日本に住んでいる中国人は、日本政府の統計データによると、2020年12月時点で約78万人と記されています。そのうち、永住者の在留資格を持っている中国人は約28万人近くに上ります。
そのため、毎年帰化申請を行う中国人も多く、毎年2千人以上の中国人の方が帰化許可取得を行っています。
今回は帰化許可申請の中でも中国人の方がする帰化許可申請にスポットを当てて解説していこうと思います。
中国人の帰化申請で注意すべき点
帰化申請を行うには、初めに管轄の法務局に相談に行きます。相談には予約が必要となります。この相談の際に申請に必要な書類について教えてもらいます。必要になる書類の中で中国人の帰化申請特有のものとしては、身分関係を示す公証書および領事証明があります。これよりその二つについて詳しく解説いたします。
身分関係を示す公証書
身分関係を示す公証書とは、「出生公証書」、「親族関係公証書」、「婚姻公証書」、「離婚公証書」および「死亡公証書」のことを指します。帰化申請の際はこれらの書類を申請者本人の分はもちろん、書類によっては関係する親族それぞれの分の提出することを求められることもあります。
出生公証書を取得する際の注意点として、申請者に兄弟姉妹がいなく一人っ子の場合には、出生公証書に「独生子」である旨の記載を必ずしてもらいましょう。この独生子とは申請者が一人っ子であることを示す文言で、他に兄弟姉妹がいないことを示します。管轄の法務局によってはこの独生子の記載がないと申請を受理してくれないことがあるためご注意ください。
領事証明(旧国籍証明書)
領事証明とは、中国政府が当該中国人の国籍離脱の意思を認め、中国国籍を離脱したことを示す書類のことをいいます。2021年7月以前は国籍証明書と呼ばれていました。
領事証明は申請人の住所地を管轄する在日中国領事館で取得することができます。取得するタイミングは、法務局に相談後に法務局から指示されたタイミングで取得するようにしてください。下記より、領事証明の取得に必要となるものを紹介します。
・パスポートの原本およびパスポートの顔写真ページの写し
・取得する方の住民票の原本もしくは、在留カード原本およびその写し
・取得する方の証明写真2枚(3×4センチの大きさ)
・退出中華人民共和国国籍申請表(領事館のホームページにあります。)
なお、住民票の原本は発行後3か月以内のものである必要があります。
帰化許可後の対応
帰化申請が許可になった後もしなければならない手続きがいくつかありますが、その中でもパスポートの取り扱いについて今回解説します。
先ほど、中国人の方が帰化申請するには領事証明を取得する必要があると説明しました。この領事証明ですが、取得した後も帰化申請中であれば中国のパスポートが使用可能です。そのため、帰化申請中でも中国のパスポートを使用して海外へ出国することができます。
しかし、帰化許可取得後は中国のパスポートの失効手続きをしなければならないため手続きを忘れずに行いましょう。中国のパスポートの失効手続きをした後は日本の市区町村に帰化届を提出し、日本のパスポートを取得することができます。日本のパスポートはビザなしでアクセスできる国が多いため非常に便利です。
まとめ
中国人の帰化許可申請について解説しました。必要な書類として紹介した身分関係を示す公証書は本国で取得する必要があり、帰化申請を行政書士事務所などに依頼した場合でも行政書士が代理で取得できません。そのため、申請者本人が帰国した際に取得するか、親族の方にお願いして取得してもらう必要があります。その点ご注意ください。
帰化許可申請は必要な書類や許可の要件が非常に複雑です。帰化許可申請を検討しているという方は是非一度ご相談ください。