施設において従事しようとする業務に関連する専門技術や知識を学び専門学校卒業していること。ただし、専門士あるいは高等専門士の称号を受けていること。

 

上記に該当しない場合

大学や専門学校などで専門的技術や知識を習得した期間を含め、合計で10年以上の実務経験を持っていること。

 

「国際業務」分野で就労する場合

以下のいずれかの要件を満たしていなければなりません。

 

■翻訳や通訳、外国語の指導・広報宣伝活動・海外取引・デザイン・商品開発または類似する業務への従事。

 

■従事を予定する業務に関連して3年以上の実務経験を持っていること。

※大学卒業者が通訳、翻訳または語学指導にあたる場合を除く。

 

上記に加え、就業を予定する外国人が日本人スタッフと同等以上の報酬を受けることも大切な前提条件になります。なお、求められる要件を実際に満たしているかどうかは、外国人の日本在留期間中にどのような活動を行うかによっても判断が変わってきます。「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を得るのですから、本来目的とする業務から離れた仕事を主として働いた場合、これは不法就労の扱いとなり罰則を受けることとなります。ただし、研修期間の一環として一時的に異なる部署などで働くことは可とされています。

 

まとめ

外国人が宿泊業で就労する場合、どの部門で働くかによって異なる種類のビザが必要になることもあります。いずれにせよ、宿泊施設における該当業務について、外国人が専門的知見・経験を有していることが欠かせない要件になることを覚えておきましょう。

 

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